こんにちは。公認心理師の石川美樹です。

 

秋も深まり、一気に紅葉が進みましたね。
今度は一気に冬になりそうで怖い、、、、

さて本日は、

 

【褒めて育てるが失敗した??】というタイトルでお届けしようと思います。

 

一般的には、
 

《褒めて育てる!》

は、子供の教育や成長に良い効果を及ぼすと言われていますが、
人間関係で悩み、仕事が長く続かず、生きづらさを感じているクライアントのAさんは、

幼少期は褒められまくって育ったとおっしゃっています。
しかし、褒められても全く嬉しいとは思わず、毎回苦しくて仕方なかったとのこと。

どのような点が苦しかったのでしょうか?

一人でのお留守番では、
「あら、泣いてるの? あなたは我慢強い子なんだから。大丈夫大丈夫。本当は強い子だから」

テストの点数が50点しか取れず悔しい思いをしていると、
「あら、あなたは本当はできる子よ。次は絶対にできる。
 今回はあなたらしくなかっただけ。次回は100点目指してママと頑張ろう!」

お遊戯会で間違えてみんな前で失敗した時、
「間違えたところ以外は、本当に良かったよ。家で練習している時は完璧だった。
 そっちが本当のAちゃんだから気にしない気にしない」

このような感じで褒めてくれていたとのこと。

一見、どこが悪いんだ? 何が苦しいの?

と思うかもしれませんが、
Aちゃんにとって、
お母さんの理想の子供を強要されているようで、
目の前の私でははなく、別の私を褒めている感じがずっとしていたとのこと。

確かに、Aさんのお母様は、無意識に、
一人のお留守番では「泣かずに我慢強くいる子」を求めていますし、
テストでは、「100点取れるのがAちゃんである」とのメッセージも含まれてます。

お遊戯会では「家でやっている時のようにいつも完璧にやりなさい」ようにも捉えられるかもしれません。

Aさんは、毎回、違う自分を強要されているようで、大人になってからも、
人からの褒め言葉を素直に受け取ることができなくなり、
先日入社したばかりの会社で、ミスをしてしまい、先輩から、

「大丈夫大丈夫。すぐに覚えるから。覚えれば簡単よ」と

怒られず優しく接してもらいましたが、

「簡単な作業なのに、ずっと覚えられなくてミスばかりする私であれば、
 この会社はすぐに首になるのでは、、、、」と、

疑心暗鬼になり1日中不安で、
家に帰ってからも「できる社員にならなければ」と焦って眠れない夜を過ごしてしまうとのこと。

 

幼少期心の傷といえば、
親が厳しくて、怒ってばかり、否定ばかりと思いがちですが、
このように、一見「褒められて育った」という方の中にも、生きづらさを抱えていたり、人間関係に悩んでいる方もいるのです。

Aさんのセッションでは、多くの時間、過去の記憶の中で、
本当はどのように褒めて欲しかったのか?
Aさんが欲しかった褒め言葉を、過去のイメージの中で何度も再現していきました。

Aちゃんがほしかった本当の褒め言葉。

寂しくて泣いてても、
テストで良い点を取れなくて悔しくても、
みんなの前で失敗しても、

ママは、
どんなAちゃんでも大好きだからね。
そのまんまのAちゃんが大好き。


セッションが進んでいくと、
Aさん。周りの人が、どんなに私に優しく接してくれていたのか。
壁を作っていたのは自分だった。
お母さんにも、目の前のみんなにも、
ありがとうと言いたくなりました。

 

と、心が楽になっていったのです。

このように、褒められても心の傷になる方もいらっしゃいます。
もし、幼少期に大きなマイナスの記憶がなくても、
「今」のあなたが、生きづらさを抱えているなら、何かしらの心の寂しさ、親御さんとのすれ違いがあったのかもしれませんね。

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