こんにちは。公認心理師の石川美樹です。
本日は、
【一匹狼でいたいのに声をかけてほしい矛盾とは】というタイトルでお届けしようと思います。
さて、クライアンのMさんのお話です。
「先生、私、一匹狼でいたいという思いが強くて、ママ友たちとの交流はほとんどないんです。
しかし、それを自分で選んでいるのに、向こうから声をかけて欲しく
孤独感がとても強いんです。
矛盾してるんが、それが辛くて辛くて仕方ないんです」
というご相談でした。
Mさんのお話しをじっくりお伺いすると、
実は、こんな幼少期の体験と今が重なっていることに気づきました。
Mさんの幼少期、5歳の時に妹が生まれたそうです。
母は生まれたばかりの妹に手がかかりっきり。
Mさんはまだ5歳なので、まだまだママに甘えたい。
妹が生まれたから余計に甘えんぼうになってしまったMさんを、
母親は、
「お姉ちゃんなんだから、もう一人でできるでしょ」、
と、突き放し、全く甘えさせてくれなかったそうです。
どんなに甘えても、泣いても、叫んでもママは振り向いてくれなかった。
「ママは、妹の方が可愛いんだ」
そこで諦めて、一人で強くなる方法を考えたと言います。
5歳のMちゃんは、幼子ごころに、
「一人で強くならないと!」と、一人でお人形と話し、ぬいぐるみと話し、外では雲とお話しし、蟻さんとおしゃべりしていたそうです。
妹が生まれるまでは、元気にはしゃいで、好奇心旺盛で、友達も多く、みんなの前ではたくさん笑っていたMちゃんが、一人でいることが多くなったことにあるとき気づいたお母さんは、
1日だけ妹をお父さんに預け、Mちゃんを動物園に誘ってくれまそうです。
そのママと二人っきりの動物園の思い出がとても楽しかったと話します。
しかし、その1日の動物園の後、母は元に戻り、妹にべったり、Mちゃんには、
「お姉ちゃんなんだから、わがまま言わないで。この前動物園に行ってあげたでしょ」
と、また一人ぼっちの日々が続きます。
そうやって育ったMちゃんは、幼稚園でも孤独に遊ぶことを好むようになり、
小学校に上がっても積極的に友達を作ることをしませんでした。
社会人になっても、誘われてもランチも一人、飲み会にも参加しなかったそうです。
結婚して子供が生まれてからも、ママ友との交流もほぼなく、家庭でも孤独感が強かったとのこと。
「だって、仲良くなっても、何かあったらすぐ一人になってしまう。それが怖い。
だったら、最初から一人のほうがいい。でも、本当は声をかけてほしい。これって矛盾ですよね」
この声をかけてほしいは、
あの動物園での楽しかった母との思い出からの影響だとわかりました。
「あるとき、絶対に気づいてくれる。
私が一人でいると、あるとき絶対にあっちから気づいてくれて、あの動物園のような楽しい時間が過ごせる」
と、無意識が、あえて、一匹狼でいることで無言のアピールをしていたことに気づきました。
私は、幼少期のMさんの心の傷を癒やし、その時にできた心のブレーキを外すことにより、
現在Mさんは、
「1匹狼も基本好き。だって自由だもん。
でも、誘われたら、今までのように頑なに断るのではなく、
時にはランチしたり、時には飲み会に行ったりできるようになりました。
夫婦不仲も、子煩悩な夫に娘を取られように感じて家の中でも一匹狼をやっていましたが、
今では、私から「今度家族でキャンプに行かない?」と
誘ってみることができるようになりました」
「先生、本当にありがとうございます。とても生きるのが楽になりました。
もしかしたら、本来の私って、
もっと明るくてみんなとわいわいやるのが好きなのかもしれませんね」
本日は、Mさんの体験談を交えながら、
【一匹狼でいたいのに声をかけてほしい矛盾とは】を語ってみました。
いかがでしたか?
幼少期の心の傷、インナーチャイルド/アダルトチルドレンは、大人の今のあなたの中で、「助けて!」と叫んでいることでしょう。