こんにちは。公認心理師の石川美樹です。
今回は、
【選択に迷った時はコイントスをすると本当の気持ちが炙り出てくるよ】というテーマでお届けしようと思います。
選択に迷ったらコイントス?
私が選択(二択)に迷っているクライアントさんにアプローチするテクニックとしてコイントスがあります。
例えば、
今の職場はお給料が良いけど人間関係で苦しくなる。だから転職したい会社があるんだけど、転職したらやりがいはある職種だし人間関係も割と良さそう、、、。しかしお給料が下がるのでどうしても生活の質が下がる、、、、先生、どうしたらいいですか????
こんな悩みをクライアントさんが抱えていたら、ときどき使ってみるテクニックです。
コイントスで出た結果とその時の感情からさらに奥を炙り出す
表が出たら「今の会社に残る」、裏が出たら「転職する」と、まずクライアントさんに決めてもらいます。
しかし、このコイントスで一番重要なのは、
コイントスで出た結果、例えば表が出て「今の会社に残る」と出た時の、
クライアントさんの感情や気持ち、そこからどんな話が展開するか?
ここをヒントにして、さらに本音を炙り出していくテクニックです。
決して、そのコイントスの結果に従えばいいんだよ〜!
そのコイントスが実は、あなたの運命の流れの道標なんだよ〜!
潜在意識がコイントスに現れるんだよ〜!
気楽に考えてね〜!
ということではありません。その先があるのです。
クライアントAさんの選択の迷いとコイントスのお話し
では、実際のクライアントAさんのお話をさせて頂こうと思います。本人と特定できないように、少しだけ内容は変更させてもらっています。
Aさん、正社員で事務職。実際に転職に迷っており、先ほどの例に挙げたように、
選択1
【今の会社に残る】
メリット/お給料がいい。仕事に慣れている。有給や半休も取りやすい
デメリット/人関係が苦しい、やりがいのある仕事をもらえない
選択2
【転職する】
メリット/嫌な人間関係を一度リセットできる。人間関係は意外と良い雰囲気だと聞いたことがある。やりがいのある職種。
デメリット/お給料が安い。最初のうちは有給は取りずらい
Aさん曰く、両方ともメリットデメリットが50%50%なので決められないとのこと。
なら、どちらを選んでもメリットデメリットは同じなので、単純に頭で考えればどちらを選んでも同じはずです。
さぁ、ここでコイントスをしてもらいます。
表なら選択1、裏なら選択2です。
じゃ〜〜ん。
裏が出ちゃいました。選択2の「転職する」です。
さぁ、ここで、私の質問。
Q/どうですか? 単純に頭で考えればメリットもデメリットも50%ずつなので、転職する手もあると思うのですが、実際、「転職する」の結果が出て、どのような感情が湧き上がってきますか?
Aさん/
なんだかスッキリはしません。
転職することを考えると、
「人間関係が本当に噂通りに良いのか?」が引っ掛かります。
セラピスト(私)/
どんな人間関係が引っかかるのですか?
Aさん/
どんな会社にも、お局さん的人っていますよね。
先ほど今の会社のデメリットとしてざっくりと人間関係と言いましたが、実は、お局のB先輩にストレスなだけなんです。
メリットとデメリットが50%50%ではなく、そのお局さんがストレスなだけだって気づきました。
ですから、私、転職して、そのお局のB先輩か逃げたいだけなのかも知れせん。
私、なぜだか、昔から、お局さんとか先輩とかに目をつけられるタイプなんです、、、、。
ちょっと力の強い人というか、威圧的なタイプが苦手で、、、、、。
セラピスト(私)/
昔からというと?
私は普通にしているのに、先輩からは「いい子ぶって〜」って無視されるし、
前の職場では、新人なのに、みんなお局さんに気を遣って私に仕事を教えてくれないし、
なので、今の職場でも、お局さん的な人が怖くて、私が勝手にビクビクしているだけなのかも知れません。
いや、勝手にじゃないな、実際に、先輩は私に挨拶してくれないし、、、、。
そのままの私だと、私、人から嫌われてしまう人間なんです。
だから、リラックスして仕事ができないのです。
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上記のような会話から、
Aさん、実は、自分自身のことを、
「人から嫌われるような人間だ」
というセルフイメージを、
昔から持っており、それが、昔から苦しかったということがわかりました。
このように、心の奥に、
自分に不快感や自己評価を下げてしまうようなセルフイメージがあると、
どうしても人生「生きづらく」感じてしまったり、「人間関係」に苦手感を持ったりするのです。
Aさんのインナーチャイルド
さて、このような、生きづらさを生んでしまうセルフイメージは、どのように出来上がってしまうのでしょうか?
それは、幼少期の家庭環境での親との関係が大きく鍵を握っています。
例えば、幼少期、親から、
親のイメージ通りのいい子でいないと怒られる。
褒められることがなく、「お前はブスだから、性格が悪い、何にもいいところがない」など、子供の欠点ばかりを見つけてそれを治すことが使命だと思っている親だと、どうしても、幼少期は無意識に親の言葉のイメージが刷り込まれてしまうので、心に傷を負うようなセルフイメージが出来上がってしまい、それを持ち続けたまま大人になってしまうのです。
虐待のような大きなトラウマでなくても、メソメソ泣いて「お母さんが悪いのね、、、、」と子供に罪悪感を与えてしまうような親の場合も、その子供はマイナスな不快なセルフイメージを持ってしまうことも多いです。
幼少期の心の傷が、大人の私たちの行動に影響を与えることをインナーチャイルドといいます。
詳しくはこちらを読んでみてください。
インナーチャイルドとは、
https://ameblo.jp/aquatone/entry-12815776626.html
さて、Aさんの幼少期はどうだったのでしょうか?
Aさんのお母さんもインナーチャイルドを抱えていたのでしょう。
Aさんのお母さんは、生みの親ではなく、お父さんの再婚相手だったそうです。
Aさんのお母さんは、実際の娘でないAさんをうまく育てなくては!と気負っていたのでしょう。
「いい子に育てること」ばかり考えており、
Aさんは、母親から、いい子は、
「失敗しない子」
「お勉強ができる子」
「ハキハキとお返事ができて、生徒会とかに積極的に参加する子」
「家のお手伝いを自分から進んでする子」
「わがままを言わない子」
と、お母さんのいい子を押し付けられ、どちらかというと、のんびりタイプのAさんは、
「早くしなさい」
「なんでできないの?」
「お前はだらしない」
「そのままだと、人から嫌われるわよ」
「なんで努力しないんだ」
「●●ちゃんを見習いなさい」
「そんなことしたら、お母さん、Aちゃんのこと嫌いになっちゃう」
と、そのまんまの、のんびり屋のAさんは否定され続け、
「このまんまの私は人から嫌われるような人間だ」
という、セルフイメージが出来上がってしまったのです。
そのセルフイメージを持ち続けたまま、大きくなったAさんは、
お母さんのように、威圧的で、力が強そうな先輩とかお局さん的な人を苦手に思ってしまい、いつもビクビクしてしまうので、行動や言葉がぎこちなくなっていたのです。
このAさん。
コイントスから、ここまでのインナーチャイルドを引き出すことができ、過去のお母さんとのトラウマとインナーチャイルドを癒し、Aさんの「そのままの私は人から嫌われるような人間だ」というセルフイメージの解除を行うことで、お局Bさんへの苦手感がどんどん薄くなっていったのでした。
その影響で、自然と、Bさんへの態度が変化したのでしょう。
なんと先日は、
「あの苦手だったお局さんの方から、ランチに誘われたんす!
実際に話してみると、意外と優しい人でした。私が勝手に苦手感を感じて、勝手にBさんの嫌なイメージを作っていたんですね」
と、嬉しそうに話してくれました。
そして、コイントスをした転職は?
今の会社のままでいいです。
いままではやりがいがないと思っていたけど、今の職務にも満足しています。今は私、この会社好きです。と、満面の笑顔でカウンセリングを卒業されていきました。
いかがでしたか?
今回は、コイントスのお話しをスタートに、Aさんの心の奥にある、インナーチャイルドの癒し、セルフイメージの無意識のバイアスの解除の話をさせていただきました。
もしセラピストさんで、このブログを読まれた方は、コイントスから心の奥を炙り出すことをやってみてください。
そして、生きづらさを感じている方は、ぜひ、まずは、簡単に下記のインナーチャイルド診断などを気軽にやってみてくださいね。
では、また!