梅雨があけた頃、突然の便りで。
僕は後悔でポロポロと涙を零した。
月夜を見上げ君の姿を思い返した。
春先に君と川原を歩いていた。
茜色に染まった空を眺めながら。
そっと君の手を握るとビックリしたような顔で僕の顔を見つめて頬を染めた。
「腹へったー」
とやや照れながらいうと
「じゃあ夕飯なにしよっか?」
と笑う君。
「じゃあねー、ハンバーグがいい」
甘えた様に言ってみると君は
「またー?ふふっ、本当に好きだよねー」
といいながら握る手に力を込めた。
本当に小さな幸せ。
川原に咲いた菫。
「ねぇ、この花綺麗!」
小さな花を愛でる君。
「でもさ、いつか枯れちゃうんだよね」
その時の君の笑顔が少し悲しそうに見えた。
「来年も咲くよ、この川原で」
悲しそうに笑う君が美しくて息を呑んだ。
そのまま隣に座ると君とのんびり夕焼けを一緒に眺めていた。
その数日後、僕は君から別れ話を持ちかけられた。
きちんと話もできずに、君とも連絡が取れない日々。家に行ってみても、君はいなくて。
ーほかの人と幸せになって。
君の最後の言葉。
その別れを告げられた日から20日過ぎた頃。
一通の手紙が届いた。
住所は何故か病院からで、胸騒ぎを覚えた。
家に上がるのももどかしくその場で手紙を開く。
そこに書かれている文字に涙を零した。
…あのね、私、いきなり別れを告げたでしょう?この手紙が届いたってことはもう私はこの世にはいないって事だね。
本当はね、別れたくなかったよ。
けどね、貴方には幸せになって欲しいから。
けど、私の死は知って欲しかった…
わがままでごめんね。
愛してる。
最後まであなたと入れて私は幸せだったよ。
幸せになってね。
いくら他の人を愛しても、君じゃなきゃダメなんだ。一人は嫌だ。君と色んなことしたかったんだ。君じゃなきゃ、君以外の人にはこんな感情生まれないんだ。
やっと気付いた自分の心の本当の気持ち。
川原でどうして君に口づけなかったんだろう…
小さな小さな幸福を。
自分の手で守ろうとするあまり、大事なことを見落としていたんだ。
あの川原に一人、夕焼け雲をながめてる。
後悔と淡い初恋。
スミレの花言葉。
無邪気な恋。
君との恋はきっと無邪気で混じりっけのない恋だったんだ。
君を忘れない様にそっと目を閉じて眦から涙を零した。
Fin.