冬のニオイ | crazy moon

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拙い小説家です。
主に気象系様のパロディ小説を書かせていただいております。


よろしくお願いします。



君と別れてからどれくらい経つのだろう。
駅のホームに降りて電光掲示板を見ると電車が来るまであと17分もある。

俺はポケットの携帯を取り出すとホームの端にしゃがみこんでメールを眺める。

ニノや相葉ちゃん、翔くんと松潤…みんなもう待ち合わせ場所にいるみたい。
翔くんが纏めてメールを送ってくれているのに返信を打つ。

12月だというのに手袋を忘れた俺は、手が悴んで上手く文字を打てなかった。

結果『もうちよとでつく』と翔くんに返信を送る。翔くんならわかってくれるだろう。

そう思いながら、ふと向かいのホームの後ろの景色を眺めるとクリスマス電飾が街を彩っていた。

(本当だったらアイツとクリスマスを過ごしてたんだろうな…)

アイツと一緒に買いに行ったコートもいつのまにか違和感がないくらいに着こなしていた。

電車に乗って皆に会わせる顔を作る。皆もう、俺が別れたことは知っているからそんなに気を遣わなくてもいいはずなのに、プライドが許さない。

電車を降りて駅前に行くとひときわ目立つ集団がいた。あわてて駆けていくと、

『あ、きたきたっ!』

と、相葉ちゃんの大きな声と

『バッ…声がでかいです!』

とバシッと相葉ちゃんの背を叩くニノ。
それを苦笑いしながら、眺めている翔くんと松潤。

ホッとしながら輪に入る。

「遅れてごめん」

大丈夫、皆といればアイツを思い出すこともない。
ぞろぞろと歩き出す皆の後ろを歩きながらそう言い聞かす。


ふと横を見るとアイツの面影によく似た女が歩いていた。
目で追って立ち止まっていた。

『…くん、…智くん!』

変なイントネーションで俺を呼ぶ声。ハッと気が付くと翔くんがこっちを向いて俺を呼んでいた。

「あ…ごめん」

慌てて皆のもとへ行く。

(しまった…完全に忘れたつもりだったのに…)

アイツに逢いたい…
逢って抱き締めたい。

でも、そんなこと今更言えない…。

振った俺の口から逢いたいだなんて…口が割けても言えるわけがない。

はしゃいでいる相葉ちゃんやニノを尻目にまた、アイツのことを思い返す。

(もう、未練なんてないと思うのに…また、違う恋でアイツのことは忘れられる…)

「相葉ちゃん、明日誕生日でしょ?なんかプレゼント買ったげる」

『えー!マジ!?なんでもいいの!?』

「いいよー、なんでも」

思い出さないように無理に相葉ちゃんのテンションまで引き上げ、この場を楽しむことにする。

我ながら不器用だ。


『明日、雪降らねーかな…』


珍しく松潤がロマンチックなことを呟く。

「雪…ねぇ…」


明日もし雪が降ったら…アイツに逢いに行こうか。いや、そんな都合よく降らないだろう。

ため息が白く空に溶けていく。

―降ればいいのに…

そしたら君に会えるのに…

何故か記憶の中の君がぼやける。

いつのまにか楽しい時間は終わり皆と別れ、気が付くと君とよく散歩した道をたどっていた。




錆び付いたフェンス、落書きした高架下、そして…君と歩いた坂道…

空気が澄んでいて星が綺麗に見える。

少し、期待しようか…
こんな狭い街だ。また、巡り会うまで待とう。

その時は君に素直に伝えよう。


―好きだ。


って…





Fin.