こんな本あるんだ!って感じでしたね。タイトル通り、宮沢賢治の父の政次郎を描いた本です。

 

宮沢賢治のお父さんが主人公なので、宮沢賢治の胸の内なんてのは、意外とちょっとしか出てこないんです。

 

この作品では、宮沢賢治は金持ちの家に生まれた貧弱なボンボンみたいなイメージで描かれています。

 

賢治は、赤痢や肋膜炎、結核など大病をします。そしてその度に、父の政次郎に看病されるんですね。

 

政次郎はこうしてみると、昔風のイクメンというやつで、伝染病の看病なんてのは、女や人を雇ってやることなのに、家長である政次郎自らがすすんで行います。

 

そしてさらに、それを楽しんでいるんです。

 

わかります、看病って、その人と濃密な時間を過ごせるんですよね。

 

でも政次郎は、赤痢のときにたぶん賢治から伝染って、死ぬまでおなかの弱いお父さんだったようです。

 

さて、宮沢家がなぜ金持ちだったか、それは質屋を営んでいたからです。質屋は不作だと儲かるという、弱者から金を取る商売のように思われている商売でもあります。

 

賢治は客商売には向かず、質屋はまして好きではないようでした。

 

政次郎はそして、近代的な考え方の人だったようで、賢治が学問ができることや、質屋のこどもだからといって、学問が決して不要ではないことなどを、感じていたようです。

 

だから、宮沢賢治の作品は、賢治だけの功績じゃないんだなって思います。お金がなければ学問はできないし、そうした環境に身を置かせること自体が、その当時の考え方では難しいことだったと思いますし。

 

だから、賢治がそりゃ一番すごいけど、政次郎の考えがあってこその賢治なんだなと、この本を読んであらためて思いますね。そこから、親としてのあり方、なんかも…。

 

奥が深い話でした。

 

見方によっては賢治が悪く描かれているような気がしなくもないけど、この作品が好きです。

 

では、また何か読んだら書きます。