入院初日。運命の日…。

 

早めに食事を済ませて、午前10時には病院の入院受付へ。最初は自分たちだけだったのに、終わる頃後ろを振り返ったら、すでに5〜6人くらい、患者さんが家族と並んでいた。その光景を見て、切ない気持ちになったのは言うまでもない。

 

病棟に行って、ナースセンターで声をかけると、そのまま自分のベッドに案内される。すでに、自分の名前と主治医、担当医の名前が書いてあるカードが下がっていた。

 

手術は翌日だけど、実はやることがたくさん。

①歯科へ行って、口腔ケア。手術中酸素吸入を受けるので、歯周病などあると、細菌で炎症を起こすリスクがあるからだ。

 

②麻酔科へ行って、麻酔医との面談。全身麻酔とはどのようなものか、説明を受ける。面談の前に、ビデオで「硬膜外麻酔」の様子を見る。まさか自分がこれを受けるとは思っていなかった。手術の最初に背中に針を刺して、硬膜外麻酔というものをやるらしい。これは3日ほど、刺したままになるとか。

 

③リハビリ科で、心肺機能のテストとリハビリの計画。数分、決まった場所を往復して、時間と心拍数を計る。これは手術が終わって退院するときと比較するのだそう。リハビリは手術の翌日から。つまり、手術当日はICUに入るけど、翌日の朝には一般病棟に戻って、すぐリハビリを開始するらしい。

 

④レントゲンと採血。一体何回やるの、という感じ。

 

⑤主治医から明日の手術の詳細な説明。写真を見ながら、どのように手術を行うか。胸腔鏡による手術なので、手術痕は3箇所か4箇所。侵襲は最小限。前に説明を受けた通り、まず病巣と思われる箇所を切除し、凍結したうえで、迅速診断。癌細胞と確認されたら、右肺上葉の切除、リンパ郭清。癌細胞でない場合は、その場で終了。全体の時間は、癌の場合4時間、違っていたら、2時間程度。この時点で、臨床診断では、1Aだったので、標準治療としては、区域切除となるらしい。人によっては放射線治療を望むケースもあるが、自分の今後の人生が20年以上は期待できるところで、放射線治療はしないほうがよいと。手術のあと、病理診断が癌の最終的な診断となり、それまでは、どんな状態なのか、実際はわからない。肺がんの場合、手術可能かケースが全体の20%にすぎなことを考えると、初期なので高い生存率が期待できると。

 

これらの説明をうけるたびに、署名をさせられる。一体、何枚の紙に署名しただろう。これで助かるのであれば、いくらでも署名する。

 

夜ご飯になったところで、担当医が挨拶にきた。「肺癌の手術は大手術です。それに痛いです」と。いまさら脅かされたって、もう手術は受けざるをえない。いや、タチの悪い癌なら早くとってほしい。そんな気持ちにすらなってきた。

 

寝る前に下剤。手術前にお腹をからっぽにするそうです。

T字帯の使い方の説明も受けた。あっという間に消灯時間。病院の夜は早い。

 

明日が早く来てほしいような、来てほしくないような。

 


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