舌の長い犬が歩いている

その後ろには蝙蝠傘の男

連続的な痙攣が起きている

眩暈の構想が厳かに薫り

節制された水の重さが沈殿する

その顔は切り取られていないのか

事実と反して曖昧に濁っている

湖辺りで統治される接続手段

言葉は意味を失くしてゆく

加速度的に死滅する細胞

分裂は燃焼する膜壁

滴る音ばかり傘の中で反響する

地面に落ちた魚の鱗から

共感性を見出した表情が張り憑く

表面張力ですよ」と女は云う

その眼の奥で犬と男は歩いている