「っで、話って何?」


街灯に照らされただけの薄暗い境内で明人は口を開いた。


「うん・・・・・・・実は・・・・・・・・」


真理子の態度は煮え切らない。


いつものハキハキした彼女とは似ても似つかない。


それだけによほど大事な話であろうと明人は根気強く真理子が話すのを待った。


やがて真理子は覚悟を決めたのか明人をまっすぐに見据えた。


「あの・・・・・・私とつき合って!」


明人は一瞬キョトンとした。


「何言うてんねん、俺らずっとつき合ってるやん。」


真理子は首を振って


「そういうのじゃなくてちゃんと恋人になりたいの、俊介と加奈みたいに。」


「らしくないやん、影響され過ぎちゃうか?」


その言葉を聞き、真理子は強い視線を明人に向けた。


「そんなんじゃない、私は最初から明人のことが好きやったの!」


「!!」


「き、気持ちはうれしいけど、いきなりそんなこと言われても・・・・・・・・・」


明人は激しく動揺した。


「私のこと嫌いなん?」


「そんなことはないよ、ただ恋人になるのはまた別の話で・・・・・・・・・」


「やっぱり結衣のことが好きなんや。」


はっきりしない明人に真理子は禁断の一言を投げかけた。


「はぁ?何言うてんねん!」


途端に明人の顔色が変った。


「俺と結衣はイトコ同士やねんぞ、そんなことあるはずないやろ!」


無意識のうちに声のトーンが上がっていた。


だが真理子は至って冷静に


「でもイトコ同士は結婚できるのよ。」


「あ、あほか!そんなんするわけないやろ!」


明人はそう言うと黙り込んでしまった。


「ごめん、いきなり変なこと言うて。」


真理子は憮然としている明人に詫びた。


「でもね、結衣は明人のこと意識してる。」


「ここに来る前の結衣の寂しそうな顔みたでしょ。」


明人は何も答えない。


「私とつき合うのが嫌やったらそれでもいい。」


「でもね、結衣とはちゃんと向き合って。」


「イトコとしてじゃなく1人の女の子として。」


「でないと結衣かわいそうやん。」


「いつまでもホントの恋愛できひんようになるよ。」


明人は辛そうな表情を見せ何度も首を振った。


やがて顔をあげると


「ホンマは・・・・・・・・・・・・・」