明人は何度も結衣の部屋の前まで行き、また引き返すと行ったことを繰り返していた。


「友達紹介してくれへんか?」


「3対3で遊びに行こうぜ!」


この言葉を言えばいいだけなのだが、なかなか決心がつかない。


だからと言って、結衣に何も伝えず楽しみにしている智之と俊介にダメだったと嘘をつくのも忍びなかった。


明人は意を決して結衣の部屋の前に行き、ノックしようとした。


そのとき部屋のドアが開いた。


「あっ!」


明人と結衣は同時に驚きの声をあげた。


「ど、どうしたん?私に何か用?」


結衣が動揺しながら尋ねた。


「あ、い、いや、別に用ってほどでもないねんけど。」


明人もキョドリながら答えた。


「そ、それより結衣どっか行くんか?」


「ううん、別に、ちょっと換気しようかなって。」


2人して引きつった笑顔を見せた。


「中でちょっと話さへん?」


「おおーええよ。」


結衣の提案に明人はすぐさま同意した。


しかし部屋に入ると2人とも黙り込んでしまった。


「何か私に用事あったんでしょ?」


沈黙を破って先に口を開いたのは結衣だった。


「あ、いや、その~用事っていうか~」


明人の返事は何とも煮え切らない。


「どうしたんさぁ~、ぜんぜんらしくないねんけど。」


結衣のツッコミに明人は頭を振り


「あ~もう~はっきり言うわ!」


「あのさ友達2人連れて来てくれへんか?」


「それで3対3で遊びに行こうぜ!」


おもいきって打ち明けた。


「な、なんで・・・・・・・」


途端に結衣は驚愕の表情を示した。


明人はバツが悪そうに


「今日の朝、結衣とおるとこおんなじクラスの奴に見られてて、イトコやって言うたら友達紹介してもらってくれって。」


「まったくいっしょ!」


「はぁ?」


「だから私も友達に見られてておんなじこと頼まれたの。」


「えぇー!」


今度は明人が驚きの声をあげる番であった。