「怒るなよ、だって普通なぁ~」
智之が話を振ると
「おお、イトコとそんなふうにせえへんもん。」
俊介が相槌を打つ。
「しゃあないやんけ、親仕事で外国行ってて俺親戚の家に居候やねんから。」
「イトコとも兄妹みたいになってまうやろ。」
明人は不機嫌につぶやいた。
智之と俊介は顔を見合わせ
「そんな事情とは知らんかってん。」
「悪かった。」
明人に頭を下げた。
「わかってくれたらええよ。」
明人はやっとわずらわしい話が終わったと思っていたが
「なあ、なあ、ホンマにイトコやったら紹介してや。」
「はぁ?」
智之の一言で新たな展開が始まった。
「な、なんで俺のイトコ紹介せなあかんねん!」
「頼むわ!もうすぐ夏休みやのに彼女おらんかったら寂しいやん!」
俊介も必死に明人に訴えかけた。
「しゃあけど自分の身内紹介するのはな~」
明人はこの一点で逃げようとしていた。
智之と俊介もそう言われると無理にとは言いづらかった。
しかし・・・・・・・・・・・・
「なあ、それやったらイトコに友達連れて来てもらったらどうやろ?」
「おぉー、それええやん!」
智之のアイディアに俊介はすぐ賛同した。
「なっ!3対3で遊びに行くねんやったらぜんぜん問題ないやろ。」
「それに川村も彼女欲しないか?」
智之は真剣な表情で明人に詰め寄った。
明人もそこまで言われると断りにくく
「わかったよ、そういうことやったらいっぺん言うてみる。」
「マジで!やっりー!」
俊介が奇声をあげた。
すっかりデートが決まったような勢いである。
明人はそれを見ると不安になり
「あのさー、俺のイトコめちゃ気難しいから断られることも充分にあるけど。」
「了解、了解。」
智之は気さくに明人の肩を叩いたが、その表情もすっかり緩みきっていた。
(ダメだこりゃ!)
明人は心の中でつぶやき、結衣に何て切り出そうか考えると今から気が重かった。