あんな、節子。

ちょっと言っておきたいことがあるんや。
とても眠いんや。

昔の人もこんな眠かったんかな?

昔こんな話聞いたことあるんや。




むかしむかし、あるところにお爺さんとおばあさんがいました。

そりゃおるやろって思うかもしれませんが、おどろくことなかれ、

なんとまあそれはそれはごく普通の爺婆。ジーバー。GBA。ゲームボーイアドバンス。


そんなある日のこと

おじいさんはいつものように山へ芝刈りへ

おばあさんは川へ洗濯へ。


現代だったら山を持っているお金持ちなのかもしれませんね。山を持つって大変なのよね。メンテとか動物とか。知らんけど。


おばあさんが川で洗濯しようとしたとき、

なんと川上から

大きな大きな

それはそれはとても大きな

ファッキンBIGな

桃っぽいものが流れてきました


おばあさんは目を疑いました。

だって大きいんだもの

とってもとってもとってもとってもとってもとっても大好きよ、と鳥羽シェフの不倫相手が歌ってしまうぐらい。

そうこうしてるうちに桃は岩にひっかかって止まってました。

おばあさんはその桃を家に持って帰ろうとしました。

うんとこしょ、どっこいしょ

それでも桃は動きません

そうしてるうちに日が暮れてしまいました。

心配しておじいさんがきてくれました。


おばあさんは桃を、

おじいさんはおばあさんを、

うんとこしょ、どっこいしょ

それでも桃は動きません


すると餌を探していた犬が近くを通りかかりました

おばあさんは桃を

おじいさんはおばあさんを

犬はおじいさんを

うんとこしょ、どっこいしょ

それでも桃は動きません


すると蟹との合戦終わりの猿と、休んでいたキジがそれを見かねて手伝ってくれる雰囲気を醸し出しました

おばあさんは桃を

おじいさんはおばあさんを

犬はおじいさんを

猿は犬を

キジは猿を

うんとこしょ、どっこいしょ

それでも桃は動きません


すると心配した村人たちがこぞってやってきました

おばあさんはオラに元気を!と意味不明なことを言い

村人たちはそれに呼応して手を挙げ始めました

狂気です。

この村は狂ってる。

そんな映画が一本撮れそうなぐらい異様な光景でした。


そうこうしてるうちに桃をなんとか家に持って帰ることができました


どうしたものかと、みんなで悩んでいると

何の迷いもなくおじいさんは

桃を切ろう!

と、ナタを持ってきました

しかしそのナタはしばらく使ってなかったので


切れるかどうかわからんなー。

このままだと頭真っ白になる。


と船場吉兆の女将に囁かれたかのように言い出しました。


とりあえず試し切りをしようと、隣の竹林にいき、竹を切ろうとしました。

竹を切ります。それは見事にスパスパとキレます。

切るのが気持ち良くなったおじいさんは狂ったように竹を切り倒していきます。

まるで異常者です。いや異常者です。

竹切狂四郎です。


この村は狂っている。

そんなキャッチコピーがつきそうな気配がします。


色んな竹を切っていると、光っている竹を見つけました。

何の迷いもなく切る爺。

中から出てきた小さなお姫様のような人を見て我に帰りました。



見なかったことにしてそっ閉じしました。

剣心が言ってました。

一流の腕と一流の刀が揃えば切られたものは切られたことに気づかず戻し切りができる

と。


とりあえず切れ味が確認できた翁は家に戻ろうとしました。


が、なんということでしょう。

家の前に鶴がいるではありませんか。

鶴が話しかけてきます。


私はあの竹林に囚われていました。

お助けいただきありがとうございます。

これから恩返しをするので家に入れてください。でもこれだけは守ってください。

絶対に私の部屋を覗かないでください。


爺は怪訝な顔をしました。

鶴の言葉が理解できないから。

だって人間だもの。by GGE


とりあえず鶴は無理矢理家に入って秘密の部屋に入り込みました。

でもそこにはハリーポッターはいませんでした。

残念、映画にはならなさそう。



爺はというと、

ナタの切れ味は確認できたから桃を切る!

と息巻いています。

ナタのことをナターシャと呼ぶぐらい気に入ったようです。


さて、いよいよです。

ナターシャを振りかぶって桃を切ります。



ぱかーん

ぱかぱかーん

ぱかぱかぱかーん


なんということでしょう


桃の中には赤ちゃんがいたではありませんか


爺は再び戻し斬りをしました。


みんな静かになりました。


誰から話し出そうかと迷っていたとき


桃の中から赤ちゃんの泣き声が。


もぎゃーもぎゃー


みんな認めざるを得ませんでした。

桃の中に赤ちゃんがいたことを。


爺婆は少し気味悪がりましたが

なぜかその赤ちゃんを育てることにしました。


名前を

 桃太郎

と名付けて。


一部始終を見ていたいぬ、さる、きじ、村人たちは桃太郎を爺婆と一緒に育てあげました。


桃太郎はすくすくと成長して

運動神経抜群

学力もハンパない

身長もそれなり

髪型はイマイチ

そんなレディー達がほっとかない超ハイスペックな

好青年になりました


成長していく過程で


オレ、オニタイジ、イグ


という口癖が少し気になりましたが

爺婆も歳なので

そんなこと大して気にしてません。


そんなある日

桃太郎はいつものように言いました。


オラ、オニタイジ、イグ

オニ、クチクスル


いつもと同じかと思いきや

爺婆は本気を感じました


可愛い子には旅をさせろ

と言うではありませんか

行かせましょう、爺さん!


と婆さん


いいですとも!


と爺さん


まるでダブルメテオでも打ちそうな雰囲気です。

そんなことしては村がひとたまりもないので我慢します。


そんなこんなで婆は桃太郎に団子を持たせました。

爺さんはナターシャを持たせました。

そうして桃太郎の鬼退治の旅は幕を開けるのでした。


つづく。


次回、


旅の仲間たち。

〜太郎と太郎と太郎と太郎〜