月曜、息子は旅立っていった。

 

これから3日間、おひとり様となった私はこの貴重な時間を有効に使おうと

あれこれ計画を練っていた。

初日、二日目、私は1人時間を堪能していた。

3日目最終日は仕事帰りに寄席に行こうと決めていた。

 

しかし・・・3日目の朝、息子からLINEが。

「体調を崩したので帰ります」

 

へ?

 

慌てて電話する。

 

昨日から体に違和感があった。

すると今朝喉の痛みが出たため、コロナかインフルかもしれないから

帰りたいと学校に申し出たらしい。

 

学校側はまず、養護教諭に診てもらうと

熱はなく(37.5)喉の痛みだけなので、問題ないと判断された。

 

しかし、その日はディズニーランドに行くことになっていたため、

息子はそんなところに行って悪化したら大変なことになると思い、拒否。

 

しかし学校は1人の生徒をホテルに残しておくわけには行かないし、養護教諭も同行する

ディズニーランドにどうしても連れて行きたい。

見た目そこまで具合悪そうに見えなかったため、そう思ったのかもしれない。

(メンタルだと思われていた)

 

電話で話を聞いた私もメンタルだと思い、救護室で待っていればいいからとにかく一緒にディズニーランドに行ってほしいと

息子を説得していた。

すると息子は

「なんで僕が具合悪いって言ってるのに信用してくれないんだ!それでも親か!!」と激怒り。

 

ディズニーランドには絶対に行きたくないという意志は伝わったので(理由は不明だが)

ひとまず、他の先生がいる学校に移動して、そこで待機してもらう。

コロナかインフルかもしれないと心配しているようだったので、検査だけしてもらったら

どちらも陰性だった。

 

それで安心するかと思いきや、息子は陰性だろうが、体調が悪いのは変わりないので、早く帰りたい。

しかし、大人たちは帰らせてくれそうもないから、病院に行ってドクターの診断を仰ぎたいと

主張した。

 

病院に連れてってもらったが、診察は4時間待ちだと言われ、ひとまず、学校に戻り保健室で待機。

その間、お昼に買ってきてもらったうどんとおにぎりを完食していたらしい。

喉の痛みも取れて、階段も駆け上がっていたので、これで病院で「大したことないよ」とドクターに言われれば

本人も納得して最終日までいるだろうと私も学校側も思っていた。

高校生とはいえ、まだ未成年の生徒を一人で帰すことはできないため、必ず保護者に迎えに来てもらうということだったが

私は正直行きたくなかった。私は車を持っていなかったから電車で迎えに行くことになる。片道2時間はかかる場所だ。

 

学校側の言い分では息子はすこぶる元気そうだったし、急遽、仕事を休んで迎えに行く気はそのときはなかった。

 

しかし、再度訪ねた病院で待っている間に熱が38.5まで上がってしまった。

コロナもインフルも陰性だったが、体調は悪化していた。

ドクターの診断は急性上道気炎で、無難な漢方を処方され、

「軽く隔離は必要だが、合宿は継続しても大丈夫」との判断だった。

 

38.5もあるのに、継続してもいいと??

学校の言い分としては「ダウンを着ていたので、熱が一時的に上がったようで、今は37℃台に下がってます」とのこと。

 

よくわからない。

37℃台だって息子の体質からしてみれば、立派な発熱なんだけど。

 

38.5まで上がったと聞いて、私は迎えに行く決断をした。

「今夜迎えに行きます」

 

仕事を定時で上がり、急いで家を出たのが17時半、学校に到着したのが19時半。

息子を引き取り、とんぼ返りして家に着いたのが22時近く。

 

帰宅して熱を測ると37.8あった。

「夜になって熱が上がるようでしたら、もう一度受診して検査を受けてください」と

言われていた。

 

 

息子が早々に帰りたいと言ったのには理由があった。

自分を迎えに来る母親は車は運転できないから、電車で迎えに来ることになる。

そうなると、もし自分が悪化していたら、連れて帰るのが大変になる。

だから、いまのうちに、まだ自分に体力があるときに、帰った方がいい。

 

そう思っての「帰りたい」だった。

 

熱がなかったり、食欲があったとはいえ、自分の体調が「ただごとではない」と直感したからこそ

早めに判断したのに、それが周りの大人たちにはわかってもらえなかった。

ただのわがままだと思われたことが悲しかったし腹立たしかったのだろう。

 

最初の二日間で、息子は同部屋の生徒達とは楽しく過ごしていた。

「ほんとにみんないい人ですごく楽しかったし、もっと一緒にいたかった」とも話していた。

 

そうか。

私はまた馴染めず嫌になって逃げだしたいのだと思っていた。

 

 

息子は私が考えることのはるか先まで考えて行動できるようになっていた。

まだ、言葉でうまく伝えることができないため、誤解されてしまうのが難点。

 

それでも、自分の直感を信じて、ここまで大人たちと戦って、帰宅できたのは

よかったと思う。

同部屋の先に咳をしていた生徒は先生に説得され、ディズニーランドに連れていかれたそうである。

 

ただの風邪だから大丈夫 と判断する。その背景にはわざわざ保護者を呼ばないといけないとか

その分一人人員を確保しないといけないとか返金問題とか正直面倒な仕事が増えることを考えると

説得して集団行動をさせようとする体質は学校あるあるだ。

私もそう。

喉が痛いだけだったら、大丈夫でしょ。

こっちは仕事休めないんだからもう少し頑張ってよ。

 

こんなこと、自分が体調悪い時に言われたら地獄だ。

 

私は息子の体調より自分の都合を優先しようとしていた。

 

ダメな母親だ。

朝に電話で迎えには行けないと言った時

「それでも親か!」と言われた息子の言葉が刺さる。