前回の記事(「咬合平面と一般歯科」)で
保険診療中心の一般歯科の先生方が
咬合平面をあまり気に留めなかったり、
患者を正面から見る必要性を
感じなかったりするのも
仕方がないことなのかな、
ということを書きました。
それで、今回は
基本自費診療である矯正を行っている先生について
書いてみたいと思います。
個人的には、
矯正を専門にしている先生なら、
一般歯科の先生とは違って、
咬合平面の前後ベース&左右ベースの傾きについて
十分に配慮した治療プランを立ててくださるものと
期待しています。
もし仮に、の話ですが、
咬合平面や顎関節に関する知識
(←例えば、前回も引用させて頂いたこの記事に
書いてあるようなこと)
を学ばなくても、
日本矯正歯科学会の認定医を取得できるように
仮になっているとすれば、
日本矯正歯科学会への(私の個人的)信用はガタ落ちです。
ですが、
まあ、さすがにそんなことはないと思います。
認定医制度が作られたそもそもの目的は、
ありていに言えば、
「一定レベル以上の矯正の知識と技能をもっている先生を、
素人である患者が見分けることができるように」
ということなのでしょうから。
認定医・指導医の先生方は
頭部X線診断をもとに
顎関節に負担を与えずに
楽に噛めるような咬合平面を
治療ゴールとして設定する実力が
身についているはず、と期待しています。
(例外ケースがゼロとまでは思っていませんが。)
他方、「矯正医」を名乗っていたとしても
MEAW/GEAW矯正派の先生の場合は要注意です。
(MEAW/GEAW矯正派の先生の見分け方はこちら。)
何故かというと、
私の経験上、
MEAW派の先生の知識や考え方は、
矯正治療に適しているようには感じられず、
どちらかといえば
「噛み合わせの左右差に疎いなど一般歯科的」なままに思えるからです。
信頼して矯正治療をお任せできるほどの資質は
お持ちではないと考えたくなる要素が
いろいろとあります。
例えば、
「過蓋咬合という不正咬合を
見落とす(それと認識できない)」
など、
詳しくはこちらの記事(→MEAW矯正って -続きの続き-)
に、「あぶない先生あるある」として
あぶない要素をリストにしてありますので、
見て頂けると嬉しいです。
今回は、特に「咬合平面」に関して、
MEAW矯正派の先生の知識や考え方の「怖さ」について
書いてみたいと思います。
まず、
前回のブログの中で
引用した記事(「嚙み合わせで顔や体がゆがむ?」)を
見た時の毒歯科医の反応です。
「毒歯科医」はもう何度も
このブログに登場していますが、
MEAW矯正派の先生の実例として
再登場してもらいます。
昨年、親族の行事のために
久しぶりに親戚が一堂に会しました。
その機会に乗じて、
毒歯科医と個別に面会して、
子どもの時に親を介して
奥歯の不本意な抜歯を強要されたことについて、
そしてそのために顎の歪みが出て苦しんだことについて、
お話を伺うことができました。
数十年も前のことなので、
相手にとってはもちろん
「寝耳に水」の話となるので、
私もどう切り出したものやら、考えあぐねて、
事前に私が記憶している一連の出来事を書きとめた紙と、
「嚙み合わせで顔や体がゆがむ?」の記事を用意して
もっていきました。
私の記憶からの話に対する毒歯科医の反応は、
「想像通り」と言うか・・・
率直に言えば、
想像を遥かに超えて、不誠実かつ傲慢なものでした。
いつか事情が許せばブログに全て書きたいと
思っているのですが、なかなか重たい話で、
難しそうです。
嚙み合わせの記事については、
面会の席上で読んで頂くには
少し長すぎると思ったので、
記事の中の1ページ(↓下の方にスクリーンショットを
貼り付けた部分)だけを見せました。
「日本歯科大学教授の小出馨先生の監修」ということも、
忘れずにしっかりと書いておきました。
↓下のスクリーンショットでは
字が小さくなってしまっていて
見づらいかもしれませんが、
「嚙み合わせのずれが顔や全身に及ぼす影響」
というタイトルで、
「右に比べて左の奥歯が低い人は、
(中略)顔がゆがんでいきます。
顎の先端が左にずれて左右非対称になったり…」
と書いてあります。
要するに、
「片側の奥歯が低い」→「顎が歪む」と
はっきりと書かれています。
毒歯科医はこの記事を一通り見て、こう言いました。
「顎の歪みは、
左右にある顎の関節に問題があって
下顎がずれるから生じるのであって、
嚙み合わせが原因ではないんですよ。」
呆れました。
こういう一面的な知識の人が、
一人前の顔をして矯正治療を行っていて
大丈夫なんでしょうか???
確かに、かみ合わせとは無関係に
顎関節そのものに問題があって
(軟骨が擦り切れているとか?)
下顎の動き方が歪んでる人もいるかもしれません。
でも、
奥歯の高さの左右差が、
時間の経過と共に顎・顔・体を歪ませていく可能性を
説明されても理解できない歯科医なんて、
存在価値があるんでしょうかね?
こういう人が、よりによって、
MEAWというワイヤーを使って
患者の口の中の奥歯の高さを
自由に動かしていて大丈夫なんでしょうか?
私は「恐ろしさ」を感じますが。
また、
MEAW/GEAW矯正派の先生方のホームページには、
「咬合平面」に関して、
こんなこと↓が書かれていたりします。(注1)
● MEAW矯正は歯の圧下と延出が自在に出来るために、咬合平面をコントロール出来るという点が最大の強みです。
● MEAW矯正では咬合平面をコントロールすることでスペースを作り、正しい顎の位置で咬めるようにします。
● 咬合平面のコントロールは臼歯の後方傾斜移動によって行います。
これを読んで、皆さまはどんな印象をもたれますか?
6年前の、矯正を始める前の私が
上のような説明を読んだら、多分、
「MEAW矯正って、非抜歯で矯正できて、
奥歯の咬合平面を整えてくれて、
顎の歪みを正しく治してくれて、
いいことばかりじゃない?」
と、勘違いしたと思います。
でも、今の私は違います。
毒歯科医による抜歯事件のことや、
矯正が予定の倍の時間かかりそうなことなどがあって、
私も矯正についていろいろと調べました。
歯科相談の掲示板に寄せられる相談も
文字通り隅から隅まで読みました。
今では、もしかすると、
回答者のどの先生が、
どのような傾向の回答をされるかまで、
予想できたりするかもしれません。
今の私が
MEAW矯正派のホームページに書かれていることを読むと、
「素人である患者、特に私のように
顎の歪みに苦しんでいる患者に
誤解を与えるような書き方をしないでほしい」
とイライラします。
上の方で引用したような
MEAW/GEAW矯正派の先生方のホームページ上の説明を、
誤解を生まないように、
そして、
MEAW矯正のメリット・デメリットがわかるように
書き直せば、
概ね、次のようになると思います。
(あくまでも、私個人の理解です。)
● MEAW矯正は、臼歯を後方傾斜することによって、
(親知らず以外の)全ての歯を並べるためのスペースを
確保しようとするものです。
● 「非抜歯で行う」というスローガンに従う必要があるため、臼歯の後方傾斜だけで十分なスペースを確保できなかった場合は、無理に歯を並べることになるので、歯茎に負担がかかるかもしれません。
● 臼歯の後方傾斜は、あくまでもスペース確保が目的なので、後方傾斜によって臼歯部の高さが変わったとしても、それによって顎の位置が正しくなる、という保証はありません。
● MEAWという特殊なワイヤーで、スペース確保を目的として臼歯を人為的に動かすことによって、左右の臼歯部の高さが揃わなくなり、咬合平面が傾いて顎が歪んでしまう可能性があります。
矯正先の先生をお探し中の皆さまで、
「非抜歯でできる」ことに魅力を感じて
MEAW矯正をお考えの方がいらしたら、
本当にそのMEAWの先生に矯正をお願いしてよいのか、
慎重にご検討されることをお勧めします。
MEAW矯正派のHP精読シリーズ↓を
まだ読まれていない方がいらしたら、
こちらも見ていただけると嬉しいです。
長文を最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(注1)
このような記載のあるクリニックへのリンクは
控えさせて頂いております。
もしよろしければ、
「MEAW矯正」「非抜歯」「咬合平面」
といった語を使って検索して頂くと、
MEAW/GEAW矯正派の先生のHPを見つけられると
思います。
出典
「噛み合わせで顔や体がゆがむ!?あなたの嚙み合わせはだいじょうぶ?」
監修:小出 馨(こいで・かおる)先生
日本歯科大学 名誉教授

