AIを使うことで、

矯正治療後の顔かたちを高精度で予測して、

3次元画像で事前に確認できるかもしれない、

というご研究を見つけました。

 

 

↓こちらの先生のご研究です。

 

谷川 千尋 「矯正歯科治療後の三次元顔形態を予測する 人工知能システムの開発」

 

素晴らしいですね。

早く実用化されるといいなと思います。

 

 

既にご研究の成果は

国際誌にオンライン公開されていますので、

下のほうに出典情報を載せておきます。

 

 

この論文の日本語バーションらしきものも

表題で検索をかければ

すぐに見つけられると思います。

(pdfファイルになっているので、

リンクがうまく貼れなくて、

ごめんなさい。)

 

 

ご研究の内容を

理解できた範囲で簡単にご紹介すると…

 

 

小臼歯4本抜歯で治療した65名の患者の

治療前と治療後の

 

a)3次元顔面画像

b)  頭部エックス線画像(横顔)

 

の2種類の画像資料を研究の出発点とした。

 

まず、b)を使って、

前歯の後退量などの骨の変化を

「治療方針」として抽出した。

 

次に、

治療前と治療後の3次元顔面画像と

「治療方針」をもとに

AIに深層学習させた。

 

これによって、

治療前の顔形態から

治療後の顔形態を計算・予測できるシステムが

構築された。

 

その予測精度は 臨床応用可能な範囲であった、

とのことです。

 

論文を読んでの疑問点がひとつ。

 

実際に実用化された場合ですが、

 

治療前の顔面画像に加えて、

担当医が各患者について

個別に決定する治療計画(骨の移動量)も

何らかの形で反映されて、

治療後の顔の予測画像が出てくるのか、

 

それとも、

治療前の顔面画像データをもとに、

「治療方針」情報としては

「小臼歯4本抜歯」のみが加味されて、

治療後の顔の予測画像が出てくるのか、

 

そこのところはよくわかりませんでした。

 

 

どちらにしても、

このシステムが実用化されれば、

抜歯矯正によって前歯を下げた時に、

唇などの軟組織がどのくらい下がるかが、

治療前に3次元画像で患者にもわかるようになる、

「見える化」する、ということですよね?

 

素晴らしいですね。

ぜひぜひ、早く実用化してください!

 

 

ついでに、お願いがあります。

 

顎の横ずれ患者にとっても、

 

矯正治療のやり方に応じて、

つまり、

外科手術併用の治療なのか、

カムフラージュ治療なのか、

まっすぐに顎を動かして咬めるようになる治療なのか、

によって、

 

顔かたちがどのように変わるのか(変わらないのか)は

とても気になります。

 

ぜひ、顎の横ずれ患者の画像資料をもとにして、

AIに深層学習させて、

顎ずれ患者用の予測システムを作ってください。

 

現状では、先生の頭の中だけにある

治療後のイメージを、

患者にも見えるようにしてください。

 

 

 

出典

Tanikawa C, Yamashiro T. Development of novel artificial intelligence systems to predict facial morphology after orthognathic surgery and orthodontic treatment in Japanese patients. Sci Rep. 2021 Aug 4;11(1):15853. doi: 10.1038/s41598-021-95002-w. PMID: 34349151; PMCID: PMC8339122.