歯列矯正に関する論文を何本か読んでみて、

腑に落ちたことがふたつあります。

 

 

ひとつめは、「カムフラージュ治療」について。

 

「いろいろと大変な思いをする外科手術をしないで、

矯正単独でつじつま合わせをする方法」ということで、

外科手術をしたくない人のための、

「お手軽」・「簡便な」「取っつきやすい」治療法

というイメージがもたれやすい気がします。

 

でも「カムフラージュ治療」は

本当は全然「お手軽ではない」と思いました。

 

 

特に、顎の横ずれ患者に

カムフラージュ治療を行って、

その結果に患者が満足できたとしたら、

その先生は多分、

腕がいいと考えていいと思います。

 

 

何故なら、

顎の横ずれ患者に対するカムフラージュ治療は、

歯を動かしていくときの目標として、

歯列模型のような標準型を想定することが

できないからです。

 

3次元的にずれた土台(歯槽骨)

(←どういうふうにずれているかは

もちろん、患者ひとりひとりによって異なります)

の上で、

一本一本の歯が

どのように(位置、高さ、傾き)並べば、

咀嚼時の顎の動きを邪魔しないで

上下の歯がうまく咬みあうのか、

その歯列状態を、

矯正前検査の結果をもとに

担当医が一からイメージしないといけないからです。

 

その上で、

イメージした歯列を実現するべく、

一本一本の歯を動かしていかないといけないからです。

 

 

だからきっと、

満足のいく結果を出したいと思ったら、

模型のような標準型を

ゴールとして設定できる場合に比べて、

より多くの知識と経験が

担当医に必要となってくると思います。

 

つまり、患者の側からすると、

知識と経験を備えた、

本当に実力のある先生を

見つけることが、

最初で最大の関門かもしれません。

 

現状では、認可を受けた先生だけが、

外科矯正を保険適用で行えるシステムになっていますが、

それと似た感じで、

歯科医がカムフラージュ治療を

(自費診療として)行うためには、

何らかの認可を受けなければいけないように

なったらいいのにな、と

ひとりの患者としては思います。

 

そうなったら、

安心して治療をお願いできる先生を

探しやすいのになあ、と。