子どもの頃、

家の中で自分の居場所といえるところは、

学習机の周り半径1メートルだったのだから、

プライバシーというものは

ほとんどありませんでした。

 

友達を家によんで、

子供部屋で遊ぶ、

という楽しみもありませんでした。

 

小学校高学年の頃、

私は日記を書くようになりました。

机の上の本棚の中に隠していましたが、

母は私が学校に行っている間に

盗み読みしていました。

 

「日記を読まないで」と母に頼むと

母は、

「子どもが何を考えているのか、

母親には知る権利がある」

と突っぱねました。

 

自分の部屋もなく、

日記を書けば、盗み読みされる。

 

くずかごに捨てた書き損じや

ただのゴミも

いちいちチェックされる。

 

監獄にいる囚人だって

日記や信書は検閲されないと思うんですが。

 

子どもは罪人以下、

家畜かペットか物品ですか?

 

こういう扱いを受けながら

思春期を過ごす子どもが

本当に、精神的に健全に育つと言えますか?

 

家庭の中のどこにも

安らげる場所はありません。

 

泣くことができたのは、

夜、ふとんに入ってから

声を押し殺して泣く時だけでした。