ささいな、

そして星の数ほどある

毒親エピソードのひとつ。

 

大人になってから

自分のお金で矯正をする場合、

それも結婚して親とは同居していないなら、

普通は親にいちいち許可や同意を

求めたりしませんよね?

 

親が矯正に賛成であろうとなかろうと

関係ないって

今なら私にもわかります。

 

でも、数年前、

いざ自分が矯正を始めるときは、

「事前に親に言っておかなくては。」

という強迫観念にかられて苦しかったです。

 

そして、

「言えばきっと反対される。

この年で矯正に大金かけるなんて

やっぱり馬鹿げているよね?

どうしよう。」

と一人で悶々としていました。

 

(主人には、ちゃんと事前に言いましたよ。

「100万+α」かかることまでは

言いませんでしたが。)

 

それで何かの電話のついでに

勇気を振り絞って

「今度、歯の矯正するの。」

と母親に言ってみました。

その時は、

「あんた、そんなに歯並び悪かったっけ?」

と言われただけでした。

 

私の顎ずれと歯並び悪化の原因が

子どもの時に押し付けられた

片側抜歯であることに

母親は全く気付いていないということが

わかる発言ですが、

矯正に反対されたり、

嫌味を言われなかったというだけで、

その時の私は満足だったというか、

とにかく、ほっと胸をなでおろしました。

 

ブラケットとワイヤーを装着したあと初めて

母親と会ったときに言われたのは、

「それ、いつまでつけてるの?

みっともない。」

でした。

この時は、さすがに

とてつもない疲労感に襲われました。

 

「何、言ってるの?

ワイヤー、かわいいでしょ。

誰も何も言わないよ。」

と言い返すと、

「みんな、可哀そうだと思って

黙っているだけよ。」

とのこと。

 

世の中の普通の母娘の会話って、

いったいどんな感じなのでしょうか?

 

うちの場合は、

母子共にあまりおしゃべりではないです。

 

お互いにずっとだんまりというのも

気まずいので、

ふつうの世間話(いちおうポジティブな内容)を

もちかけてみるのですが、

いかにもつまらなそうに

「ふうん」と言われるだけなので、

会話が続きません。

 

仕方なく二人でだんまりしている時間が

長いです。

(物心ついたときから、

食事中はテレビがつけっぱなしの家庭でした。)

 

で、母親が口を開くと、それは

私自身や私の家庭のことについて

馬鹿にしたり、

小言やダメ出しを言うためなのです。

 

そして私はあまりに唐突で、

「それって何かいけないこと?」と

言いたくなるようなダメ出しを、

ただ黙って聞いているという感じなんです。

 

このケダルい関係は

私が成人して独立してからのもので、

子供の頃の家庭内環境に比べれば、

ずっとずっとましな状態ではあるのですが・・・。

 

でも、母親と会うと、

精神的に疲弊するんです。

 

最近は

「この人は、いつまで私を

自分勝手にコントロールしようとするのか」

という怒りすら覚えます。

 

知り合いに5歳ぐらいの女の子がいるのですが、

その子は私の矯正装置が珍しかったらしく、

「歯に何つけてるの?」

と聞いてきました。

 

「お医者さんに言われて、歯並びを治しているの。」

と答えると

「痛いの?」

と心配してくれました。

 

きっとお父さん、お母さん、ご兄妹みんなが

お互いを大事に思い、

いたわりあいながら、

過ごされているご家庭なんだろうな、

と思いました。

 

私も、そんな家庭に生まれたかったです。