今回は

顎関節症の患者の歯を

何も考えずに削ろうとする

歯医者さんがいますので、

注意してくださいね、

というお話です。

 

20代後半、

いろいろなストレスが重なって

睡眠中の噛みしめが

ひどくなった時期がありました。

 

無意識に噛みしめているとはいえ、

脳が何か異変を感じるのか、

奥歯が全て粉々に砕ける夢を

よく見ました。

 

噛みしめるのはいつも、

高校生のときに

小臼歯を一本抜歯された側(→「毒親と歯 -5-」)で、

かみ合わせが抜歯で低くなっている上に、

ものすごい力で噛みしめるものだから、

この時期に顎の歪み(口元の傾き)が

いっきに進みました。

 

顎が鳴る、

顎が痛くてあくびができない、といった

顎関節症と思われる症状も

出ていました。

 

これではいけないと思って、

噛みしめる場所に指を入れたまま

(一見、指しゃぶりをしているように見える)

寝ることにしてみました。

 

睡眠中に噛みしめが始まると、

指の噛まれた痛みで目が覚めるのが

好都合だったのです。

 

ところが、

噛まれた時の痛みが

想像以上に強くて、

今度は指の爪が

かみ砕かれてしまうのでは、と

心配になりました。

 

その頃ちょうど、

「顎関節症」というものが

一般に知られるようになってきて、

「虫歯でなくても、顎の調子が悪い時は

歯医者さんに相談するとよい」

ということが、

言われるようになってきました。

 

それで、

「指を入れて寝なくてもよいように、

マウスピースか何かを

用意してくれるんだろう」と期待して、

私も近所の歯医者さんに行ってみました。

 

引っ越したばかりだったので、

初診の歯医者さんでした。

 

主訴は

「右側の睡眠中の噛みしめがひどくて、

顎がつらい。顎が鳴る。顎があまり開かない。」

でした。

 

顔を見れば、

顎の歪み(口元の傾き)がひどいことは

一目で分かるはずでしたし、

歯列矯正をしてもらいに行ったわけではないので、

「顎が歪んでいる」ことまでは書きませんでした。

 

順番が来て、診察椅子に案内されて待っていると、

ほどなく歯医者さんが来ました。

 

初対面です。名前だけの自己紹介のあと、

歯医者さんはタービンを手にして、

「噛みしめがつらいのなら、

その当たっている右側を0.2ミリほど

削れば楽になりますよ。はい。」

といって、タービンを近づけてきました。

 

今の基準から言ったら、

あり得ないレベルの診療だと思います。

当時としても、多分、かなり酷い方だと思いますが・・・。

 

「えっ、マウスピースを作ってくれるんじゃないの?

噛みしめで高さが低くなっている右側を削ったら、

もっとひどくなるんじゃないの?」と

頭の中で一瞬考えたものの、

タービンが口に近づいてくるので、

けがしそうで怖くなって、

とっさに口を開けてしまいました。

 

そして歯医者さんは削り始めました。

 

削られながら、

もう一回頭の中で考えました。

「噛みしめで高さが低く

なっている右側を削ったら、

もっとひどくなるよね?

取返しがつかなくなるよね?」

 

「これ以上削られてはいけない」

と思った私は、

回転中のタービンが

口の中にあるにもかかわらず、

怖かったけれど、

口を半分ぐらい閉じてみました。

 

幸いなことに、

タービンは止まりました。

「・・・もう、削らなくていいの?

あともう少しなんだけど。」

と言われたので、もちろん断りました。

 

この歯医者さんは、

性格には問題はないのかもしれません。

 

でも、顎関節症と思われる患者に

いきなり咬合調整するような先生のところには

二度と行きたくありません。

 

(睡眠中の噛みしめは、

その後3か月ぐらいで、

ストレスが軽減したのと同時に

おさまりました。)