ミトコンドリアは活性酸素の産生装置であるとともに、活性酸素の最大の消去装置です | 青山ヒフ科クリニック院長Dr.亀山のオフィシャルブログ

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表参道にある青山ヒフ科クリニック 院長 亀山孝一郎のブログです。


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人体で生じる活性酸素の90%以上はミトコンドリアで生じます。

ミトコンドリアの電子伝達系において酸素に水素が結合して水が生じるのですが

このとき酸素と水素の間の電子のやり取りにエラーが生じてしまい、

取り込んだ酸素の1から2%が活性酸素となってしまうのです。

最初に酸素分子に電子が付着したスーパーオキシドが生じます。

スーパーオキシドは周囲の蛋白、脂質、DNAなどから電子を奪いダメージを与えるので

スーパーオキシドを過酸化水素に変換するSODという酵素が存在します。

 

過酸化水素はミトコンドリア内のグルタチオンペルオキシダーゼ、ミトコンドリア外では

カタラーゼという酵素で水に変換され無害となります。

微量の過酸化水素はミトコンドリアの膜や細胞膜を自由に通過して、

活性酸素を消去するためのシグナルを核に伝え、

AMPKというリン酸化酵素、PGC-1αという転写因子、あるいはサーチュインという若返り遺伝子を活性化して

若く、新鮮な活性酸素の消去能とエネルギー産生が向上した新鮮なミトコンドリアを新生、増加させます。

ミトコンドリア内にはビタミンC、グルタチオン、ビタミンEなどの抗酸化剤も豊富に存在します。

これらの抗酸化剤は活性酸素に直接結合したり、酸化した脂質に結合して

これらを還元、消去します。

これらをまとめると上の図のようになります。

ビタミンCは活性酸素を消去すると酸化型のビタミンCになります。

酸化したビタミンCを還元するのがグルタチオンというペプチドです。

グルタチオンはその結果酸化します。

酸化したグルタチオンを還元するのがグルタチオン還元酵素ですが、

この酵素が働くためにはNADPHという電子の供与体が必要です。

NADPHはミトコンドリア内の脱水素酵素やグルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)から供給されます。

これらの酵素が働くにはマグネシウムが必要です。

NADPHの構造の一部はビタミンB3の代謝産物であるNADから構成されています。

ビタミンB3やビタミンB3の代謝産物をマウスに与えると、マウスが長寿になる、認知症が低下するなどの報告があります。

またNADPHを供給するG6PDを遺伝子改変で強化したマウスでは、長寿、筋力増強、脳神経活性化が報告されています。

 

最近、活性酸素はシグナル伝達物質として評価されていますが、それを維持しつつ

過剰な活性酸素を消去することが、肌の揺らぎや充実した日々を送るために必要です。

ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンAはミトコンドリアの代謝を上げつつ、抗酸化剤として働き

ミトコンドリア内外の活性酸素を消去するのです。

皮膚は紫外線を直接浴びる、人体で一番活性酸素が生じやすい臓器です。

ビタミンABCを摂取して、なおかつスキンケアで皮膚に供給することは、美しい肌を実現します。

 

ミトコンドリア内の酸化を消去する還元ドミノ反応の最後に登場するのはG6PDという酵素です。

ヒトではG6PDの活性がないG6PD欠損症が発症します。

G6PD欠損した人では赤血球が溶解する溶血反応が生じます。

赤血球に酸素が結合すると、活性酸素を生じます。

赤血球内のSODやカタラーゼが働いて活性酸素を消去しますが、

活性酸素でダメージを受けた赤血球の膜が破裂して、溶血してしまうのです。

 

なぜ細胞膜が破裂する反応が、赤血球に起こるのでしょうか?

呼吸のため赤血球に結合する酸素の量か多いこと以外に

活性酸素の消去装置である、ミトコンドリアが赤血球にないために溶血反応が起こるのではと

僕は推測しています。

ミトコンドリアは赤血球以外の全ての細胞には存在しています。

そのため、細胞が破裂するという現象は他の細胞には起きないのでしょう。

 

ストレスが継続すると、ステロイドホルモンが増加します。

ステロイドホルモンはATP産生が低下して、活性酸素の産生が増加した

いわゆる機能不全を起こしたミトコンドリアを自己消化して

新鮮なミトコンドリアを合成するマイトファジーというリサイクルシステムを抑制します。

飽食もマイトファジーを抑制します。

 

活性酸素を消去するためには、抗酸化剤の内服やスキンケアだけでなく

腹八分の食事、継続的な運動により、常にフレッシュなミトコンドリアを作り出すことが

大切なのです。