恩田陸「夜のピクニック」。


 高校入試出題の作家さんの作品です。


 昼夜通して歩き続ける高校の行事「歩行祭」を舞台にした青春小説です。主人公は高校3年生の男子と女子の2人ですが、取り巻く生徒達にも光が当たるので青春群像劇のように読みました。


 主人公達は、異母兄弟で没交渉ですが同じクラスになってしまい戸惑ったまま卒業を迎えようとしています。でも、お互いを変に意識してしまい、それが周りからは恋愛感情に捉えられて妙に気をまわされています。そこに、家庭環境問題、妊娠、友人関係、進学問題、幽霊問題?が絡まり合い至高の青春小説となっています。


 私は、通っていた高校が近く、学校祭の準備が自分の家でした。普段話さないクラスメイトも家に来て、意外な一面を発見したり、されたりと青春ドラマ的な場面があったことを思い出しました。

 「青春する」ことの大切さ、時間遡行の無さ、唯一さを教えてくれるおすすめの作品です。


 青春小説だと、昨年全国で1番出題された辻村深月「この夏の星を見る」もおすすめです。



 好きな小説のジャンルがSF、ホラー、ファンタジー、ミステリー小説なので、恩田陸作品は「六番目の小夜子 」などホラー・ミステリー要素のあるものしか読んでいませんでした。

 「夜のピクニック」は「六番目の〜」のホラーっぽさも併せ持った作品で読みやすかったです。名作で気になっていましたが積んだままでしたので今回読めて良かった作品です。