ご覧になった方も居るかもしれませんが、先日、郷土館で収蔵しているカイギュウ化石の発見についてテレビや新聞など報道機関を通して発表をしました。今回は、ちょっとだけ、カイギュウ化石とその報道発表の様子についてお知らせします。

 

 まず、カイギュウが何なのかご存じですか?漢字で書くと海牛と書くのですが、現在のマナティやジュゴンの仲間にあたります。ちなみに、ウミウシと読むと全く別の軟体動物になってしまいます。マナティやジュゴンは熱帯、亜熱帯に生息していて海藻や水草を食べる草食性の哺乳類です。日本では三重県の鳥羽水族館などで飼育されています。

 

 

 

 今回、なぜ、そのカイギュウの化石が見つかったことを発表したのかというと、実は青森県では初のカイギュウ化石発見であることと、発見された77年前には日本でカイギュウ化石の記録がなく、日本全体でみても最も古い時代に発見された化石かもしれないのです!!

 

 

 

 

 ここからは、77年前に見つかっていたのに、なぜ今になって発表なのかの経緯について簡単に説明します。化石は昭和22年に深浦町関の修道小学校付近で発見されたと考えられ、青森師範学校(のちの弘前大学教育学部)の和田干蔵教授が「アオモリゾウの象牙」と鑑定しました。その後、和田教授から郷土館に寄贈された化石は、当館の収蔵庫で保管されてきました。

 

 

 

 ゾウの牙は前歯なので、私たち人間の歯と同じように神経や血管が通る歯髄腔という空洞があります。しかし、今回の化石の断面にはそれが見られません。そこで、島口副館長は次にクジラの肋骨を疑ったのですが、またまた断面を見ると、中央に海綿質、周辺に緻密質が見られます。カイギュウは水底に生える海藻や水草を食べるので、体を重くするために成長に伴い骨の密度が増し、緻密質になっていきます。一方、クジラの骨は成長しても緻密質になることはないというところで大きく違いがあります。

 そこで、島口副館長は、他の研究機関などとも情報交換をしながら、最終的に今回の化石を未成熟のカイギュウの肋骨化石と結論づけたのです。

 

 

 

 報道発表は5月9日(木)に行われ、テレビや新聞など、合わせて10社が取材に来ました。初めてこのような場に立ち会いましたが、次々とカメラのフラッシュがたかれ、記者からの容赦ない鋭い質問が飛び交う空間に、少し緊張と興奮を覚えました。

 

 

 

 カイギュウ化石の解説と記者からの質問に回答していた島口副館長ですが、最後の「時代が変わり見方が変われば大きな発見があることもある。皆さんも様々な目線で物事を見てほしい。」という発言が印象的でした。

 

 令和6年5月25日(土)には一般の方向けに化石を紹介する土曜セミナーを開催します。ぜひ皆さんお越しください。

 

土曜セミナー「77年前に発見されていた県内初記録のカイギュウ化石」

 

●日 時:令和6年5月25日(土)

 

1回目13:30~14:10(受付開始13:00)

 

2回目14:20~15:00(受付開始13:50)

 

●会 場:青森県総合社会教育センター4階 第2多目的研修室

●講 師:青森県立郷土館 副館長 島口 天

●受講料:無料

●定 員:各回とも40人(当日受付)先着順

 

(原 裕太郎)