平成18年12月1日
○議院議員 ○○○○ 先生
青森県タバコ問題懇談会代表世話人 山崎照光
鳴海 晃
久芳康朗
タバコ税の大幅増税や葉タバコ農家の転作支援を始めとする
総合的なタバコ対策の早急な実現にご協力をお願いします
謹啓 日頃より県民の健康と福祉を守るためにご尽力いただきありがとうございます。
私たち青森県タバコ問題懇談会は、県内において禁煙・分煙・子どもの喫煙防止活動を進めている医療・教育・保健関係者や一般有志の市民団体です。国政選挙や首長選挙の際にはタバコ問題についてのアンケートを実施させていただきありがとうございました。
ご存じのように青森県では最短命県であり、健康寿命アップのための最重要課題としてタバコ対策を推し進めているところです。
また、最近厚生労働省やマスコミからメタボリックシンドローム対策が大きな課題として伝えられていますが、日本禁煙学会は厚労省の健康日本21中間評価に対する意見の中で、喫煙が日本人中高年男性の死亡に関連する最大の因子であることを明らかにし、成人喫煙率低下の数値目標を男性25%、女性5%にすべきと提言しました1)。
健康日本21中間評価に対するパブリックコメントの結果は、喫煙率低減の数値目標を設定する意見が多数であり、その中でも最も厳しい第三案(喫煙率半減案)への支持が圧倒的でした2)。
この目標を達成するために必要な施策は、日本禁煙学会が10項目にわたって提言しています2)。
私たち青森県タバコ問題懇談会もこの提言に全面的に賛同しますが、その中でも特にタバコ税大幅増税と葉タバコ農家の救済対策について、青森県の現状に鑑みご理解とご協力をお願いしたいと思います。
タバコ税の段階的な大幅増税は、1) 喫煙率とタバコ病死の減少、2) 医療費の削減、3) タバコ税収の増加、4) 未成年喫煙率の激減、5) タバコ税の逆進性解消という“一石五鳥”の効果があることは諸外国でも証明されています。
医療経済研究機構の試算(2002年)によると、タバコ1箱が千円になれば喫煙者の63%は禁煙してタバコ病死は7万人減少し、医療費は8千億円削減され、税収は逆に1兆円増加するとされています3)。また、タバコによる税収などのメリットが約2兆円であるのに対し、医療費や労働力などの社会的損失が約7兆円、差し引きで毎年約5兆円もの損失を社会に与えているのが実態であり3)、税収のために国民の命が失われてきたこれまでの政策の転換が求められています。
厚生労働省も、平成19年度税制改正の要望事項の中でタバコ税の更なる増税を取り上げており、与党内にも増税に理解を示す国会議員が増えていると伝えられております。
また、日本も批准しているWHOタバコ規制枠組み条約(FCTC)において、タバコ税増税はタバコ規制政策の大きな柱と位置づけられており、費用対効果が最も高く緊急に実現すべき政策課題であると言えます。(費用はほとんどかからず税収増になります)
タバコ税大幅増税の実現には諸方面からの大きな抵抗が予想されますが、真に国民の健康と福祉を考えるなら必ず実現しなくてはいけない課題であり、是非ともご理解とご賛同をいただき、実現に向けて各方面へのお力添えをお願いいたします。
しかしながら、青森県、特に県南において葉タバコ農業で生計を営む県民が多いという現状では、国民の命を守るためのタバコ規制政策は、葉タバコ農家に壊滅的な打撃を与えることと同義であり4)、この二つの相反する現実を両立させてタバコ農家を救済すること、すなわちタバコ税を財源とする葉タバコ農家の転作支援政策を早急に実現することにも取り組んでいただきたいと強く要望いたします。
タバコ問題については業界からの圧力が強く、世界的にはすでに決着のついた議論を未だに繰り返していますが、毎日三百人、毎年十万人以上の国民がタバコによって命を落としているという現実を直視し、守るべき最優先のものは何かという視点から4)、先進諸国に後れをとったこの国のタバコ規制政策について、大所高所に立ったご判断をお願いいたします。水俣病やアスベスト問題と同じ過ちを繰り返すことのないよう、後世の人々にまで責任を持って、私たちの世代でこの問題に決着をつけなくてはいけません。
以上をまとめますと、
1) 健康日本21において喫煙率半減の数値目標を設定すること
2) タバコ税の大幅増税をはじめとする日本禁煙学会の10項目の提言を実現すること
3) 葉タバコ農家の転作支援対策を早急に実施して農家の生計を守ること
につきまして、ご理解とご協力をいただきたくお願い申し上げます。
謹白
参考資料
1) 健康日本21中間評価報告書(案)に対する意見(日本禁煙学会)
2) 健康日本21の喫煙率低減の数値目標とタバコ対策推進を求める声明(日本禁煙学会)
3) たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究(医療経済研究機構)
4) マークさんはなぜ歩かなくてはならなかったのか(青森県保険医新聞記事)
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