しばらく更新が滞ってしまいました💦
また小まめに更新したいと思います。

 



さて、ようやくダビンチ手術です。

 

 

一言でダビンチ手術と言っていますが、

 

ダビンチを使う手術はたくさんあり、

 

私が受ける手術の正式呼称は「経口的ロボット支援術(TORS:トース)」

 

というものです。

 


 

何度も説明してきた通り、
 
ロボットアームが口から喉に入る(口を経由するので、「経口的」となります)ことにより、
 
首の外から大きく皮膚や筋肉を切開する必要が無い手術であり低侵襲です。
 
 
 
これに似た手術で、同じ経口的手術であるビデオや内視鏡を用いた経口的手術(TOVSやETOS)がありますが、基本的に内視鏡手術なので、手ブレがあったり鉗子の動きに限界があるようです。
 
 
 
同じ話の繰り返しになりますが、内視鏡手術はUFOキャッチャー、
 
ダビンチは素手でぬいぐるみ掴みというのがベテラン医師のコメントです。
 
 
 
これらの違いは捉え方によっては
 
小さく感じるかも知れませんが、
 
わずか数センチという狭い領域に
 
「嚥下」
「呼吸」
「発声」
 
に大きく関係する重要臓器が
 
集中しているのが頭頸部です。
 
 
 
当然ですが、これら臓器だけでなく、
 
頸動脈等の血管や多くの神経もあり、
 
手ブレ1つで血管や神経に傷がついてしまう可能性を考えると、
 
ミリ単位での操作が可能になり、
 
大きな精度向上が可能
 
ダビンチの優位性が最も現れる場所の
 
一つではないでしょうか。
 
 
 
また、CTやMRI検査により
 
正確に病変の位置を把握し、
 
カメラでこの病変が見えていても、
 
肉眼的病変だけを切除すれば良いと
 
いうものではなく、
 
切除片の断端に、
 
目に見えないがん細胞を残さぬよう、
 
病変の周辺を10~15㎜程度
 
大きめに切除する必要があります。
 
 
 
切除範囲を大きく取れば、
 
断端陽性(切除した病変の断端にがん細胞が存在する=患者の体の断端にもがん細胞が存在する可能性が高い)を防ぎやすいですが、
 
体へのダメージや後遺症は大きくなります。
 
 
一方で、切除範囲を小さくすると、
 
体へのダメージや後遺症は低減が期待できますが、
 
断端陽性による再発リスクが高くなってしまいます。
 
 
 
どの範囲を切除するかは、
 
病巣のタイプ、
 
大きさ、広がり、
 
浸潤の有無と程度等を
 
総合的に判断し決定されます。
 
 
この切除範囲を「正確に」
 
切除するのもダビンチが有利なのです。
 
 
 
すみません、又も前置きが長くなりました。
 
 
ちなみに私が受けたのは
 
2015年5月に発売された、
 
ダビンチXi
 
によるTORSです。
 
 
2023年1月には最新型となる
 
ダビンチSPが発売されましたが、
 
私が手術を受ける病院は残念ながら未導入です。
 
当日はTORSの権威のお一人を
 
他院から招聘しての手術です。
 
 
他の病院ではありますが、
 
こちらの病院と同じ医局に
 
所属されている医師で、
 
執刀医とは良い関係とのことです。
 
 
 

そして、
 
 
ダビンチ手術となりました。
 
 
全身麻酔が効き始めたと思うと、あっという間に術後の世界になります。
 
 
 
 
 
 
 
 
麻酔が覚め、最初の感想は
 
舌が痛い!
 
 
事前情報では、
 
術後数日間は切除した
 
扁桃周辺が激痛と
 
聞いていましたが、
 
それを感じる以前に、
 
舌が痛すぎてたまりません!
 
 
それもそのはず。
 
 
手術時、
 
口腔内の空間を確保する為に使用した「開口器」で、
 
舌をかなり強く押さえつけていたらしく、
 
舌が2~3倍の厚さ(自分比)に
 
腫れあがっています。
 
 
腫れ以外にも、
 
切れた傷っぽい個所や
 
感覚がマヒしてる場所もあり、
 
一言でいうと「グチャグチャ」です。
(後から写真で見ると舌は赤黒く分厚く腫れてはいましたが、意外に大したことなく、ちょっと大げさかもびっくり
 
 
TORS後の最大の痛みは舌の痛みでしたが、意外にもこの痛みは翌日にはかなりひいてきました。
 
そして、心配してた強烈な喉の痛みはほぼ無く、術後に使用した痛み止めは1回だけ。
 
それも痛みは大して感じなかったのに、お守り代わりに使用しただけでした。これも意外。
 
 
 
どうやら、患部へ施してもらった
 
フィブリン糊と
 
PGAシートによる
 
疼痛と出血防止処置
 
効いているのかも。
 
 
幸い喉の痛みと舌の痛みは痛み止め無しで過ごせるものでしたが、
 
 
別に大きな問題が発生しましたガーン
 
 
舌が大きく腫れあがり、口腔内いっぱいになったことによる嘔吐反射や、
 
 
とめどなく溢れ出る唾液が、舌の腫れで流れが変わってしまい喉の方へ流れていき、
 
 
ウトウトした時などに処理できず何度も溺れかけてむせ込む
 
 
これを延々と繰り返し、疲労のピークだというのに手術初日はほとんど眠ることができませんでした。
 
 
ちなみに、手術で切り取った範囲はおよそ5センチ角程度、切除片は筋肉からか剥がれたことにより引っ張る力が無くなったため、3cm角ほどに縮みました。
 
腫瘍のサイズは1センチちょい、厚みは数ミリだったようで、執刀医からは「思っていたより小さかったけど、予定通り切りました」と、教えて頂きました。
 
 
切除片の写真を見せてもらいましたが、本当に小さく、こんな物のために!と何度も何度も写真を眺め、お願いだから全部切除されていますようにと祈りました。
 
 
病理検査の結果が出るのは1週間後。
 
 
主治医曰く、「病理検査の結果が出るまでは、ステージ1だろうと2だろうと何を論じても意味が無い」とのこと。
 
 
本当にその通りです。
 
 
一週間後、結果が出るまで大人しく待つことになります。
 
 
 
 
続く