イグアナの娘  萩尾望都 | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

 

 

 

 

生まれたのは、元気な女の赤ちゃん:青島リカだった。しかし、母の目にはイグアナにしか見えなかった。その後、生まれた妹:マミは普通の女の子なのに、成長してもリカはイグアナのままだった。周囲の人には、人間に見えるようだが、母とリカ本人には、イグアナにしか見えない。何かにつけマミと比べ、リカに辛く当たる母に、リカの心は……。

『イグアナの娘』

 

 

 

 

タイトル乙女のトキメキ最高びっくりマーク

日本語が難しいことを、再認識しました。

 

「イグアナ娘」の「の」のことです。

私、てっきり「イグアナ」=「娘」で、同格だと思っていました。

まぁ、それでも、この場合は合っているんですが、実は、この「の」は、「娘」を修飾していたんですね。

参りました。

 

 

テーマは、母娘の近親憎悪。

短いお話のなか、似た者母娘の関係を「イグアナ」という見た目ひいちゃうポーン形態を使って嫌悪感を表現しているのは、漫画の特性にぴったりだなぁと思いました。

解りやすいし、またこのイグアナちゃんが、かわいかったふんわりリボンりするのですよ。

 

悲しい生い立ちを背負ったリカが、自分の代でそれを断ち切ることができたラストに、ほっとしました。

 

 

 

 

他に、以下の5編の短編が収録されています。

 

 

 帰ってくる子

幼くして亡くなった弟:ユウが忘れられない母は、日々ユウに話しかける。そんな母を見るにつけ、英明は弟への嫉妬を募らせ……。

母も兄も残された者は、どっちも辛いなぁ。

でも、なしでやってくほかないんだよ。

 

 カタルシス

浪人中の八峰(やつお)ゆうじは、将来に夢も目標も見いだせず現実から逃走中。バイト先のコーヒー店のマスター:塚本や、心理学専攻の大学院生の従姉:ともよらと関わり、自らの居場所を見つけていく。

思春期、反抗期、逃走中。ランニング

青春やね。

 

 午後の日射し

専業主婦:若村賞子、42歳。娘一人と息子が一人。夫から「夫婦は他人」という言葉を聞き心中穏やかでない。高校時代からの友人たちと3人で通う料理教室で、料理好きの青年:海部達夫25歳と出会う。手際のいい彼は、なにかと賞子を助けてくれ……。

夫に浮気ばかりされてる友人:カオルさんの、「現実ってカコク。」の言葉に笑いました。笑ううさぎ

 

でも、最後は収まるとこに収まって、一応めでたし?

賞子さんも、アバンチュール未満で、平凡な終わり方です。

これが、現実ちゃぁ現実。

リアルだと思う。

 

タイトルの『午後の日射し』は、若い頃は、鮮烈な真昼の太陽と例えられるのに対し、賞子の穏やかな年代を表しているようです。

と考えると、”カコク”ってほどでもないかな現実。笑

 

 学校へ行くクスリ

高校一年の二学期最初の登校日、父さんはワープロに、母さんは電気ジャーになっていた。通学途中の電車の中も変な乗客ばかりで、学校に着いても、みんな違う物になっていた。そんな中、中学からの友人:甘木と、オレ:別海かつみがファンだったアイドル:銀野ぶどう似の中川マユミだけは、変わらず人間にみえた。しかし、彼女の頭にも花が咲き、甘木も鳥の頭に……。

周りの人がね、皆なんか変なものに見えちゃう。

カフカの『変身』の逆バージョン?と思ったけど……。

 

中川からもらったクスリ:グリーンドロップを飲むと、頭がさえて勉強が頑張れる。

勉強が頑張れると、成績が上矢印上がる。

 

で、別海くんはお勉強鉛筆に励むわけですが、……。

そこに親の三角関係注意が絡んで、なかなか複雑なニンゲン模様なんだけど、人間じゃない顔に見えるから、深刻さが薄くて、でも、別海くん目線でみると、勉強だけしてれば良いってわけじゃないってことに気づいて……。

ってことで、ええんかな。

 

 

 🦉

    

本 失うと つらいものの 顔を、

もう 見失わないように しよう。

花 

 友人K

中二の夏、転校してきたKは、それまでオレが一位だった100メートル走でも中間テストの数学でも一位を取った。ワルガキで、秀才でクラスのリーダーだったオレは、ムカついた。しかし、次のテストで中の下だったKは、自分は好ききらいがはげしいからと気にするふうもない。なにかと目障りなKをオレたちは、からかったが……。

なぜか気になるK。

Kからは無視されてて、接点もそんなになく一方通行なのに、それでも”友人”?ってオレが呼ぶのが、ちょっと気になります。

 

でも、私もそういう人、いるいると言えないのが、ちょっと淋しいかも。バレエ