第1話はこちら↓
「そうか。電源を入れたら、隠しておくことはできないんだな。だったら、話すしかないよな。…ああ、そうだ。俺は、トキメカシだった」
カズナの告白を聞いて驚き、声が震える。
「『だった』って…昔はトキメカシだったってこと?」
カズナは、ちょっと笑って頷いた。
「ああ、俺もゲームでここに来たときは、トキメカシだった」
「なんで、言ってくれなかったの?」
「ネズミと会ったころは、トキメカシを辞めていたから」
囲炉裏の炭火を突きながら言うカズナの頬が、ボウッと再び勢いを増した炎に照らされ、赤く染まっている。
「辞めていたって…」
私は、自分の携帯をギュッと握りしめた。
「辞めていたって言えば、自分の意思で辞めたように聞こえるだろうが、そうじゃない。俺は、ゲームに参加できなくなっていた。だから、このままここにいるしかないと思って、電源を切っていたんだ」
つづく