短編 39.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。



第1話はこちら↓




「そうか。電源を入れたら、隠しておくことはできないんだな。だったら、話すしかないよな。…ああ、そうだ。俺は、トキメカシだった」

カズナの告白を聞いて驚き、声が震える。

「『だった』って…昔はトキメカシだったってこと?」

カズナは、ちょっと笑って頷いた。

「ああ、俺もゲームでここに来たときは、トキメカシだった」

「なんで、言ってくれなかったの?」

「ネズミと会ったころは、トキメカシを辞めていたから」

囲炉裏の炭火を突きながら言うカズナの頬が、ボウッと再び勢いを増した炎に照らされ、赤く染まっている。



「辞めていたって…」

私は、自分の携帯をギュッと握りしめた。

「辞めていたって言えば、自分の意思で辞めたように聞こえるだろうが、そうじゃない。俺は、ゲームに参加できなくなっていた。だから、このままここにいるしかないと思って、電源を切っていたんだ」






つづく