障害者総合支援法ってなに?(その6) | あおいさんの部屋

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メシュガーがすごい。又村です。

メシュガーは、スウェーデンのデスメタルバンド。なのですが、いわゆる「プログレッシブ・デス」と呼ばれるジャンルに属し、楽曲は変拍子の嵐。しかもポリリズム(笑)という、変態度マックスのバンドです。こりゃ最高だわ。

・・という、パヒ×ームを連想しちゃうネタはさておき、今日も引き続き総合支援法に関するまとめをしたいと思います。

【総合支援法の法律案や法案概要などはこちらから】
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/180.html
※ ページの中段に「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案(平成24年3月13日提出)」というコンテンツがあります


まず、国会での審議状況ですが、4月26日に法案が衆議院を通過いたしました。

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_honkai2.htm

※ 4月26日をご覧ください

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_honkai2.htm

日程第二 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
日程第三 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案(厚生労働委員長提出)
右両案は、議院に諮り、日程第二とともに、日程第三は委員会の審査を省略し、一括して議題とするに決し、これを議題とし、厚生労働委員長池田元久君の審査報告及び趣旨弁明の後、まず日程第二を委員長報告のとおり修正議決し、次に日程第三を全会一致で可決した。


・・ということで、「修正案」で衆議院を通過してのですが、大きく目を引く点として

★ 障害程度区分の名称変更と認定の適正化

が挙げられます。特に「障害程度区分の名称変更と認定の適正化」については、

○ 「障害程度区分」を「障害支援区分」に改める
○ 知的障害者及び精神障害者(当然、発達障害も含まれます)の特性に応じて適切に行われるよう、区分の制定に当たっての適切な配慮その他の必要な措置を講ずる

と明記されました。これについては、前回の投稿でまとめた総合支援法の要点に加えて、今後触れていきたいと思います。

さて、今回は内容の第1回目ということで、このテーマを。

1 法律名称
「障害者自立支援法」を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」とする。

又村個人としては、中身さえ良ければ法律の名称は何でもいいのですが(笑)そうはいっても「名は体を表す」というとおり、法律名称はその法律が目指すところを端的に示すものです。
これまでの「障害者自立支援法」は、障がいのある人の「自立」を支援するための法律・・という意味あいを持たせてネーミングされていたものです。ここでいう「自立」とは、自力で何でもできるようになる、という趣旨ではなく(そんな人は世の中見回してもいませんね)必要な支援を得ながら自分の意思に基づいてその人なりの暮らしを確立するという趣旨であると考えられています。その意味では「自立」というより「自律」と表した方が良いのかも知れません。ただ、法律名称としては「自立」という単語でないと一般的ではなかったため、障害者自立支援法になったと思われます。

ところが、実際の法律の中身を見ると、ややもすると「身辺自立」であるとか「職業自立」であるとか、「指導」であるとか「訓練」であるとか、ちょっと身構えてしまうような言葉が並んでしまう状況となり、実際の制度運用上も訓練等給付の生活訓練や就労移行支援などが年限を区切った利用になるなど、「自立」の打ち出しが強いものとなっていました。(そのことも、総合福祉部会において改善すべき課題として指摘されました)

そういったことも踏まえて、今回は自立支援法の名称自体を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」と変更したのだろうと推測されます。名称だけ変わって実際の運用が何も変わらないとなったら、看板の架け替えを非難されることになるわけですが、現時点では法律名称から「自立」という単語はなくなり、代わって「日常生活及び社会生活を総合的に支援」という一文になった点を押さえておきたいと思います。

暮らしの中で自分でできることが増えていくことはマイナスではありませんし、働きたいと思っている人が働けるようになることは決して悪いことではないと思います。一方で、できないことを無理にやらされるのは単なる苦痛ですし、準備期間が十分でない状況で就労を求められるのは働く意欲をそぐことにもなりかねません。現実が言葉で書くほど簡単でないことは重々承知していますが、個別の状況に応じた「総合的な支援」が大切なわけです。

そのことが、今回の法律名称変更に表されていることを期待したいと思います。


では、こんな調子で次回以降も続けていきます。