おはようございます。

少し前になりますが、某市町村の環境課の依頼を受けてこの地方に自生していますカンアオイの種を採取して種播きをしました。

※種の採取は開花期・品種によって完熟する期間が異なる

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採取した花

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果実のようす

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子房各室(6室)に種が並んでいる。この膜のような物質(子房壁)を剥がして種を取り出し、サッと水で洗います。

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※花(種)は完熟すると自然に茎から外れますが、その場合は、既にこの子房壁の崩壊と共に種は放出されてしまいますので、崩壊する前に花を採取します。

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種は1ミリほどの大きさで、色は薄茶から濃茶が多い・この果実からは19個の種が採取できました。

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採取時点では種の側面に白っぽい物が付いています。これをエライオソームと言います。

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エライオソームは脂肪酸・アミノ酸・糖などからなる化学物質を含み蟻が好みます。

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蟻はエライオソーム付き種を餌として巣に運び、不要な種を巣の近くに捨てます。カンアオイは、これによって分布を広げることができますが、多くは親の株元に落ちるだけですので中々直ぐに分布を広げるというわけにはいきません。

故 前川文夫氏は1万年の間には1kmはいけるだろうとする分布速度を推定されました。


※カンアオイが分布を広げる要因は、この他には、カンアオイの多くは斜面などに自生しているために、大雨による種の流出・土砂崩れなども考えられます。

※種播きは、育苗ポットなどに前もって播種床を用意して充分に水を含ませておき、間隔をあけて種を播き、種が隠れる程度に同じ用土で覆い、水をタップリとかけ、風通しの良いやや明るい場所で常に用土が湿った状態で管理をします。
(私の場合は、用土は鹿沼土小粒を使用していますが、赤玉土でも良い。種播き後は、他のカンアオイと同じ場所に置いて管理をしています。)

*今回播いた種が発芽するのは来年の春2~3月になります。



※保全の一貫として茂ったツタなどを排除しました。

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作業後のようす

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