佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。



脳卒中後の高次脳機能障害に注意障害や記憶障害などがあります。



先日は注意障害や記憶障害に関連が深いワーキングメモリ障害について簡単に記しました。





高次脳機能障害について、患者さんの症状を把握するためにさまざまな紙面上の検査を行いますが、紙面上の検査結果がよくても、日常生活場面で問題が生じている場合があります。



そのため、高次脳機能障害がどのように日常生活に影響を与えているか普段の生活で気がついている症状を思い出していただくようにしていますが、思い出すこと自体が難しいことがあるのです。



記憶障害があるために、日常生活でできないこと、起こりやすいことを気がついた時にメモに残すことも難しいかと思います。



できるだけ日常生活場面での記憶障害の影響を把握するために、所定のチェックリストを使うこともあります。



出典:記憶障害のリハビリテーション


上の「日常記憶チェックリスト」はよく利用しています。



内容が読みやすいように以下に記します。



1.
昨日あるいは数日前に言われたことを忘れており、再度言われないと思い出せないことがありますか?

2.

つい、その辺りに物を置き,置いた場所を忘れてしまったり、物を失くしたりすることがありますか?

3.

物がいつもしまってある場所を忘れて、全く関係のない場所を探したりすることがありますか?

4.

ある出来事が起こったのがいつだったかを忘れていることがありますか?(例:昨日だったのか、先週だったのか)

5.

必要な物を持たずに出かけたり、どこかに置き忘れて帰ってきたりすることがありますか?

6.
自分で「する」と言ったことを、し忘れることがありますか?

7.

前日の出来事の中で、重要と思われることの内容を忘れていることがありますか?

8.

以前に会ったことのある人たちの名前を忘れていることがありますか?

9.

誰かが言ったことの細部を忘れたり、混乱して理解していることがありますか?


10.
一度、話した話や冗談をまた言うことがありますか?

11.

直前に言ったことを繰り返し話したり、「今、何を話していましたっけ」などと言うことがありますか?

12.

以前、行ったことのある場所への行き方を忘れたり、よく知っている建物の中で迷うことがありますか?

13.

何かしている最中に注意をそらす出来事があった後,自分が何をしていたか忘れることがありますか?



この内容について、1ヶ月の間でどのようであったか質問していきます。



質問は本人だけではなくご家族の方にも尋ねます。



また、患者さんが入院している場合はリハビリスタッフや看護師とともに1ヶ月の状態をチェックしていきます。



なかなか日常生活場面での記憶の問題を自分自身で伝えることが難しいのが現状です。



チェックリストなどを用いて、患者さんの日常生活での困りごとを把握していきたいと思います。



引用・参考



1) 綿森 淑子 他:記憶障害のリハビリテーション.リハビリテーション医学 2005;42: 313-319

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1963/42/5/42_5_313/_pdf



☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆