佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。



わたしは作業療法士として仕事をしていますが、介護支援専門員と住環境コーディネーター2級を取得しており、作業療法士としての視点とこれらの知識に合わせて住宅改修時のアドバイスをさせていただいています。



脳卒中後、自宅退院前に住宅改修としてスロープを設置を検討する方がいいかというご質問を時々いただきます。



また、年齢を重ねながらご自宅で生活していらっしゃる方でリフォームを検討するときに玄関にスロープをつけるかどうか悩む方も少なくないかと思います。



スロープとは段差解消のために設置するもので、工事を行うものと、簡易的に取り外しが行えるスロープがあります。



スロープは段差の高さと利用する方の利用方法などによって必要な傾斜が決まります。



出典:住宅改修方法の基礎知識 住宅改修 編


上の図のように、同じ高さを解消するのにスロープが長ければ長いほど、なだらかな傾斜となります。



スロープの傾斜が緩やかであれば、車椅子をご自身で駆動することが出来ますが、スロープの傾斜が急であれば車椅子を介助してもらう移動方法でもリスクが高くなる場合があります。



出典:スロープガイド


さらに、玄関の出入りを杖をついて歩いたり歩行器を使ったり、たまに車椅子で出入りするという場合があるとき、スロープを使うことで転倒のリスクが高くなる可能性もあります。



麻痺側の足に装具装着して歩く場合、足首を固定している状況であれば、スロープを登るときに体が後ろに傾いてしまう可能性があります。



歩行器歩行でスロープを降りる場合、歩行器が体より思ったより前に行きすぎて転倒する可能性も否めません。



おひとりおひとりのお身体の状況やがご自宅の玄関周りの環境、玄関の出入りを独りで行うかどなたかと一緒に出入りするかでスロープを設置すべきかどうかが異なります。



一見万能に見えるスロープですが、デメリットもありますので、住宅改修前にしっかり専門家と検討する必要があるかと思います。



引用・参考


1)住宅改修方法の基礎知識 住宅改修編

https://www.hcr.or.jp/cms/wp-content/uploads/howto_2020_2_1.pdf



2) スロープガイド

https://www.r-nishiken.co.jp/wp/wp-content/themes/r-nishiken_2020/assets/media/slope.pdf