佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。


立つ時やや歩く時、何か麻痺側の手でしたい時に、指が曲がってくることがありますね。


座っている時、指が曲がっているのが見てわかりやすいので、どうしても伸ばしたくなる方もいらっしゃるでしょう。


しかし、麻痺していない反対側の手で、麻痺の曲がった指を伸ばそうとしても、うまく伸ばせないことがあります。


今回は、ご自身の指が曲がることについてのチェックポイントと、寝て麻痺側の指を伸ばす方法をご紹介したいと思います。


 寝た状態で麻痺側の指をチェックする


普段、ご自身の麻痺側の指をチェックするとき、座った状態が多いのではないでしょうか。


また、立ち上がるときに、座っていたときより指の曲がりが強くなる方もいらっしゃると思います。


寝た状態で麻痺側の指をチェックする機会は少ないように思いますので、方法をご紹介します。


 □ 寝た状態を準備する


  1)天井向きに寝る(仰向け)


  2)麻痺側の手をお腹に乗せる

   ・お腹に乗せた手が落ちる場合

    →タオルなどの上に上腕を乗せる


  3)麻痺側手の曲がりが落ち着くまで待つ


 □ チェックしていただきたいこと


  *麻痺側でない手で麻痺手を触ってチェック


  *普段の手指の硬さと同じであるか


  *指の関節が固まっているか


  *指の硬さは動かす速さで変わるか


  *指を何回も動かすと硬くなるか


 □ チェックしたことの解釈


  *寝ているときの方が指が柔らかい場合

   姿勢で指の硬さが変化するということ

   バランスをとるために指に力が入っている


  *普段の手指の硬さと変わらない場合

   指の硬さが姿勢に左右されていない

   指の硬さがバランスに左右されていない


  *指の関節が比較的動く場合

   関節可動域の問題が少ない


  *指の関節があまり動かせない場合

   関節可動域の問題がある

   筋肉の強ばりがあって動かせない


  *指を速く動かすと硬くなる場合

   筋肉の強ばりの原因が痙縮である


  *指を何回も動かすと硬くなる

   筋肉の強ばりの原因が痙縮である


 寝た状態で麻痺側の手を柔らかくする


上記のチェックで以下の項目が該当している場合、座ったときに指がなかなか柔らかくできなくても、寝て指を動かすと柔らかく動かせる可能性があります。


 ✔️ 寝ているときの方が指が柔らかい


 ✔️ 指を速く動かすと硬くなる


 ✔️ 指を何回も動かすと硬くなる


 ✔️ 指の関節があまり動かせない


座っているときは、硬くなりやすい指も、寝ているときは身体全身の力が抜けやすいので、指の硬さがやわらぐ可能性があります。


また、座っているとき、気がつかないうちに力をたくさん使っていると指に力が入りやすくなります。


さらに、速い動きや繰り返す動きで指が硬くなる場合、筋肉の強ばりの種類が痙縮である可能性が高いです。


指の関節が動かせない場合は、関節自体が硬くなっている関節拘縮と、筋肉の強ばりの両方の原因が考えられます。


実際の動かし方





 ◆ クッションをお腹に見立てて撮影しています


 1) お腹に手を乗せて手のひらを下に向ける


 2) 曲がった親指を柔らかくゆっくり引き出す


 3) その他の指を柔らかくゆっくり引き出す


 ポイント:指を強く握らない


      指をゆっくり動かす


      細かくタッチせずに滑らかに


      柔らかく動く範囲で動かす


上記を繰り返して柔らかくなる度に動かす範囲を広げてみましょう。


関節が硬くなっている場合は、痛みがない範囲で筋緊張が高まらない程度に、優しくストレッチしてみましょう。


この方法は、入院患者さんや外来患者さんに勧めている方法です。


お腹に手を乗せたときに、お腹から手が落ちたり、肩の強ばりが出た場合は、肩の下や腕の下にクッションやタオルなどを敷いて、指以外の麻痺側の腕が安定するように準備してみてください。


また、実際にしてみて、違和感や痛みなど出た場合は、中断してください。


わからないことは、お気軽にお問い合わせください。


☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました.。.:*☆