『巴里マカロンの謎』(著/米澤穂信)
アニメ化もされて話題の『小市民シリーズ』。
図書館で借りたのですが、予備知識なしに借りたのでシリーズの中途半端なところから読み始めてしまいました(^▽^;)
とはいえ短編連作集の形で、前作を知らずとも読める内容なのでご安心を。
今回は特別なマカロンを食べるために向かったお店で二人は謎に巻き込まれます。
4つの短編は独立した話なのですがゆるく繋がり、最後に綺麗にまとまっていきます。
こういう構成は好きなパターンです。
鋭い推察力を持ちながら、名探偵になるよりも小市民として生きたい小鳩くんと小佐内さん。
出来るだけ慎ましやかに生活しようと思っているのに何故か事件のほうから二人に近付いてきます。
好奇心旺盛な小佐内さんと不可思議な現象を放っておけない小鳩くんのコンビでは仕方ないことのような気もしますが。
行動力と機転に富む小佐内さんに対し、小鳩くんは状況から冷静に何が起こったかを判断します。
推理という言葉を調べたら『既に分かっている事柄をもとにし、考えの筋道をたどって、まだわかっていない事柄を推し量ること』とありましたが、小鳩くんの推理はまさにそれ。
突発的な閃きや偶然のアシストがあるわけではなく、ただただ実際に起こったことから事件真相の可能性を一つずつ検証していくタイプです。
また二人は謎を解決しますが、その後の処理までは手を出しません。
その先は被害者に委ね、作中で語られることも殆どありません。
米澤氏の別作品で同じく高校生が主役の『本と鍵の季節』もそんな感じでした。
断罪するのは当事者の判断で、探偵役は謎を解いたら退場、というスタイルなのでしょう。
スイーツ大好きな小佐内さんも、慎みをモットーにしながら探偵役を引き受けてしまう小鳩くんも愛らしいキャラクターです。
彼らが活躍する作品がまだ沢山あることを喜びたいと思います。
