『心とろかすようなーマサの事件簿-』 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

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『心とろかすようなーマサの事件簿-』(著/宮部みゆき)

続けて宮部みゆきの現代ミステリー。

読了済みの『パーフェクトブルー』の続編(短編集)で、引退した警察犬マサと、マサの飼い主である蓮見探偵事務所一家が事件が事件の謎を解き明かす。

(下に『パーフェクト・ブルー』の感想記事のリンク貼っておきます)

『パーフェクト・ブルー』は人間視線とマサ視線が融合した話だったが、今回はほぼマサ視点。

マサの魅力や人柄(犬柄?)が充分に知れた。

(しかし人目を避けたとはいえ、こんな勝手気ままに大型犬が歩き回って良いのだろうか)

 

この作品、表題の柔らかなタイトルに惹かれて手に取ったのだが、どうしてどうして。

『心とろかすような』の真の意味が判明したとき、「こわっ」となった。

人の暗部というか闇の部分というか、奥底に渦巻くどす黒いものを表すことに宮部みゆきは容赦ない。

それでも比較的初期の作品のためか、凄惨な描写が控え目だったり悪行を尽くした者にはそれなりの罰が与えらえていた。が、やはり救われない話や箇所もいくつかあった。

話は魅力的で読み進める手が止まらないが、虐げられた者が報われないと事件が解決しても読後感は寂しい。

前記事にも書いたように物語の幅を利かせる為には不幸も必要不可欠な要素なのだが、私は分かりやすく『勧善懲悪』、もしくは『ざまぁ』な話が好きなようだ。

 

もちろん一冊全体が暗い話であるわけではなく、『悪者』を懲らしめる行程など楽しく読める話もある。

魅力的な登場人物も多いので、次は加代ちゃんの頭脳が冴えマサが大活躍するような胸のスカッとする話が読んでみたい。