『リセット』 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

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『リセット』(著/垣谷美雨)

この人はどれだけ男性に辛酸を嘗めさせられた人生を送ったのだろう。

そう感じざるを得ない迫力と怨念を感じる作品だった。

 

専業主婦の知子、キャリアウーマンの薫、その日暮らしの晴美。

全く違う環境に居る三人は、かつて高校の同級生だった。

そんな彼女たちが偶然出会い、その後訪れた趣のある店で30年前の高校時代まで人生を巻き戻す事態に巻き込まれる。

それぞれの『今』に不満や不安があった三人は、今度こそ自分の望む生き方をしとうと人生をやり直そうと挑む。

一度大人になったからこそ、高校時代に気が付かなかった周囲の人達の人間性が違った角度から見えるようになる三人。

過去最大の過ちを回避に成功し理想を求めて歩き始めるが、思い描いたようにはなかなか進まず。

果たして三人は願う人生を送れるのか。

 

この話に出てくる男は、揃いも揃ってクズばかりである。

俺は外で働いているのだからと家事・育児を嫁に押し付けるどころか、思い通りにならないと相手の都合も考えずに当たりまくる。

職場でもいくら結果を残しても「所詮は女のやること」と一笑に伏し、かってな理由を付けて女性の才能を認めない。

昭和の時代の男尊女卑の思想が性根に蔓延る男ばかり出てくる。

(薫に味方してくれる男性上司もいるが、ごくごく少数派で意見も通りにくい)

あまりにゴリゴリのタイプばかり出てくるので、筆者が個人的に男性に恨みでもあるのでは?と勘繰るレベルだ。

主人公たちより10年以上後の世代の私もイヤな思いをしたことはあるが、これほど『揃いも揃って』とはなかなか・・・。

ちなみに初版が2008年。『beforeつるの』の時代か(『beforeつるの』は私の造語)

時代背景と相俟って彼女たちにこれだけ鬱憤が溜まっていたら無理矢理なタイムリープも喜んで受け入れるだろう。

 

彼女たちの場合、本人の意向がはっきりする前に高校時代まで逆戻りさせられてしまった。

つまり不可抗力だ。

そして思うに、不可抗力だったからこそ彼女たちは無事に高校時代に戻ったのだろう。

私とて人生をやり直したいと思ったことは数知れずあるが、本気で高校時代まで戻るのには抵抗を感じてる。

今まで生きて来たン十年をやり直すのか、けっこうしんどいぞ。これが本音(笑)

だって上手く回避できなかったら、あのイヤな出来事も面倒なアレコレももう一度体験しなくてはならないのだ。下手なことをしたら、今以上の困難な局面に追い詰められるかもしれない。

しかもよくある漫画みたいに当時のことを詳細に覚えているわけでもないので、厄介事を避ける策も分からないかもしれない。

 

うん、大人しく今の人生を受け入れよう。

受け入れたうえで、もう少し良くするためにはどう努力すれば良いのか考えよう。

 

過去の人生でも今の人生でも『より善い生き方』を目指して奮闘した三人。

彼女たちの勇気に力を貰って、もう少し頑張ってみようと思う。