『ロンドン謎解き結婚相談所』(著/アリスン・モントクレア 訳/山田久美子)
思い出してみると学生の頃は外国のミステリー小説ばかりと図書館で借りて読んでいる子供でした。
しかもアガサクリスティーとかコナンドイルとか、古典に近い種類のミステリー。
久しぶりに英国ミステリーに触れてみようかと手に取ったのがこちらの本でした。
舞台は戦後の痛ましい傷跡が残る事態のロンドン。
戦時中に国家の機密に関わる仕事をしていたアイリスと、戦争で愛する夫を失った貴婦人のグウェンは偶然の再会から結婚相談所を開く。
徐々に仕事が軌道に乗り始めたと思ったのも束の間、結婚相談所の顧客である女性が殺され、しかも犯人は二人が紹介した青年だという。
失った結婚相談所の信頼を取り戻すため、なにより無実な青年の冤罪を晴らすため、二人は真犯人の捜索を始めたのだった。
度胸と世渡りのノウハウをよく知っているのはアイリスだが、人の本性を見抜く勘と行動力に長けているのはお嬢様育ちのグエィンのほうだ。
この二人も充分に個性的なのだが、二人を取り巻く人物もそれぞれにアクが強い。
闇屋のアーチ―に劇作家希望のサリー。グウェンの義母やアイリスの元婚約者など次から次へと癖のある人物が出てくる。
巻頭の登場人物一覧が無ければ私はすぐにこんがらがってしまっただろう。
(ただでさえイギリス文化に疎くて、意味が分からない言い回しなどがあった(;^ω^))
二人の推理は時に的確で時に的外れで、犯人に近付きそうで遠のいてしまう。
何度もハラハラする場面を持ち前の機転で乗り越えた二人には、作中に常に流れている不穏な空気とは打って変わっての清々しいラストが待っている。
正反対の二人だが譲れない信念を強く心に宿しているのは共通している。
淑女たちの冒険譚、お楽しみ頂きたい。