このお話は……以外略。
実在する人物・団体等とは……以外略。
みんなもう分かってるよね?
公のところにはナイナイシーでお願いします☆
興味ない人は、お互いの精神衛生上考慮してスルーして下さい。
と、いうわけで今日こそツンデレで行くぞ!
司流なので、『これ、違う・・』とかいう突込みはなしじゃ☆
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せっかくだから、と言い出したのは誰だったか。
昨秋に終わってしまった番組のメンバーで、こっそり隠れて新年会を催すことになった。
世間的には曰く付きの番組になってしまったので、それこそ口外無用の宴は、新年会の時期をずいぶんと逸脱してからの開催になってしまった。
時間合わせが大変なくらい忙しい、ということなら有難い話だろう。
冬も終わりになって集まったメンバーは、懐かしさだけでない興奮を隠しきれずに盛り上がっていた。
もちろん、彼らも…。
「よぉ、呑んでるか?」
結果としてこの会の幹事役になってしまった品川が、機嫌良さげな赤ら顔で剛士に寄って来た。
ここしばらく女性陣におめでた続きだったせいか、彼自身も幸せそうに頬を緩ませている。
「よくこんだけ集まりましたね」
「そりゃ、こんな機会でもなけりゃ顔を会わさない相手もあるからなぁ。
かと思えば、お前らみたいに抜け駆けする奴もいるし」
それに関しては、自分より雄輔たちを先に責めてくれ、と剛士は苦笑いを漏らした。
そんな雄輔と直樹は、さっきまで一緒に居たのが、今はそれぞれで違う相手との話に夢中になっている。
またしばらくすれば別の人間と話し込むことだろう。
と、会場全体を眺めていると、若い連中と固まっていた崎本が自分のグラスを片手に直樹の隣に席を移った。
へ~珍しい、なんて思っていると、直樹もいい加減酔いの回ったご機嫌な、だらしなく目尻の下がった笑顔で彼を迎い入れる。
そんな直樹に、ちょっと甘えるような可愛い顔をして崎本が話しかけた。
「どうです?銀英伝の稽古は始まりました?」
「うん、ようやくね。あの世界観はすごいね~」
「僕も圧倒されっぱなしでしたよ。それにセットが入るとまた違ってきますから」
直樹も同じシリーズの舞台に先に立っている崎本との話はまた特別らしく、いつもに輪をかけて饒舌になっているようだ。
ニコニコと愉しげに語る直樹に、崎本は素直な反応を示して言葉を促す。
なおさら気分良さげに語り続ける直樹は幸せそうだ。
その相手をしてる崎本も…。
「つるちゃん、おひさだね」
「お~智ちゃ~ん、お元気?」
「俺は元気なんだけどさぁ、ミキちゃんが大変なのよぉ」
思わぬタイミングで育児相談を持ち掛けられ、剛士は真面目になって庄司の質問や悩みに答えることになった。
いつか直樹や雄輔からもこんな相談を受けるのかな、と遠くない未来を想像しながら。
ふっと視線を動かすと、すぐ近くに崎本が来ていた。
どうも彼から育児相談を受けるところは画が浮かばない。
まだ剛士自身が、崎本を子供だと思っているからだろうか。
「お話弾んでるみたいですね」
「ま、ね。サッキーにはまだ少し早い話かなぁ」
「違うよつるちゃん、こうゆう話は先に聞いておいたほうが良いんだって」
庄司はそう言って引き留めたが、お邪魔するのも何ですからと崎本はそのまま席を外した。
淡白だなぁ、と剛士が拍子抜けするくらいにあっさりとしたものだった。
「寂しいんじゃないの?」
去っていく崎本をつい見送ってしまった剛士に、庄司がニヤニヤしながら話しかけた。
まさか、と庄司をどついてると別のところからも声がかかる。
崎本もすでに何処かの話の輪に入っているようだ。
どこに居ても誰かの温もりが隣にある。
そんな居心地の良すぎる時間はゆっくりと流れていった。
あまり長居しても明日に響くから、と品川がいったん会を締めることにした。
終わりがないといつまでもズルズル居残りそうだったので、早目にキリをつけてくれたのは有り難い。
またね、とか、次はどこそこの現場で、とかそんな挨拶がアチコチで交わされていた。
「つるのさん」
帰り支度の春物のコートを羽織っているところに、崎本がこっそりと寄って来た。
周りを気にしながら、声もひそやかに。
「どした?」
「・・、時間が大丈夫でしたら、これからもう一軒行きませんか?」
腕時計はまだそんなに遅い時間を示して無い。
少人数に分かれて流れるのも良いだろう。
まだ話したりない気持ちもあった剛士は、気分よくその誘いに乗っかった。
「俺は平気だよぉ。他は誰が来そうかな?親ちゃんとかあそこらへんも・・・」
「そうじゃなくて、二人だけで行きたいんですけど」
えっ?と驚くと、崎本は照れたようにはにかんだ笑みを浮かべて続けた。
「だってつるのさん、今日はずっと他の人に捕まっていたからゆっくり話せるチャンスが無くて。
あの、俺と二人って、イヤ、ですか・・・?」
上目使いでそれは反則でしょーーー!!
イヤどころか剛士さん、ノックアウト寸前である。
「全然イヤじゃないよっ。むしろ大歓迎だよ!!
えっと、じゃ、せっかくだからちょっといい店に行こうか。他の奴らにバレないようにね」
剛士がそう提案すると、崎本は花が綻ぶみたいにふんわりとした笑みを見せた。
とてもとても、嬉しくて仕方ないみたいに満ち足りた仄かな笑顔。
・・・この笑顔をこれから独り占めか・・・(///∇//)タマランー。
これからの夢のような時間を考えて、危うく鼻血を吹き出しそうになる剛士さんだった。
「たっかい酒を奢らされるに100円」
「そんじゃ、たっかい寿司を強請られるに100円」
「寿司かぁ、そっちのほうが有力そうだなぁ」
「ま、どっちにしろ確実に払いはつーのさんだろ」
それでもサッキーを独り占めできるんなら、あの人には安いんじゃね?
完全に浮足立ったまま崎本を連れて夜の街に消えていく剛士を、直樹と雄輔は冷ややかに見送った。
下心見え見えだが、それで兄貴が幸せになるなら黙って放っておこう。
ギリでヘタレになるから、悪酔いしたところで間違いも起こるまい。
「んじゃ、ノック。俺たちも行こうか?」
にこ~~と。
とてもやんちゃなままの笑顔を満面に浮かべて、固まった直樹の顔を覗き込んでくる。
全然そんな話も約束もしてなかったのに、なんなのこの急展開。
そして絶対に直樹が断らないと決めつけて誘っているのが、余計に腹が立つ。
腹が立つのに、彼のリクエストに答えてあげたくなる自分に一番腹が立つ。
「も~~、僕はこれ以上一滴も飲まないからね!」
「いーよ、そんなの気にしねーもん♪」
ほら、と差し出された手を、なんと素直に握ってしまったことか。
自分もけっこう『ツンデレ』のけがあるほうだと、結局『デレ』に落ち着いてしまうのだと、変なことに気が付いた直樹だった。
終わり