そのあたりの『大人のお約束』を充分ご理解して頂けるよう、お願いします。
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レギュラーであった某クイズ番組が終わり、misonoさんは悩んでいた。
「今までは二週に一回は必ずつるのくんに会えてたのに、こうなると全然やわぁ。
まいちゃんとかユキナは他の番組でも共演しとるけど、うちはあんまり機会がないし。
今はまだヘキコンのリハとかあるからエエけど、コンサート終わったそれきりやんか…。
うん、やっぱりうちもアルバム発売のイベント、一緒に名古屋会場まで行くわ。
名古屋まで新幹線デートって結構ええんとちゃう?
サッキーも最近は親ちゃんと仲良しやし、うちがつるのくんの相手したら気兼ねせんと親ちゃんたちの方に行けるやん。
ちゅーわけで、サタアンは遠慮せんとサッキーと遊んでて大丈夫やで~!♪」
と、自信満々の笑顔でピースをくれるmisonoに、どう対応して良いのかサタアンの三人は戸惑うだけだった。
ちなみに現在、ヘキコンに向け個々でのスタジオリハの最中である。
何故かそんな場でmisonoのボヤキ、と言うか一人芝居に付き合わされてるんだから、意味が分からない。
勝手に結論を出した本人は一人でルンルンだが。
「じゃ、うち次の仕事あるから、またね!
イベント楽しみ~(^m^)」
イベントの前にコンサートがありますよ、と言えるだけの男は残念ながらココには居ない。
浮かれて帰って行くmisonoを無言で見送るのが精一杯だった。
「misonoさん、まだつるのさんが好きなんだ…」
「でもmisonoさんの思い通りにいかないと思うけどなぁ」
松岡の意外にも冷静な分析に、森も同意して頷いた。
分かってないのは親太郎だけである。
あんなに何度も遭遇しているのに…。
アルバム発売の記念イベントは、ヘキコン翌日ということもあって東京会場は大盛り上がりのうちに幕を下ろした。
ハイタッチのし過ぎで、手のひらが熱くなるくらいである。
連日のイベントで体力を消費しきっているメンバーの中、一人ウキウキで目当ての人にmisonoが近寄って行く。
なんたってこれから甘い二人きりの時間が待っているのだ。
テンションも自然と上がるというもんだ。
「つ~る~の~くん♪」
「おう、misonoちゃん、お疲れ」
少し疲れている横顔すら、misonoには光輝いて見える。
この笑顔をこれから独り占め~\(^▽^)/とほくそ笑みながら、早速本題を切り出した。
「ねえ、これから新幹線で移動やん?せっかくやし~、うち、つるのくんの…」
「ぱ~ぱぁ!」
misonoの肝心な言葉を遮って飛び込んで来た、舌足らずで幼さ全開の甘ったれた声。
まさか!?と足元に目を向けると、ちょっと不機嫌な顔をした男の子が力いっぱい剛士に腕を伸ばしている。
途端に剛士の顔がだらしなくとろけた。
「サッキー

また小さくなっちゃったのかぁ�困った奴だなぁ」
言葉とは裏腹に全然困った様子など見せず、剛士はヒョイとちっさいサッキーを抱き上げてた。
お強請りした抱っこをして貰ったのに、大海は口を真一文字に結んだままで剛士の肩口におでこを押し当てて、イヤイヤをしてる。
そんなことをされたら、剛士さん、親バカ炸裂である。
「あらら~、大海ちゃん、もしかしてオネムさんですか~?
いいでちゅよ~、パパが抱っこしてあげてまちゅから、おねんねちてなさい」
剛士の胸の中から上目遣いで様子を伺っていた大海だったが、ポンポンと背中をさすられるとぽてん、と剛士に懐いて瞼を閉じた。
その様子を見詰める剛士の眼差しは、愛しくて仕方ない想いで溢れている。
こんなふうにしか甘えられない、照れ屋で意地っ張りな彼を思いながら。
「これからだって、いつでも甘えて良いんだからな」
そっと大海の、汗で湿気た黒髪を撫でる。
沢山の願いを込めて。
「って、ありえへん!」
misonoは絶叫したが、松岡も森もこの結果は見えていた。
結局剛士は寝落ちした大海を抱きかかえたまま新幹線に乗り込んだ。
大海を静かに寝かせてあげたいから、と、隣には誰も座らせず。
「うちは絶対に負けへんからな~!」
大海が幼児化するうちは無理だと思う、と突っ込める勇者は残念ながら居なかった。
大海を抱えたまま、剛士もいつの間にか柔らかい眠りに落ちていた。
入れ替わるように大海がキョン、とした稚けない瞳を開く。
力の抜けた剛士の腕から落ちないように体制を整えていると、未だに憤慨しているmisonoの様子が座席の隙間から伺い見れた。
チビサッキーが、
ちっちゃく舌を出したのは内緒の話。
それから名古屋に着くまで、大海ちゃんは剛パパを心行くまで独占したのでした♪
終わり
…果たしてコレ、全部公開できてるだろうか?