この物語はフィクションです。
実在する人物・団体・会社法人等とは一切関係ありません。
脳内の妄想産物と重々ご理解の上、お読み進め下さいませ。
いくら似てても気の迷いです!
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どうしたものかと目を凝らして辺りを伺う。
どの方向に向かっても間違いのようで、でも探しに行かなくてはこの状況から脱出も出来ないことも分かっていた。
泣きたい気持ちを抑えつけて、とりあえず前に進んでみる。
どこまで行っても知らない人の顔ばかり。
どうしよう、完全に迷子だ。
突きつけられた現実に途方に暮れたエイトは、泣くことも出来なくてただ呆然としていた。
今日は久し振りにかーさんが遊園地に連れて来てくれて。
ゆうねーちゃんも一緒で、うたやおともはしゃいでて。
一人でトイレ大丈夫?なんて聞かれて、おにーちゃんなんだから平気、って元気良く返事したんだけど。
もう、自分が何処にいるのかよく分からない。
一生懸命に考えるんだけど、まともな答えが出てこない。
このままじゃ、おかーさんに会えない。
おうちに帰れない。
どーしよう・・・。
「ねえ、ぼく、どこから来たの?おかーさんは?」
だれ?って思って顔を上げると、目の前で優しそうなお兄さんが笑っていた。
なんて返事したら良いのか分からないでいたら、小さくしゃがんでくれて、ん?って顔を覗き込まれる。
「もしかして、おかーさんたちと逸れちゃったのかな?」
うん、って頷いたら、おにーさんがよしよしって頭を撫でてくれた。
おっきな手の平、なんだか安心する。
「それじゃ、遊園地の人にお願いして、おかーさんを呼び出してもらおう。
向こうに迷子センターがあったから、一緒に行ってあげる」
おにーさんはすごく優しそうだけど、おかーさんはいつも知らない人に付いて行っちゃダメって言ってる。
イイのかな?このおにーちゃんに付いて行っても大丈夫なのかな?
どうしようか決められないでいたら、おにーさんも困ってしまったらしい。
大きくため息をつくのが聞こえてきた。
このまま、おにーさんにも置いてかれちゃうかな?
「疲れちゃったの?仕方ないな~~」
そう言っておにーちゃんは、ボクのことをがしっと抱き上げてくれた。
「うわ、抱っこギリギリの重さだ!暴れないでねっ」
なんでだかおにーちゃんは、ケタケタと笑いながらそう言った。
確かにちょっと不安定で恐かったので、ボクもおにーちゃんの首にしっかりと掴って。
だけど、なんだか久し振り。
抱っこされるのはいつも小さな妹達が優先だったから。
こーやって誰かを『独り占め』になんて、もう全然できないの。
きゅぅって、おにーちゃんにしがみ付いたら、擽ったいよ!って笑い声をあげられた。
違うよおにーちゃん、イタズラしたんじゃなくて、嬉しいから引っ付いていたいんだよ・・・?
困った子だな~~って笑いながら、おにーちゃんはしっかりとボクを抱っこしてくれた。
それがなんだか、すごく懐かしくて嬉しかったんだ。
続く
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いやん、このお話、最初が三人称なのに途中から一人称になってる~~。
さて、このおにーちゃんはだーれだ?