お台場戦隊 ヘキサレンジャー【無事帰還?】 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

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ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆

必然的なのか、崎本の陰謀なのか、何故だか芸能活動が活発な羞恥心であったが、

本来のお仕事は悪と戦う正義の味方である。

今日も番組の生放送中に出動要請が下り、そのまま番組内容が

『無敵艦隊 羞恥心VS悪の一派サバンナ』になってしまったのだった☆

(それはそれで、普通は出来ない番組になったとスポンサーは喜んだが)

それでもどうにか敵を撃退し、無事に基地への生還を果たした三人だった。


「あーおかえりー。番組見てたよ~」

「リアルにテレビ放送されると、本当に特撮映画だね」

「ちゅーかサバンナごときに、手間掛かりすぎじゃね?」


疲れた身体を引き摺ってどーにかこーにか帰ってきたのに、

茶飲み会談しているPaboのこんな出迎えをうけたのでは披露も倍増である。


「おまえら、気楽だなー!」

「いーじゃん、女子は労わりなさいよ。・・・てか、のっくんは?」

「直樹は脚を痛めたみたいだから、西川先生のところに行かせてる。

 あいつ放っておくと医局に行かないで我慢しちまうからなぁ」


聞き分けよくて素直かと思うと、妙なところが意地っ張りだったりする。

そのくらい芯の強い部分があったほうが良いのだが、身体の不調を隠されるのは困り者だ。


「ナオタンってさぁ、怪我すること多いよね」

「そーそー、絶対にどっか怪我してくるの~」

「のっくんってもしかして、苛められキャラ?」

「わーかーるー!ヾ(≧∇≦*)。ちょーからかいたくなる!!」

「ユッキー、それ、ホントにしちゃ駄目だよ(-"-;)」

「でも~、可愛さ余って憎さ百倍?って言うじゃん。苛められるのも愛情表現だよね」


お嬢さん方、敵に攻撃されることの何処が愛情表現なんですかヾ(=_=;)オイオイ

若い子のお喋りには付いていけないな~と、こんなときに年齢の差を感じる剛士であった。


「すみません、遅くなりました」


お嬢さん方のお喋りが白熱する中、件の直樹がようやく戻って来た。

右の足首に包帯がしっかりと巻かれている。

やっぱり挫いたか傷めたかしてたのか。


「ナオタン、もっと強い子にならないといつまでも苛められっ子のままだよ?」

「はいぃ?ユキちゃん、何の話???」

「のくぼっちもぉ、もっとたけパパやゆーすけみたくぼーじゃくぶじんにしてないと、

敵に目を付けられちゃうってことだよぉ」

「スザンヌの言うとおりだわ。あの二人見たくずーずーしくしてたら苛められないわね」

「もっと逞しくなって、苛められっ子を卒業するんだよ、ナオタン!

 ・・・、ユキ的には、からかいたくなるキャラのほうが好きだけど☆」

「図々しいのくぼっちって、なんか変だモンねー」

「えーと、それって何の話なの?僕、いままでイジメに合ったことは無いんだけど・・・」

「実体験の話じゃなくて、のっくんの性格の問題かなー」


本当に話が見えないんですけどぉ(o^冖^o;)

どう聞いても的を得た答えを貰えなくて、硬直した笑顔のまま絶句するしかない直樹だった。

この状況に真っ先に痺れを切らしたのは、堂々巡りの話と女子の甲高い声に懲りた雄輔であった。


「あーもー!お前らうーるーさい!!

 ノックは怪我してんだから、ギャーギャー騒ぐなよ」

「なによー。私たちはのっくんのことを心配してんのよ」


心配してんだか面白がっているんだか。

余計はツッコミはやぶ蛇なので、剛士は賢明に黙っていることを選択した。


「はいはい、Paboさんたちのお喋りもそこまでにしてください。

 スタジオに移動する時間ですよ」


話が壮大にややこしくなりそうだったのを見越して、崎本が助け船を出してあげた。

このまま放っておいたら、今度は雄輔とPaboのトークバトルになってしまう。


「あっ、もうそんな時間??」

「やっばーい、急がなきゃ!」


テーブルの上に広げていた小物をかき集め各々のポーチにしまい込むと、

三人は慌ただしく席を立って続いて部屋を出て行った。

最後、まいが振り返って雄輔に『べー!』と舌を出していったが。

「なんだよー、あいつら」

「まあ彼女達なりに、直樹を心配してるんだろ?」


話しの流れが全くつかめない直樹は、困ったように眉を顰めてる。


「何があったんですか?」

「直樹がね、怪我をよくするのは苛めたくなるキャラだからだって、あの子達の持論らしいよ」


だから苛められっ子とか逞しくなれとか言われたのか、とやっと納得がいった直樹だった。

と、そう言えば。


「たけにぃ、西川先生が呼んでましたよ。話しがあるって」

「オレぇ?なんかしたっけなぁ?」

「さあ?ユキちゃんたちにいろいろ言われて、危うく忘れるところでした」

「遅くなってもまた嫌味を言われそうだもんな。とっとと行ってくるわ」


今日はゆっくり休んでおけよ、と直樹に一言残して、剛士も部屋を出て行った。

途端に部屋の中が静かになる。

さっきまでの大騒ぎがうそのようだ。


「ノック、お茶、飲む?」

「あ、いいよ、自分でするから」

「いーの。足怪我してるんだから、大人しく座ってなさい♪」


それじゃ、と席に着いて待っていると、雄輔が危なっかしい手つきで緑茶を淹れてくれた。

紅茶や珈琲もいいけど、緑茶のほっこりとした香りは心から癒される。

やっぱり日本人だな~と、こんなときに思うのだった。


「足、痛い?」


隣に座る雄輔が、心配げに顔を覗き込む。

ちっちゃい子供みたいな、稚い表情が悲しそうに歪んでる。


「大丈夫だよ、ちょっと捻っただけだから」


これ以上心配しないで、って微笑むと、雄輔はもっと泣きそうな顔になってしまった。


「雄ちゃん?」

「ごめん。オレ、ノックのこと守るって約束したのに、全然守れてない。

いっつも怪我させて、痛い思いさせてる。あんなに約束したのに・・・」


驚いて、直樹は目をパチクリさせてしまった。

雄輔が悲しそうにしていた理由が、直樹を守りきれないで怪我させたから、だなんて、思ってもしていなかったのだ。

優しくて、少しだけ心配性な雄輔。

項垂れた彼の姿が可愛くて、直樹の頬が思わず緩む。


「そんなコトで落ち込まないで。僕は雄ちゃんが守ってくれるって約束してくれたから、怪我しても怖がらないで戦えるんだよ?きっと最後は雄ちゃんが僕を守ってくれる、そう信じてるから、危ないときも怪我しても、全然怖くないの。雄ちゃんが居てくれるから、僕は逃げないで戦えるんだ。このくらいの怪我、なんでもないよ」

「・・・ノック」


ニコって微笑むと、雄輔の顔が蕩けるみたいに明るくなった。

信じてる、だから戦える。

その気持ちがちゃんと伝わったと思うと、直樹も嬉しくなる。


「分かった、危なくなったら何時でもオレを頼って。絶対にノックのこと、守るから。

 で、も。やっぱちょっとでもノックが痛い目に合うのは嫌だな」

「うん、僕も気をつける。雄ちゃんにこれ以上心配かけないように強くなるね」


額を寄せ合って、にっこり目尻に笑い皺を刻みながら向き合う二人。

命をかけて戦うなんて、気負わないほうが良い。

これくらい自然にしていなければ、神経が持たない。

だから戦いの場でも甘えて甘えられて、それくらいで丁度良い。


いつ終るか分からない戦いが、彼らを待ち構えているのだから。





・・・・・・・。






そう、辛いばかりの戦いよりも、こうして友情を確かめ合って過ごすほうが良いだろう。

過酷な試練に打ちのめされるよりも、イチャコラしててくれたほうがずっとマシだ。



だ、け、ど!



完全に僕の存在を忘れてるよな~(-"-;)

肩寄せあっていちゃつく二人に、取り残された崎本は深いため息を漏らすのであった。





頑張れサッキー、負けるなサッキー。

君も(一応)ヘキサレンジャーの一員だ!

とりあえず、そのバカップルに一言突っ込んでおこう!