第二話『秘密兵器、発動!』
アンガの気持ち悪い動き(失礼)に戦闘意欲をそがれてしまった『美少女戦隊Pabo』
このままでは三人はアンガの餌食になってしまう!
「えー、やっぱり接近戦に持ち込まないとやばいかな?」
「でも~、これ以上近づくの、違う意味で怖くね?」
「どーしよっか?」
敵を目の前にしながら、頭を寄せて呑気に今後の対応を相談するPaboさんたちであった。
無論、敵の相談結果が出るまでゆっくり待ってくれるほど、アンガさんの心も広くはない。
「もー!!なに失礼なコト言ってくれちゃってるの!こうなったらアレ出しちゃうからね!!」
「アレって、この前田中さんが必死に開発してたやつ?」
「そう!これ!一目惚れマシーン!!」
説明しよう。
田中さんが発明した『一目惚れマシーン』とは、読んで字のごとく、読んで字のごとく
ロックオンされた女子が有無言わさず田中を好きになってしまうという恐ろしい武器なのだ!
「充電の都合で一日一回しか使えないのよ。だ~れにしよっかな?」
電子おもちゃんのような銃を向けられたPaboは、悲鳴をあげて逃げ出した。
こんなモノを使って田中の恋人にでもされたら、溜まったもんじゃない。
「ジョーダンきついって!」
「やっぱりあいつ、考えてることまでキモイ!」
「や~ん、こっち狙ってる~~」
「さ~って、だ・れ・に・しようかな~」
キャーキャー騒ぎながら逃げる女子三人をにやけて追いかける田中さん。。。
本気であれは犯罪者の仕業だ、と、常識人の山根くんは頭を抱えるのであった。
計画性も考えも無く逃げ惑うPaboさんたちは、気がつけば逃げ場のない壁際にまで追い込まれていた。
このままでは誰かが犠牲になってしまう!
「や~だ~っ!来るなってば!」
「ふっふ~ん、もう逃げられないもんね~」
一目惚れマシーンを構える田中。
お互いを庇うように身を寄せ合うPaboは、このまま田中の餌食なってしまうのか?
誰もが固唾を呑んで事態を見守っていた、そのとき!
『バチコーン!』
鈍い音と共に、田中の脳天に天誅が下った。
「いいいいいい、いたい~~!もう、いいところで何なのよ!!」
「女の子苛めて好い気になってんじゃないぞ」
いつの間にか田中の後ろに回っていた男は、頭に工事用安全ヘルメットを被り、
肩には白いタオル、白のランニングにニッカポッカという大変分かりやすいいでたちで、
手には角シャベル(これで田中の頭に一撃を食らわした)を携えていた。
良く見れば一昔前ふうのイケメンだが、全体像は工事現場のおっさんである。
これで愛妻弁当を持っていたら完璧だ。(←何が?)
突如現れたこの男を見たスザンヌの顔が、ぱあと明るくなる。
「ともちゃん!」
そう呼ばれて、その男、ともちゃんこと庄司智春は、引き攣った笑みを浮かべて答えた。
「助けに来てくれたのね~。これでパワーアップができますぅ」
「あのさ、オレ、力技でこいつ倒しちゃ駄目?」
「え~、せっかくの初登場ですから、一緒に変身しましょ♪」
ガクーンと肩を落として、庄司は諦めたようにスザンヌの足元に跪き、手を差し出した。
スザンヌが満面の笑みで、彼の手の平に人差し指を乗っける、すると。
二人のことを目も眩むような光が取り囲み、辺りをまばゆく照らし出した。
「え?何?何が起こってるの??」
光が収まった後に目をこらすと、そこには真っ白な衣装を纏った二人の姿が!
嬉しそうにブーケを掲げるスザンヌと、慣れないタキシードに顔を真赤にさせる庄司。
どー見ても、これから挙式な二人である。
「ラブラブ戦士、トモ&スザンヌ、参上ですぅ♪」
「(そのネーミングとこの衣装、どーにかなんなのかよぉ(T^T))」
「はい、ともちゃん、凹んでないで戦いますわよ^^。
ひっさぁつ、ラブラブアタック!!」
スザンヌが自分のタイミングで必殺技を唱えるので、庄司も慌ててそれに合わせた。
事態の急変に追いついてないアンガの二人(主に田中さん)は、体制を立て直す間もなく、
必殺技のピンク色した激流派に飲み込まれ、あっという間に退治されてしまったのだった。
「勝っちゃいました(o^冖^o)v」
己のリズムで勝ちをもぎ取ったスザンヌだが、その強引な強さに、
もしかして一人で戦っても充分強いんじゃないかと疑問を覚えた、まいと優樹菜であった。
そんなわけで今日も『ヘキサレンジャー』の活躍で地球の平和は守られた。
だが、悪の組織を倒さない限り、真の平和は訪れない。
戦え、地球の平和と未来のために。
行け、僕らのヘキサレンジャー!
戦え、我らのヘキサレンジャー!
次回、『無敵艦隊、デビュー』 お楽しみに('-^*)/
雄輔「だから、オレはいつ大人に戻れるんだよっ!」