摂食障害といえば、過食・拒食・嘔吐などの症状が代表的ですが、それ以外にも様々な方向から日常生活に支障が生じる症状が出ます。

 

しかしそれらの症状は上記のような食事が困難なことから起きる合併症なので、

対策や相談をするか否かで生活のしやすさがかなり変わってきます。

 

もし今現在そのような症状に悩んでいたり、周りに困っていそうな方がいらっしゃったりするのであれば、一例ではありますがご参考までに活用していただければと思います。

 

 

 

 

摂食障害でまず問題になるのは、食事がうまく取れないことによる栄養失調です。

私は拒食症が主な症状だったので、低栄養に加え低体重による影響に悩まされました。

 

 

 

まず精神面では、

脳が委縮したり栄養が体に回らなかったりすることで、イライラ・集中できない・笑うことができない・いつもぼーっとして反応が薄くて遅い、などの支障が出ました。

 

いつも食べ物や体重・体型のことで頭がいっぱいなので、それに疲れて生きることすらおっくうに感じてしまっていたし、

周りの言葉や予定外の食事でパニックになったときは一気に視野が狭まって、周囲など気にすることができなくなります。

 

日々感じるストレスによるものなのか、ほとんど奥歯を強く食いしばった状態で生活していたので歯が痛かったです。

特に強くストレスを感じた時は指の皮を血が出るまでむしってしまうこともありました。

 

精神面に関しては、周りがどうこうするというよりは本人が比較的落ち着いた状態になるまで待つしかありません。そのため、できれば否定することなくその姿そのものを受け止めて欲しいと思っていました。

また、歯を食いしばったり皮をむしってしまったりする行為に対して、その是非ではなく、対策を一緒に考えてもらったときはとても嬉しかったです。

 

 

 

 

次に体調面ですが、『拒食症』による栄養失調は生死に関わることなので、本当にいろいろな対策や支えがなければ生きていくことが難しいと言えます。

 

 

 

まず筋力が低下するので走ることはもちろん、歩くこともゆっくりでしかできません。

 

あまり自覚はありませんでしたが、足を上げることすら簡単にできなくなっていたので、すぐに転んだり体育の授業の馬飛びでは飛び越えることなく落下したりしていました。

体重が減るにつれて運動するための筋肉だけではなく、内臓を支える筋肉も失われていきました。

腹筋が無いので内臓が垂れ下がり腹部が出っ張って見えましたし、筋肉で抑えられず急に尿意がくるのでお手洗いに駆け込むことも多かったです。

 

出先ではお手洗いが空いていることの方が少ないので、高齢者の方がつけるような尿対策用品を使用して万が一に備えていました。

バスもお手洗いがついていないことが多かったり、お手洗いの音が気になってなかなか利用できなかったりすることが多いので、出入り口に近い優先席に座らせていただいて、目的地に着いたらすぐお手洗いに駆け込めるようにさせていただいていました。

 

ただこの問題で一番困ることは、体重が増えても素早く動けなかったり尿意を抑える機能が不十分だったりする場合がある点です。

なぜなら、食べるようになっても先ず体に付くのは内臓組織や脂肪ですし、生きる為の脂肪が無ければ当然筋肉もつかないからです。

必要最低限の脂肪を体につける為に運動を控えるよう主治医の先生から指示されているので、体重が増え始めて一見普通に見える体型になっても、その体にはほとんど筋肉がついていない状態になります。

 

そこが外出のネックになる部分で、外見では困っていると判断できないことから、

優先席に座っていると注意を受けることや冷たい目線を送られることが多くありました。

 

勿論そうして注意をしてくださるような方々は優先席を正しく使おうとしているわけですから、

その方々を責めたい訳ではないし、もっと必要としている方々がいらっしゃるのは承知しているので「甘えだ」と言われれば抗うことはできないと考えています。

使うたびに罪悪感のようなものはありました。しかし、こちらも理由もなしに使っているわけではないのでただモヤモヤするばかりでした。

この問題に関してはいまだに何が正解なのかわかっていません。

 

もしこれについて意見があれば、あなたの考えを教えていただきたいです。

私もじっくりまた考えていきたいと思っています。

 

 

拒食症は食物の摂取量が極端に少ないことからエネルギーは不足し、いつも倦怠感のようなものを感じていました。

カロリーは大まかにいうと”食事を消化するときに発生させる熱量”なので、当然のことながら食べないと体温を十分に発生させることができません。

そのため平熱は35度台で、冬はガタガタ震えて毎日が寒さとの戦いでした。

 

家で過ごすにも何枚ものブランケットに身を包み、足にもこもこの靴下をはいてストーブの近くに居なければいけなかったですし、学校で過ごすのもストーブが効いていないときの教室や体育で見学している時間は特に寒くて、じっとうずくまっていました。

大きいカイロを左右ひとつずつ握っておくのと、腰と背中とお腹にもカイロを貼るのは毎日必須です。

 

手が冷えて文房具を握れなくなるのを防ぐために室内でも指先の空いた手袋をしていました。

手袋がないと真冬の教室では手がほとんど動きません。

 

ひざ掛けも常に持ち歩きます。それでも寒さに耐えきれない場合は温かい保健室に逃げ込んで暖をとらせてもらいました。

テストのときは別室受験にしてもらって毛布を沢山借り、なるべく寒さで集中力が途切れないように工夫しました。

 

 

ひどいときには寝起きの体温が34度台になることもありました。

家でできる対策としては、毎朝お味噌汁と白湯を飲んで温まってから外出すること、送り迎えしてもらうときにあらかじめ車内を温めておいてもらうこと、毎晩じっくりお湯につかること、三食温かいスープを飲み、さらにそれに生姜を入れる、などです。

外出する時はブランケットとカイロの替えを何枚も持ち歩き、足の裏と足の甲にもカイロを貼って歩いていました。

 

 

夏も油断はできません。

体脂肪が一桁だった私は、冷房がよく効いた部屋にとても弱かったのです。

教室のみんなが涼しんでいる間、私は寒くて震えていたので長いジャージを着ることがありました。

しかしそれだとさすがに教室内で目立つので、ショールを羽織ることが多かったです。

一人だけショールを羽織っているのもなかなかに目立つので、たまに先生に「寒い?」とみんなの前で聞かれて注目を浴びることもしばしば……

 

そのような精神的な問題も起きますが、身体的問題の対策の方が優先なのでそこは我慢していました。

 

また代謝が悪くなっているので汗をかかず、体温を外に逃がすことができませんでした。加えて生理が止まって更年期障害と同じ状態だったのも相まって、体が熱くなったり寒くなったりしてストレスがたまりました。

 

 

 

血行が悪く低血圧なのもいろいろと困らせられました。

顔色は悪く、とても痩せてきれいになったとは言えない姿になっていました。

普通に歩いていると手が下がった状態になるので血がたまっていく感覚になり、とても気持ち悪かったです。見た目も血管でぼこぼこしていたので、それを防ぐために肩にかけたバッグをつかんで腕を心臓より上にする工夫をしていました。

 

また血液検査をするとなかなか血液が取れず、かなり時間がかかりました。

特に冬には左右の腕と手首など、場所を変えて5回ほど試してやっととれたくらいです。

もし同じような状況でお悩みであるのなら、水分を沢山飲んでおいて血液を採る場所をカイロで温めておくと比較的摂りやすくなったので、血液検査の事前準備にやるのがおすすめです。

 

 

 

甲状腺機能や免疫の低下も著しいので冬場の病院は要注意でした。

もともと風邪などの病気にはかかりにくい体ではありましたが、インフルエンザには弱かったのでマスクをつけたり顔に吹きかける消毒液をこまめにかけたり、他の患者さんと離れた席に控えたりして予防も徹底しました。

もし病気にかかったとしたら、体力も病原菌に対抗する力もありません。当時は傷の治りもかなり遅かったくらいです。

そのため家族にも予防に協力してもらい、なるべく他の病気にはかからないように気を付けました。

 

 

拒食症の特徴的な症状として体毛が増えるというものがありますが、私もそのような症状がありました。

元々体毛が濃いのに悩んでいたうえに、女の子の体で毛深いのはあまり良い印象はないと思っていたので、体毛が濃くなるたびに懸命に剃っていました。そこでまた問題が起きます。

それは、脂肪が無くなり骨がむき出しになった体は剃りにくく、血管が近くにあるので怪我をしやすかったのです。

しかも傷の治りが遅いことから一度カミソリ負けをするとなかなか血は止まらず、

かさぶたができるのにも時間がかかりました。

 

私の住んでいる近くで毎年ロックフェスが開催されるのですが、ロックバンドが好きな私は毎年母とそのフェスに行っています。通院していた時期も本当は遠出を禁止されていたのですが主治医の先生に秘密でそのフェスに行きました。

体力も筋力もないのに欲望に負けて最前列に行った私は、案の定ダイバーさん(人の上を転がるというロックフェスの楽しみ方をする人)と観客席を隔てる柵の間に顔を挟まれて鼻から出血しました。そのときもなかなか出血が収まらず焦ったのを覚えています。その日の一週間後には病院の予定があったのですが、主治医の先生にはいい感じにごまかしました笑

止まらない血に加えて私の痩せた見た目があったからか、周りにいたおお客さんやスタッフさんには本当にご心配をおかけしました……

 

 

 

体毛関係でいうと、髪の毛は逆にどんどん抜けていきました。

お風呂に入ったときは手に多量の抜けた髪の毛が絡まり、ドライヤーをかけた後も床に散髪したかのように髪の毛が落ちていました。あまり私の病気に干渉していなかった兄もその光景を見て心配してくれて、母に声をかけたそうです。

そんな日が続くとシャンプーをした時に頭皮を触っている感覚になってきて、とても美容室には行けませんでした。

髪が長いと薄い毛が目立つし、結んだときもこけた頬が目立つので、安くて速い散髪屋さんで顔を包むようなショートカットにしてもらいました。

 

 

美容室や家出の鏡では気づきませんでしたが、写真では自分の顔がとても黄色がかっていることにも気づきました。

それもそのはずで、栄養を取っていないと肝臓に負担がかかります。肝機能が低下すると色素を分解することができなくなり、肌が黄色くなる原因になります。加えて血の巡りが悪くなるので赤みが薄くなり、体の肌が黄色がかるのです。

そうなると写真写りも悪くなるので、SNOWという加工カメラアプリを使うか、あまり写真を撮らないようにしていました。

 

 

 

内臓機能に関連すると、食事は多くとらない生活を送っていたので使わない臓器たちはどんどん衰退していきます。

よって、消化機能は低下し、非嘔吐過食が始まったときにはすぐ胃もたれが起きました。

過食した後に食事量を極端に減らして調節したかった私にとって、胃が食べ物を受け付けない状態は好都合でしたが、そうも言ってはいられないことも多くありました。

というのも、体が食物をうまく消化できず夜中に急な腹痛になったり、戻してしまったりすることが度々あったからです。

 

この嘔吐は故意的なものではなく、体が処理できるキャパを超えたことによる拒否反応です。

しかも夜中や休日にそれが起きると近くの病院にかかることは難しく、長い間それに苦しまされることになります。

 

 

嘔吐ではないですが、前回お話ししたチューイング症の症状でも体の負担はそれなりに大きいです。

具体的に言うと、チューイングは家の片っ端から食べ物を引っ張り出したり、大量に食べ物を買い込んだりして一回の量がとても多いので顎が疲れます。私はなりませんでしたが、中には顎が張ってしまう方もいらっしゃるそうです。

 

また、咀嚼により胃の分泌液が出て消化しようとするも、実際に食べ物は入ってこないので胃の負担がかかります。加えて脳が混乱して自律神経が乱れます。自律神経が乱れるとイライラしたり低血糖になったりしやすくなるようです。

(ここで曖昧な表現なのは、実際これが原因でイライラしていたのかがよくわからないからです。しかし、自律神経が乱れてよくないという説明は主治医の先生から受けたので確かな情報です。)

 

食べ物は胃の中に入ってこないですが、咀嚼していますから空気は体の中に入ることになります。

そのため、お腹が凄く張りますし、ガスがたまって腹痛を伴うときもあります。

 

また、いつもと違って糖を含むものをたくさん摂るので、しっかり歯を磨かないと虫歯になります。私は口腔内に残った糖質が唾液と共に体の中に入るのが嫌だったので、チューイング後はうがいや歯磨きは必死で行っていました。そのためそれは結果オーライだったと言えます。

 

 

 

徐々に食スタイルも変化し、過食と拒食を繰り返す毎日が続くようになると、固形物をしっかり消化するようになりましたが、常に動いているわけではないので食事の量に関わらずお腹が張る頻度が高くなりました。また、過食するときの量がとてつもないので体も過食後は必ず浮腫んでいきました。

 

 

拒食による調節の影響で体はどんどん痩せていくので、上にも書きましたが、私の体は常に体中の骨が浮き出て見える状態でした。

どのくらいかというと、腕の骨が2本あることがはっきりわかるくらいです。

そうすると生活の中で骨がいちいち当たって、椅子や床には痛くて座れないし、机にはひじや腕の骨がごつごつして痛むので集中できないし、寝ているときは全身の骨が床に当たって眠れないし、起き上がるときも尾てい骨が床と擦れて痛かったです。最終的には床ずれもできて、下にクッションを何個も敷いて寝ることにしました。

 

そんな痛みを伴いながら寝床についていたので、1時間~2時間ごとに起きては眠る、の繰り返しで睡眠のストレスもたまりました。

夜は寝られない一方、日中はエネルギー節約のためか睡眠負債のためか、抗えないほどの眠気が襲うようになりました。朝登校する車の中、登校してきた教室の席、朝のホームルーム、各授業、休み時間……寝て・起きてを繰り返し、授業のノートを取れずに見せてもらうこともしょっちゅうでした。

私がこうなる前は、どんなに部活で疲れていても、どんなに夜更かししても、授業中に眠気が来ることなんて一切なかったので、この変化に最も動揺しました。

 

 

睡眠時間を調節するために睡眠薬を使う方法も取りました。主治医の先生と相談しながら時間を調節して何度も試しましたが、一向に効果が表れることなく、途中で薬を使用するのを断念しました。

比較的安定した今でも睡眠のリズムは整うことなく、試行錯誤をしている最中です。

 

 

〈〜学校編・まとめ〜に続く〉