こんばんは。ご機嫌よろしゅうございます。

 

夏の高校野球、大阪桐蔭高校の史上初・2度目の春夏2連覇で幕を閉じましたね!

金足農業高校も強かったですが、東北勢初の栄冠にあと一歩届きませんでしたね。

選手のみなさん、お疲れ様でした!

 

さて、では今日の本題です。

6月19日に放送された「予約殺到!スゴ腕の専門外来SP⑪」より、高校球児たちの肩を心配している方にも読んで欲しい内容です。

 

 

70歳以上で50%以上!

あなたも肩の腱が切れている!?

 

 

≪冒頭≫

「40歳を過ぎると多くの人が悩まされる肩の激痛。

四十肩?五十肩?と思って放置していると、実は危険な疾患かもしれません」

 

さて、例のごとく視聴者に対し恐怖をいきなり煽ったわけですが、今回の原因はなんでしょうか?

 

肩の腱版断裂

「肩甲骨と上腕骨をつなぐ板状の腱。加齢による劣化や転倒などの衝撃により骨が引き剥がされ、腱板が断裂する」

「症状が出ない軽度もあるが、かなり多い」

 

ほぅ、今回は肩の腱版断裂ときましたか。

「骨が引き剥がされて、腱板が断裂する」なんて聞いたら、ものすごく痛そうですよね?

ワイプで抜かれたスタジオゲストのタレントさんたちも、とても痛そうな、(番組制作サイドからしたら)“良い”リアクションをとってました(笑)。

 

では本当に痛いのでしょうか?考えてみましょう。

イメージだけで「痛い」と思わされてしまったら、この手の健康番組の思うつぼですよ(笑)。

 

「加齢による劣化で骨から引き剥がされ」てしまうのだったら、歳を取ったらみんな腱板が断裂してしまいますよね。

もっと言えば、それで痛いのだったら歳を取ったらみんな肩の激痛を起こしてしまいます。

そんなことってあります?周りのご高齢の方に聞いてみてください。

それに、この理屈だったら両肩が痛くならないとおかしいですよね。どうして片方の肩が痛くなるのでしょう?

 

「転倒の衝撃によって骨が引き剥がされ」るのだったら、まだ話は分かりますよね。

でも、それなら打撲の痛みも合わさってきますし、病院に行ったときに調べればその場で分かります。

「四十肩、五十肩で激痛」というそもそもの前提を考えれば、「気が付いたら腱板が断裂していた」ということにはなりません。

転倒である以上、あくまで「外傷性(ケガ)」です。

 

そもそも「症状が出ない軽度もあるが」と言っている時点で、「原因」ではないんですよ。

要するに、因果関係が成立していないんです。

健康情報を受け取ったときは、「これは因果関係なのか?相関関係なのか?」を考えるクセをつけましょうね。

 

ちなみに、当院にいらしゃってる80歳を過ぎたご高齢の女性。

本人曰く「右肩の腱が切れている」そうで、たしかに右肩が90°以上自力では上がりません(左手を添えれば上がります)。

でも、全然痛がる素振りをみせません。「痛い」とも言いません。

これでも「腱板の断裂が痛みの原因」だと言えますか?

 

 

≪症例1≫

約3年前から右肩が痛い。夜痛くて起きてしまう。箸を持つのもつらい。包丁が持てない。傘がさせない。吊り革が持てない。

MRI検査で調べてみると、断裂の長さは約3cm。

 

〇自力では腕が90°以上上がらない ⇒ 五十肩または腱板断裂

〇他人の手を借りると真上まで上がる ⇒ 腱板断裂(五十肩ではない)

 

断裂が進むと自己修復はできない!

 

“名医”の治療法は「鏡視下腱板修復術」という1時間半ほどの手術。

肩が動かせるようになるには数か月のリハビリが必要。

 

 

≪症例2≫

「5か月過ぎたあたりで肩の激痛がうすらいでなくなりました」

スタジオの“名医”

「軽度の場合は腱板を鍛えてあげる。腱板は板になっている。1か所切れても他が代用してくれる」

 

 

...いやいや、「腱板を鍛えて他で代用する」っていうのは分かるけど、それじゃ痛みは取れないですよね?

「断裂が痛みの原因」なんだったら、他を鍛えても断裂した部分がそのままだったら痛みは取れないでしょ!

自分でしゃべってて、こういった矛盾に気づかないんですかね(;´Д`)

 

 

最後に、スタジオゲストのタレントさんたちの腱板が大丈夫かどうかを調べることに。

その結果、3人のうち1人が「もしかして私切れてるかも!?」と。

すると、“名医”が衝撃の一言を発しました...それも満面の笑みで。

 

「良かった、切れてるかもしれない(^^)」

 

私はこの言葉を聞いた瞬間、耳を疑いました。仮にも“名医”と呼ばれている“先生”が、「人の不幸」を喜ぶ人間だったなんて...。

もしも私が肩の激痛で悩んでいて、この番組を観たとしたら、「絶対にこの人には観て欲しくない」と思うでしょう。

 

 

やはり、患者さんのことを真剣に考えている先生が集まっているのはBFI研究会、BFI認定院だ!と思った方は応援よろしくお願いいたします。


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