「スノウ・クラッシュ 下」 | ちび子

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「スノウ・クラッシュ 下」二―ル・スティーヴンスン著、日暮雅通訳である。近未来の話、否、そもそも2001年に文庫化された話なので、もしかしたら今の時代とそんなに違わないのかもしれない。主人公の父親は二次大戦中の長崎で被爆している。となると、今よりももっと前の時代の話か? どちらにせよ、メタバースが当たり前にある時代、仮想空間が生活の中で重要なポイントを占める時代の話である。

      

舞台はアメリカだが経済的に破綻し、10億ドル札をトイレットペーパー代わりに使おうとする環境。治安は冗談の様に悪くなり、それを埋めるかのようにVR世界に入り込む。と云う話だ。と、思ってた。最初のうちは。上巻でちらちらと、ん? となっていたが、まあまあまあ、と下巻に突入し、ありゃりゃと思う間にえらい深い設定にぶち当たった。

神話の時代である。人間がバベルの塔を建て神に共通言語を剥奪されてからのすったもんだが原点にある。あまりに壮大な広がりになって、母ちゃんはバベルの塔に住んでるのはバビル2世だけだい、と不貞腐れた。

現実と仮想空間を行ったり来たりして、更に実力と権力を持つ者がわんさと出てきて勝手な事をし、想像力が無いとついていけない世界にぶち込まれ、かなり脳味噌を使う本だった。上手い事プーンするまでに何度か寝落ちしてしまった。(な、プーンするって何だよって思うだろ?)

貴方は今退廃的なアメリカに居ます。世界はこうなっていると、まず理解して下さい。と云うところから始まるので、終わり方もちょっと、ん? ものだ。え? 判ってんでしょ? とぶちっと切れる。ヒロはどうなった? Y・Tのお母さんは無事だったのか? と疑問が残る。あぁ、でも、グダグダ詳しく書かれるよりはスパッと終わった方が気持ちいいのかな。

ま、VRは母ちゃんの好物の世界なので、ご機嫌ではある。

いいんじゃないか?