そんなケーリング社で今回展示されたのは、韓国のアーティストで多摩美術大学でも教鞭をとるリー・ウファン(1936〜)、イギリス人彫刻家で女性で1993年に初のターナー賞を受賞したレイチェル・ホワイトリード(1963~)、日本人の彫刻家でポストミニマリズムやランドアートで知られる関根伸夫(1942~)、また、モンドリアンを思わせる抽象的なインスタレーションを得意とする菅木志雄(1944~)の作品でした。
ミニマルな教会の窓から差し込む光に映えるレイチェル・ホワイトリードの作品は、
建物の内部に石膏を流して空間を可視化させ、「私たちの日常の姿を表現する」作品を作り続けている彼女ならではのもの。
普通ならステンドグラスを通して入ってくる色とりどりの光が、ここではまっすぐに並べられた
100個の色とりどりの樹脂のブロックで表現されています。
「ミニマルな教会の内部に閉じ込めら時間の移ろい」そんな気分を味わうことができました。
また、直島の安藤忠雄建築の美術館で興味を覚えたリー・ウーファンは今や世界を誇る芸術家。彼の作品はシンプルな空間であればあるほど映えますね。
明暗を表現する単色のグラデーションで表現される「ダイヤローグ」と名づけられた彼の作品とは、本当は静かに向き合いたいけれど、流石にこの日の混雑ではそれは無理でした。
ヨーロッパ遺産の日の40周年を記念した今年のケーリング社のテーマは
「inhabiting time 」でした。
人間の心の奥を占めている個人的で生き生きとしていて、特別なその瞬間。
美術史の中で社会や政治によって造られた様々なアートの記憶を
大切なもの四人のアーティストのクリエーションによって表現されていました。