もう、すっかり夏は終わり、秋が次第に深くなってくる今日この頃です。
夏の思い出をきちんとブログにしよと思いながら、日々の雑用と仕事に追われ、もう、10月も後半に差し掛かります。
記憶を辿りつつ、夏に観た素敵なものについて書いていこうと思います。
そのひとつが、19世紀、フランドル地方の資本家、フリッツ・ルフトとその妻のアートコレクションを保存しているサンジェルマン・デ・プレのキュストディア財団美術館。オープンは1947年とのこと。
アナログな私は、パリのキオスクやメトロの中に貼られているポスターで、
それまで知らなかったアーティストや美術館について知ることが多いです。
このJACOBUS・VRELもその一人。
かの有名なフェルメールよりもちょっと前の人で、フェルメールの先駆者と呼ばれている謎の人物で、
がまとまった形で絵を展示するパリでの初めての展覧会だったそうです。
メトロの中のポスターがとっても気になって、足を止めたのですが、光の移ろいを捉えたその静けさに満ちた画風に足を止めて見入ってしまい、わざわざ美術館に足を運びました。
無名の画家と思いきや、館内は観覧者でとっても混雑していました。
皆、私と同じようにこの謎の人物の作品を「今、観ておこう」と押しかけたのでしょう。
観た感じ、17世紀オランダの黄金時代を象徴するような人々の町の営みやちょっとファニーな人物画が多く、
まさにフェルメールに多大なる影響を与えたと言えるでしょう。
また、このアーティストのイニシャルがJ.Vであることで
フェルメールとよく間違えられたり、贋作だと思われたりもしたそうです。
こちらの方が早いのに、ちょっと切ないですね。
フェルメールの絵にも登場するような、ボトルの底を並べたようなガラス窓。
そこから差し込む柔らかい北の国の日差し。
時には月の明かりに照らされながら裁縫をする老婆が描かれていて、
それを覗く孫と思われる少年が描かれていたり(幽霊みたいでちょっと怖い)。
とにかく魅力的な絵が多かったです。
また、同時代の画家の絵も何枚か飾られていました。
19世紀に彼の絵に惚れ込んで、研究を始めた歴史家によって
初めて名前が世に出たというジャイコブ・ヴレル。
機会があったら是非、一見の価値ある画家だと思います。
FONDATION CUSTODIA
https://parisjetaime.com/eng/culture/fondation-custodia-collection-frits-lugt-p910