牧場オフでは久しぶりに多くのオーナ様にお会いできて楽しかったです。 コロナでいろいろありましたが、長く続くと良いですね。

 

イベント前に京都のKさんと話をしていて、常々調べてみたいなって思ってたことを実行することにしました。

主題の「2U(U)の点火時期の動き」です。 

手間と時間がかかりそうなので、ちょっと敬遠していたのですが、夏は暑くて重整備は緊急以外受けないので、ちょうど良いテーマと思い取り掛かることにしました。 

 

整備書にこんな表があります。  

この表の回転数ってデスビの回転数です。 U/2Uエンジンのデスビはクランクシャフトの1/2の回転数なので、エンジン回転数で考えるときは2倍にします。角度も2倍になります。 紛らわしいねぇ~ 

つまり表の1500rpmはエンジン回転数で3000rpm、9度はエンジン上では18度ですね。

あとバキューム進角の点線は横軸のバキュームmmHgに対してです。回転数は関係ないですから勘違いしないでくださいね。

 

まずは、ホントにこの通り動いているのかなって気になり、実測してみました。

この写真は点火時期を確認する刻印部分とプーリーです。

アイドリング(約1050rpm)で回転中の点火時期です。 わかりやすいように上死点前8度(切り欠き)に合わせました。

上死点前8度のV型切り欠きの、手前の太い黄色いマークが18度、横に点1つつけてあります。 点4つの線は48度になります。

つまり点4つの線になったらピストンが圧縮上死点に到着する48度手前で、プラグに火が飛ぶということです。

 

★まずバキュームアドバンサーのパイプを抜いて(バキューム進角が無い状態)3500rpmくらいまで回転を上げてみました。

プーリーに付けられたマークは、点2つの上死点前28度くらいを指しています。 まあ雑な線なので誤差±2度くらいはありますが・・・。 上の表のガバナー進角が最大11度って書いてあるので、あらかじめセットした8度と合わせて19度・・・ん!2倍するんだった。

8+(11度×2)=30度、まあだいたいあってます。

つまりデスビのカム軸の遠心ガバナーだけだと、20度強しか進みません。

 

これって気筒容積400ccクラスのガソリンエンジンとしては、まったく足りません。常識的には45度以上は必要です。

 

★次はバキュームアドバンサーを繋ぎます。つまり純正状態です。

点が4つ付いた48度のラインが過ぎてしまっています。 写真からだと約56度くらいですね。

さっきの28度を引き算すると56-28=28度です。 上の表ではバキューム進角は最大14度って書いてあるので2倍して28度・・・まあほぼ合ってます。 

 

この撮影は難しいです。スロットルを素早く開いて3000rpmを超えたあたりで高速連写します。 回転上昇中は一気に写真の位置まで進角するのですが、回転が一定になりかけるとインマニ内の負圧が減りバキューム進角が少し戻ってしまいます。又開けると進むを繰り返してしまってなかなか写真に撮れませんでした。 つまりこれがバキュームアドバンサーの動きだということがわかります。

 

カメラはオリンパスOM-D、三脚立てて行いましたが、30分くらいブォンブォンやってました。

ストロボスコープも熱を持ってます。そのうちLED化しようかな・・・

 

★次は走ってみての感想です

上記を踏まえて実際にバキュームアドバンサー無しと有りとで、走ってみての感想です。

牧場オフの帰り道でやりました。 運転手+助手席乗車の状態です。

 

道は須走の道の駅から山中湖→道志みち→圏央道→一般道です。 ほとんどがバキュームアドバンサー無しで、時々確認のためにアドバンサーありに戻して家まで帰ってきました

そのあと、運転手のみで、いつもの家の周辺でアドバンサー有、無しを繰り返してテストしました。

 

一番違いを感じたのは、1速フル加速でした。明らかにアドバンサー有の方が加速もレスポンスも良いです。 さらに高回転域の回転上昇も良いです。 あと2速フル加速でも差を感じました。 3速下り坂のレスポンスも加速も良かったです。 ただ、そのほかの差はあまり感じなかったです。 意外だったのは燃費が予想外に悪かったことですね。少しは悪くなるとは思いましたが、試験でいろいろやったためもありますが、それを差し引いても1割強ほど悪い感じです。 

 

★総評として

2Uは気筒体積400ccですので、やはり設計常識的に60度近くまで進角させるようになっているようです。 ただ、ピストンスピードは排気量に比較すると遅い(ショートストロークなので)ので、ガバナー進角のみの最大進角30度程度でも、運転に支障が出なかったのかなって考えます。 

 

実際にデスビ内の動きをミニビデオカメラを使って撮影してみましたが(スペースの関係でかなり見にくい映像になってしまいました)、走行中のバキュームアドバンサーの動きは活発で生き物のようです。 1~2速などの軽負荷でのフル加速などでは、このくらいの進角が必要なんだな~と感じた映像でした。 

 

次はデスビ内部の映像をもっとキレイに撮れる様にして、運転中はどのように進角⇔遅角しているのかをお見せしようと思います。

では!