このブログの基本スタンスは、面白いドラマや映画は視聴率云々じゃなくて、面白くてクリエイティブな作品をどんどん評価して行こうってものなので、中には出だしや前半がフラフラした作品なのに途中から良くなって来たものも、ちゃんと取り上げようと思ってます。
最近のTVドラまでは「西郷どん」が、その筆頭ですかね。
西郷吉之助が島に流されるまでは月照との絡みが出てきて、ドラマとしてちょっとは持ち直してきた(視聴率の事ではなく)ものの、今までのお馬鹿な演出から抜けきれないでいたんですが、「島編」になってからは、素直な好感の持てる出来になりました。
俳優陣の力量は、変わらないので、やっぱり制作側の作品の「打ち出し」方の変化なんでしょうね。
勿論、歴史大河としての魅力を取り戻したという訳ではありませんが、恋愛ストリートして、あるいは少しは「ウチナンチュー・ヤマトンチュー」の関係性に触れるという社会的テーマに手を染めた辺りも含めて、上質なドラマになりつつあるような気がします。
典型的悪代官・田中雄之介を近藤芳正さんが見事に演じているんですが、「西郷どん」の場合、この悪役ぶりを「水戸黄門」レベルから、ちょっとだけ上げてるような感じです。
おそらく、やろうと思えば、もう少し現在の社会批判に通じるような部分まで演出展開出来るんだけど、「西郷どん」では、これで精一杯って感じかなw。
兎に角、ちょっと深読みすると、田中雄之介の描き方で彼の背後にある「権力」や、その「権力構造」の中で、己の欲望や保身を追求しようとする人間の理屈なんかを、ちゃんとあぶり出しているような、そうでないようなw。
それしっかりやると、「反日」とか言われちゃうのかなwww?
それと回復の起爆剤は二階堂ふみちゃんの熱量でしょう。
台詞回しは時々、方言といっても、半分判りやすくする為か、標準語と混ぜたような感じになってて「うん?」って思う所があるけど、その熱量は半端ないです。
(彼女の昔からの演技スタイルを知ってる人には、演技派っていう括りの評価は、違和感があると思います。この人はどちらかというと「二階堂ふみの○○」って女優さんです。)
少なくとも二階堂ふみの光が、鈴木亮平君をピカピカ照らし出してるのは確か(笑)。
・・「島編」の持ち直し度も、長期遠征ロケの目眩ましで、その内、駄目になるかもって意地悪く見てたんですけど、場面が本土に移った第20回「正助の黒い石」も、大久保正助役の瑛太氏の演技に見応えがありました。
瑛太氏の場合は、最初から「西郷どん」の大久保利通役は「いいんじゃない?」って感じで、あれ瑛太ってこんなに味わいがあったっけ?と見直してたんですけど、「正助の黒い石」は、瑛太氏に凄く填ってました。
多分、もっと複雑な感情表現が必要な脚本でも、今の瑛太氏なら演じられると思うんだけどなー。
第20回「も「結構、複雑な役所やん」っと思いながら見てたら、最後の落とし所が友情だったり、夫婦愛だったりするので、カックンしちゃうんですが、これは瑛太氏のせいじゃないよね(笑)。
それと島津久光役の青木崇高氏ね、、ホントこの人、久光みたいな役所がすっごく似合う。
多分、他の人がやってもこんな感じには絶対に仕上がらないと思うし。
いやぁこう見てみると、「西郷どん」って、もっと内容レベルを上げても、充分、演じきれる俳優さんが多いんじゃないですか。
ホント、本気になってもっと骨太なドラマにしようと思わないのかしら?
「島編」での仕上げ方をベースに今後を展開していったら、「西郷どん」もちょっとは目鼻が付くと思うんですけど、さてどうなる事ですやら。
PS 「シグナル」の方も俄然、面白くなって来ましたね。
なんか北村一輝氏が、木訥とした青年刑事って役所を、あまり意識しなくなって来てから(大山剛志刑事の加齢変化?)、急に面白くなって来たっていうのか、過去と現在の絡みの面白さが全面に出てきたせいでしょうかね。
それに坂口健太郎君って、静かに堪えた感じの演技の方が絵になるし、そっちの三枝健人像が多くなって来たってのも大きいかな(笑)。