東京電力・経産省などの悪意に満ちた原発推進のために、高濃度放射能汚染を受けた地域の方々で、避難したいのに、避難できないでいる方々に、

住宅ローンがあるから逃げられない

という方が多いことに気づいた。これは、住宅ローンというものを理解していないがために生じていることなので、あまりにも意味がないので、説明しておきたい。

たとえば、マンションを買った会社員とその家族がいたとしよう。避難区域でもなければ、そこから避難するのは自主避難になってしまうので、補償などは期待できない。そうすると、逃げた後にローンが追いかけてくるのではないか、ということになる。で、ためしに逃げてみよう。

逃げたら当然、失業して、現金が入ってこない。そうなるとローンは払えない。払えないと、銀行から電話が掛かってくる。自宅の電話しか銀行に言っていなければ、銀行はパニクる。債務者を探そうとするだろうが、そう簡単には見つからない。見つからないと、仕方がないので、処理せざるを得なくなる。

住宅ローンの場合は、保証人は保証会社である。たいていの場合、保証会社は銀行の子会社なので、結局のところ、焦げ付くわけである。保証会社は銀行にローンを債務者にかわって返済し、かわりに担保となるマンションをとって、なんとかより高く売って処分しようとする。

さて、銀行に携帯電話を知らせていたら、当然、電話が掛かってくる。

銀行員「あのー、住宅ローンの引き落としができていないのですが。」
避難者「大変もうしわけありませんが、払えなくなったのです。」
銀行員「ええ!!」
避難者「福島が放射能で汚染されてしまって、育児ができないので、◎◎地方の農村に逃げました。」
銀行員「仕事はどうなったんですか。」
避難者「仕事は当然、ありません。お金も避難するために使い果たしてしまいました。なので、払えないのです。」
銀行員「ええええええええええ~~~。」

こうなると住宅ローン問題は、避難者の問題ではなくなり、ここから先は、銀行員が考えることになる。

銀行員からすると、本当にお金がない避難者に請求しても無駄である。そうすると担保を差押えして整理せねばならない。そうなるのは避けたいのである。なぜかというと、法的手続きとかがめちゃくちゃ面倒だからである。それに、被災して避難したひとにこういうことをするのは、人聞きが悪いので、何かと避けたいところである。マスコミがそれを記事にして騒ぎになったりすると大変面倒だからである。それに、不良債権になってしまうと、銀行の資産負債内容が悪くなるので、避けたい。

そうすると、合理的に考えて、銀行にとって一番良い方法は、とりあえず、しばらく返済を免除して、その間に、マンションを売ってもらって、そのお金でできるだけ返してもらい、残りはポチポチ返してくれる、とかいう形で、任意整理にしてもらうのがありがたいのである。そうすれば不良債権入りは避けられる。たいていの銀行は関連の不動産業者があるので、そこに頼み込んで売ってもらうわけである。銀行から頼まれたら不動産屋も仕方がないので、優先的に売ってくれる。

もし、マンションのローンが三千万円も残っているのに、二千万円でしか売れなかったら、どうするか。その場合には、マンションを賃貸に出して、それでなるべく返済するという手段をとることもできる。そして、期間をたとえば30年だったものを40年に伸ばすなりして、賃貸の金額内にとどめるようにすれば、問題なく返済できる。これなら、不良債権入りを避けられる。

もちろん、避難している人は、そんな手続きやら何やらを、やりに行くことはできない。だから、そういうことは全部、銀行に頼まざるを得ない。もし銀行がそういう手配をしてくれない、と言うなら、

「では、大変申し訳ありませんが、自己破産します。」

といえばよいのである。じゃあ、それで、ということになれば、自己破産すればよい。自己破産して、悪いことがあるかというと、そんなにはない。

http://www.jiko-hasan.biz/2007/10/post_46.html

という感じであるが、放射能を子供に浴びせるデメリットと、どちらが大きいかは、各人の判断である。おそらく、自己破産されると銀行は困るから、できるだけ任意整理に応じようとするであろう。

まさかとは思うが、住宅ローンを返せないとヤクザが脅しにやってきて、生活を破壊されると怖れている人がいるかもしれない。しかし、

銀行から借りている限り、決して、ヤクザが来たりはしない。

そんなことをすると、銀行が金融庁に潰されてしまうからである。そこが、サラ金やら何やらから借りるのとの違いである。もしも本当にヤーさんが来たりしたら、もうけものである。しっかり録音したりして証拠を作り、警察と監督官庁とに通報すればよい。その件を裁判所なりに提訴するのをやめるという条件を出して銀行と交渉すれば、極めて有利な内容で任意整理ができるだろう。精神的被害に対する損害賠償もとれる。

それから気になるのが、

借金を踏み倒すなど、何事か!〇〇家の顔に泥を塗りおって!!

とブチ切れる親とか親戚とかである。しかし住宅ローンに親や親せきは関係ない。連帯保証人が保証会社になっているからである。

家を継ぐ子供たちの命を守って何が悪い!

と言い返せばよい。そもそも悪いのは被災者でも、銀行でもなく、放射能をばら撒いた連中である。

さて、そうやって一から出直すのは大変であるが、冷静に考えると、日本ではわりと簡単に生き延びられる。なぜなら、

コメが安い、

からである。一人の人間がコメばっかり食べると、年間100キロくらいなのだが、これは普通にスーパーで買っても3万円くらいである。モミで買って自分で脱穀するなら、もっと安いだろう。それに味噌があったら、死なない。実のところ、働きもしないのに、立派な農家があって、コメがあって味噌があったら、数十年前の日本人なら、天国かと思ったことであろう。

あとは自分で生きるために、野菜を作ったり、山菜をとりにいったり、あるいは地元の中学生にパソコンやら英語やらを教えるなりなんなり、自分の出来ることを考えて、生きるために必死で働けばよい。そうすると、自治体に農家を無償で提供してもらったりすれば、ほんのわずかの現金で生きていける。

問題は、「生きる」という言葉をどう解釈するかである。その解釈を自分の身体に立ち返って考えてみれば、住宅ローンがあったって、いくらでも逃げることはできる。


追記:なぜローンを返す責任を放棄して逃げるのが怖いのか、については、

http://ameblo.jp/anmintei/entry-10915065252.html

こちらの記事を参照されたい。