時期的に先に公開された『ナイトクローラー』のパクリ的内容なのかなーと思ったらそういう訳ではなかった。 

この監督、映像センスがいいし、テンポもいいし、面白く観られたけど、見終わって何も残らないというか、衝撃的ラストなのに衝撃が残らないというか、基本的に登場人物の行動原理がわからないので、心情的に動かされるものは殆どなかったな。 
ただただ唐突な幕切れにポカーンっていうか。 

ちなみに二階堂ふみ演じる「やめろ」とか「くるな」とか言ってるのに言うことを聞かずにトラブル起こして周りに迷惑かける登場人物がすごく嫌い。最終的に彼女が起こした行動の結果がアレなのにそれについて何の責任も覚えてないところも嫌ね。 

福山雅治は好きじゃないけど、下品になりすぎないゲスっぷりがははまっていたと思う。 
でもゲスだけど、実は優しくていい男で、男も女はみんな彼に惚れちゃうよってベタさが恥ずかしいね。 
おまけにラストカットが福山のPVみたいでさらに恥ずかしさに拍車がかかるよ~。

 

 

ネタばれ

何故か、福山とリリー・フランキーの間に昔何があったのか語られない(そのくせ、割とどうてもいい滝藤賢一の鶯谷のエピソードはご丁寧に語られる。)。それって物語のキモじゃないのかなーと思うんだけど、そこをふわっとさせたままなので、福山が何故あそこまでリリー・フランキーを大事にするのか理解出来ない。

芸能人のプライバシーやコンプライアンスには無頓着なパパラッチが、リリーに対してだけはわざと顔をぼかして撮影し、彼を守る行動に出る矛盾。それって大切な人はかばうけど、そうじゃない相手は容赦なく金ずるにする自己中心性を感じて、なんら感動を覚えない。そのくせ、自分が撃たれる瞬間は「撮れ!」って新人にテレパシー(?)送っちゃってるし、結局リリーも含めて一番決定的な所は撮るんじゃんって気分。

自分の死さえも被写体とし、恋人の死さえも週刊誌のネタにする女編集長と、その世界に疑問もなく身を投じる新人。

どこまでも人間の下世話な好奇心を追究する狂った世界を、なんとなく格好よく描いてみせちゃったことがこの作品の問題かなー。