NPO法人アニマルライツセンター

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採卵鶏は1~2年卵を産まされた後、廃鶏(または成鶏)として殺され肉などにされます。

その出荷~屠殺までがあまりにもむごい状態になっていることが明らかになりました。

長時間の輸送と、屠殺場での長時間放置です。

この問題はアニマルライツセンターに情報提供があってから数年調査を続けてきました。

改善しようと思えば改善は可能であるはずです。ブロイラーでは起きていない問題なのですから!

出荷計画を正確に立て、放置時間がなくなるように集荷時間を調整すればよいのです。

 

鶏たちは捕獲される際に足や羽を骨折しその肉体的痛みと精神的トラウマに苦しむ中、身動きが取れない、水も飲めないという状況に1日~2日置かれます

 

上の段から仲間の鶏の糞尿、割れた卵の液が降り注ぎ、体を汚し、濡らします。

 

死んだ鶏が各所に見られます。

 

地面は糞尿と卵でどろどろになり、蒸し暑い日にはウジが湧き、たまごが泡立ちます。

 

夜の食鳥処理場はまるでホラーの世界です。

 

少し長文ですが、お読みください。

http://www.hopeforanimals.org/transport/chickens-are-left-for-long-hours-before-slaughtering/

動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=BZfvVk17m3o

 


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バタリーケージに入れられ、不毛な短い一生を送る日本の採卵鶏。その最後の一日が想像以上に悲惨であることが、アニマルライツセンターの調査でわかった。

▾動画 | ▾内部告発と検証 | ▾鶏達の状態 | ▾原因 | ▾違反する法規制 | ▾改善に向けた動き | ▾改善を急げ

採卵鶏は1年か2年卵を産まされた後、廃鶏、または成鶏と呼ばれ、屠殺され、肉にされる。その肉は缶詰の肉、加工食品の肉、冷凍食品の肉、ミンチ、チキンエキスやチキンハムなどに利用されている。その大きいが不健康に真っ白になり、折れ曲がったトサカは、ヒアルロン酸や保湿剤として利用される。つまり、多くの人が日々食べ、顔に塗るなどしている。

しかし、廃鶏の価値は低く、鶏自身の値段よりも、殺し解体する処理代のほうが高い。まさに「ゴミ」のように扱われている。

バタリーケージの扉が1年又は2年ぶりに開き、鶏たちは突然足や羽や頭を掴まれ、コンテナに叩き込まれる(捕鳥)。このときに骨折をしたり、脱臼したり、打ち身になり、足がもげたりもする。このトラウマで苦しみながら、輸送中の長い時間を過ごす。

輸送後に待つのは、食鳥処理場での長時間の放置だ。

内部告発と検証

A食鳥処理場:レポート1日目
朝から昼過ぎまで搬入が続き、屠殺も続いていたが、15時になると屠殺ラインが停止し、屠殺しきれなかった多数のコンテナは、そのまま夜間放置された。

A食鳥処理場:レポート2日目*
この日も業務終了後に確認すると、多数のコンテナが放置されていた。この日は蒸し暑く、地面に落ちた割れた卵と糞尿が混ざった液体は白く泡立ち、ウジが湧いていた。

A食鳥処理場:レポート3日目*
1日目と同様に屠殺しきれなかった半コンテナ分のみ、夜間放置された。1羽が死亡しており、その死体を避けるように残りの鶏たちは固まっていた。

A食鳥処理場:レポート4日目*
同様に多数のコンテナ、ラックが積み上げられた状態であった。さらに荷降ろしをしきれなかった鶏がつまったコンテナがトラックの中にも積み上がっていた。

A食鳥処理場:レポート5日目*
同様に多数のコンテナ、ラックが積み上げられた状態であった。

*連続した日ではありません

 

この内部告発を受け、アニマルライツセンターでは夜間放置の状況を関東(全6箇所)と福岡(1箇所のみ)の成鶏食鳥処理場の状況を調査した。その結果、全てが、夜間鶏をコンテナに積み上げたまま放置していたことを確認した。

農林水産省は2月23日の予算委員会分科会で、堀越けいにん衆議院議員の質問に対する答弁の中で、繁忙期には夜間放置されることがあるのは承知している、と述べているが、私たちが確認をしに行くと必ず夜間放置されているのだから、大抵が放置し、時々(もしくは一部の食鳥処理場は)放置しないことがあるといったほうが正確だろう。

予算委員会分科会での答弁があった後の2018年3月にも調査を行なったが、やはり夜間放置が行われていた。

夜間放置の結果、鶏たちになにが起きているのか。

積み上げられたケージでは、上の鶏たちの産んだ卵が割れ、下の鶏たちを卵まみれに濡らしていく。
当然糞も下に落ちていくため、下に行けば行くほど、どろどろの状態になる。床はレポートの通り、糞尿、割れた卵、鶏たちの羽毛でよごれ、夏場はうじ虫がわく日もある。
死体も多数見られる。捕鳥時に死亡している鶏は避けられているはずであるため、捕鳥後の輸送~放置の間で死亡したものである。
コンテナの高さが低すぎて鶏たちは頭を真っ直ぐ伸ばすことができない。
一部の鶏は捕鳥のままなのか、折り重なったまま身動きが取れなくなっている者もいる。
翼をコンテナに挟まれたまま動けない者もいる。
足だけが落ちていることもある。
骨折などしていても当然治療はされない。
鶏たちは、輸送時間と、少なくとも15時~翌日に殺される(午前8時頃から開始され午後3時頃に終わるところが多い)までの17時間以上、このコンテナの中で水を飲むこともできない。

これが散々利用され尽くした、卵用の鶏たちの最後の一日だ。そこには、ひとかけらの慈悲も、敬意もない。惨めで不毛な一生の果に、このような扱いを受けるとは・・・。

福祉面での弊害
  • 頭をまっすぐ上げることも出来ない高さで放置される
  • 超過密状態で身動きが取れないこともある
  • コンテナに放り込まれたままの体勢で動けなくなっている鶏もいる
  • 不自然な姿勢や、ケージ等に押さえつけられた状態で過ごさなくてはならない
  • 重なったまま放置されている鶏もいる
  • 夏は暑く、冬は零下や吹きっさらしの中で過ごす
  • 長時間水が飲めない 捕鳥の際に骨折等している鶏もいると考えられるが治療されない
  • 野生動物に襲われる可能性が高くなる
衛生面でも以下の弊害がある
  • 死体とともに放置される
  • 細菌感染の割合が高くなる
  • 割れた卵が下の鶏にかかる
  • 糞尿が下の鶏に係る
  • 夏場であれば卵や糞尿がくさり、卵が泡立ち、ウジなどの虫が湧くこともある
  • 地べたに直接コンテナが置かれている場合はより不衛生
  • 野ざらしであるため野生動物、野鳥、昆虫等と接触できる状態

2018年2月に行われた農林水産省の食品リスク管理検討会での説明によると、食鳥処理場でのカンピロバクターなどの細菌の感染も起きているようであるが、放置時間が多ければ多いほど、衛生面での影響は大きくなることは明白である。

なぜこんなことになっているのか

これは肉用鶏の食鳥処理場では起きない問題だ。

精肉として売られる肉用鶏をこのような扱いにすることは、業者にとって不利益だからだ。また、肉用鶏の場合は飼育から屠畜までが一気通貫でシステム化されているが、採卵鶏の場合は飼育から卵の出荷はシステム化されていても、廃鶏は別のラインであるために適正化がなされていないという。

しかし、年間6億羽以上を屠畜するブロイラーの出荷計画はできて年間1億羽の採卵鶏の出荷計画ができないということはないだろう。連絡をきちんと取り、農場と屠畜場が連携を取りさえすれば、改善はできる。

基本的に捕鳥と輸送は屠畜場が行なっている(捕鳥は自社の場合あり)。そして処理代をもらう屠畜場は引き取りを依頼されたら引き取らざるを得ない立場にあるといえ、その数を調整することも屠畜場側にはできない。多くの養鶏場がオールインオールアウトするため、一部を残していくことは難しい状況あるためだ。

肉用鶏と廃鶏の出荷が全く異なる点がいくつかある。

肉用鶏は夜間に捕鳥し、できるだけ待ち時間少なく屠畜される。しかし、採卵鶏は朝方に捕鳥したり、輸送時間が異常に長かったり、夜間放置することを前提に、出荷されているのだ。なぜなのかといえば、農場にとっては廃鶏は自分たちにもはや利益をもたらさない餌だけを消費する”不要物”であり、出荷しても処理費用がかかるだけだ。卵の産卵率が落ちた鶏を、農場側は産業廃棄物とみなしているのかもしれない。

もう一つ肉用鶏と廃鶏で異なる点は、廃鶏の屠畜場は数が少なく、しかも地域に偏りがあることだ。肉用鶏の場合は屠畜場の周辺に農場があるが、採卵養鶏場は全国にまんべんなく存在するのに、採卵鶏を屠畜する場所はほとんどの地域にないのだ。
そうすると、集荷は大変である。山梨県や神奈川県の養鶏場から群馬県の屠畜場まで運んでいるし、東北には青森にしか成鶏の食鳥処理場がなく、東北地方からは青森か茨城県まで運ぶことになる。茨城県には4箇所も廃鶏の屠殺場がある。中国地方も岡山県に集中しており、山口県や鳥取などからは長距離輸送が必須だし、なんといっても四国にはひとつもない。※認定小規模食鳥処理場除く

長距離輸送をしなくてはならないため、まず長時間の輸送が運命づけられてしまう。その間、鶏たちはやはり不衛生で福祉のない状況を強いられる。

大規模養鶏場の場合、一度に数万~十数万羽を出荷するため、輸送業者は何台ものトラックを連ねて遠征することになる。トラックに乗せきらないと判断すれば、通常よりもギュウギュウ詰めにすることもあるのだろう、実際に一つのコンテナにキャパシティーを明らかにオーバーした数の鶏が詰め込まれていることがある。トラックを追加でもう一台持って来るには遠すぎるのだ。これはつまり発注ミスではないだろうか。養鶏場側が正確な数を伝え、屠畜場側に日程および時間的選択権を持たせて発注する必要があるだろう。

さらに、小規模な養鶏場であれば、数件の養鶏場を回って集荷するということも行われる。
これはバタリーケージでも1段~2段で経営するような古い養鶏場や、平飼いや放牧などの羽数の少ない養鶏場で起きやすいことだと言える。東海地方を回って東北に行って関東に戻るなんていこともありうるのだ。輸送だけで鳥たちはもうまさに”死にそう”な状態になるだろう。
事情は理解できるが、これはやめなくてはならないだろう。小規模養鶏場は自社で運ぶ、又は自社で屠畜することも考えるべきではないだろうか。

国際基準にも国内法にも違反

OIE(世界動物保健機関)のアニマルウェルフェアのコードでは、12時間以上鶏が水を遮断されることがないように、出荷計画をたてるように規定されている。
※該当箇所抜き出し

OIE(国際獣疫事務局)の陸生衛生動物規約 アニマルウェルフェア と畜(Slaughter of animals)第7.5.2条

3. コンテナで運搬された動物についての規定 c) コンテナで運搬された動物は、可能な限り早くと殺すること。と殺場所まで直接運ばれない哺乳動物やダチョウ目の鳥は、常時、適切な施設から飲用水が供給されること。と殺のための家きんの輸送は、12時間を超えて水が飲めないということの無いよう計画されること。到着後12時間未満の間にと殺されない動物は、給餌され、その後も、適切な間隔で、適度な量の餌を与えること。

OIE(国際獣疫事務局)の陸生衛生動物規約 アニマルウェルフェア と畜(Slaughter of animals)第7.5.4条

収容所における動物の保護管理 収容所の動物は、次の勧告に従い保護管理すること。
1) もともとの動物の集団は、可能な限り一緒に飼育し、それぞれの動物には、立ち上がり、横臥し、方向転換するための十分なスペースを与えること。お互いに敵対関係にある動物たちは、引き離されるものとする。
5) 動物が遅滞なくと殺されるのでない限り、彼らの到着時と、収容所内では常時、適切な飲水を動物が摂取できるようにすること。
6) 待機時間を最短にし、12時間を超えないこと。動物が12時間以内にと殺されない場合は、到着時と、それぞれの種に適した間隔で、適当な飼料を動物が摂取できるようにすること。
7) 暑熱のストレスを防ぐために、高温に曝されている動物、特に豚と家きんは、散水、ファン、その他適切な方法で冷やされること。ただし、散水によって、動物(特に家きん)の体温調節能力が低下する可能性があることを、散水する際には考慮すること。非常な低温や突然の極端な温度変化に曝されている動物のリスクも考慮されること。
13) と殺を待つ家きんは、悪天候から保護され、適切な換気が与えられること。
14) 輸送コンテナの中の家きんは、到着時に検査されること。コンテナは、鳥の検査と空気の流れを容易にするために、十分な空間を開けて積み重ねられること。
15) 一定の条件下では、強制換気や別の冷却システムが、熱や湿気の蓄積を避けるため必要な場合がある。温度及び湿度は、適切な間隔で監視されると。

動物の愛護及び管理に関する法律の規定にも本来的には違反している。単に軽視されているから適用されていないだけである。

第四十四条
2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する。

改善に向けた動き

アニマルライツセンターでは、昨年の調査後から海外への情報提供も含め関連各所への改善の働きかけを行なってきた。上記予算委員会での農林水産大臣への質問、雑誌やWEBメディアへの寄稿なども行なっている。

これらを経ても、具体的にはまだ改善が進んだとは言えない。

しかし、2018年3月26日に農林水産省生産局畜産部畜産振興課長と食肉鶏卵課長連名で、厚生労働省、環境省、および各地方農政局生産部長宛に通知が出され、改善が促された。これを受け、厚生労働省からは各都道府県の衛生主管部に対して、環境省からは動物愛護管理主管部に対して通知が行われた。

食鳥処理場への鶏の計画的な出荷について

採卵鶏の更新については、例年、不需要期である夏場や年明けにこれを行う養鶏業者が多く見られることに加え、最近は、鶏飼養羽数が増加傾向で推移していることから、今後、鶏の食鳥処理場への出荷が従来よりも多くなると見込まれる。

このため、仮に、鶏の食鳥処理場への出荷が過度に集中し、食鳥処理業者等において、輸送の過密化や食鳥処理場での保管の長時間化を余儀なくされた場合には、関係法令等に定める保管基準等の適切な遵守に支障を来すことが懸念される。

ついては、貴管内の都道府県に対し、特に鶏の食鳥処理場への出荷に当たっては、養鶏業者と食鳥処理業者が調整の上、関係法令等に留意しつつ、計画的に出荷すべき旨、養鶏業者等関係者に対して周知するよう依頼されたい。

[参考]
・ 産業動物の飼養及び保管に関する基準(昭和62年10月9日総理府告示第22号)

第3 産業動物の衛生管理及び安全の保持
5 管理者及び飼養者は、その扱う動物種に応じて、飼養又は保管する産業動物の快適性に配慮した飼養及び保管に努めること。

第4 導入・輸送に当たっての配慮
3 産業動物の輸送に当たる者は、その輸送に当たっては、産業動物の衛生管理及び安全の保持に努めるとともに、産業動物による事故の防止に努めること。
・ 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律施行規則(平成2年6月29日厚生省令第40号)別表第3
二 食鳥、食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等の衛生的取扱い
イ 生体の受入れ
(1) 食鳥処理をしようとする食鳥の集荷に当たっては、異常なものの排除に努めるとともに、生体の健康の保持に留意して輸送すること。

国が改善に向けた意思を示したことは大きく、今後改善に向けた取り組みが早急に行われることを期待したい。

しかし、上記の通りの”事情”がある。改善をするためには恐らく食鳥処理場だけの努力でも、養鶏場や輸送業だけの努力でも足りない。

消費者の協力が必要だ。消費者が、この改善をするために、卵や成鶏肉を利用した加工食品の価格の変動を受け入れなくてはならない。

難しいことではない。それはほんのほんの微量なものだ。商品ひとつあたりに換算すれば、気が付かない程度かもしれない。しかし、消費者はこのことを意識し、アニマルウェルフェアにお金を払いたいのだということを小売店や生産者、国、地方行政に伝えていかなくてはならない。

さらに、スーパーマーケットや企業のお客様の声を受け付ける用紙や窓口に対し、卵や鶏肉加工食品(缶詰の焼き鳥、冷凍のからあげ、冷凍の鶏肉を使った加工食品、焼き鳥などのつくね、チキンエキス)、化粧品原料の生産工程でのアニマルウェルフェアを上げてほしいと伝えること。

そしてアニマルウェルフェアに配慮していない商品を決して買わないことだ。

改善を急げ

食鳥処理場で約50万羽の鶏が生きたまま茹で殺されている問題と同様に、この夜間放置などの輸送~と畜に関わる部分は、全ての鶏卵、鶏肉加工食品に関わりがある。平飼い卵や放牧卵であっても、同じと畜場が殺していることがほとんどなのだ(ほんの一部だが自家で屠畜している養鶏場と終生飼養の養鶏場を除く)。

アニマルウェルフェアは動物が生まれてから死ぬまでの全ての工程で意識され実現されなくてはならない。

卵を毎日毎日産まされ、搾取され尽くした後の最期の1日が、こんな惨めで苦しいものであってよいはずはないのだ。

アニマルライツセンターでは引き続き調査、監視、および改善に向けた提言を続けていく。

活動を継続するためにご支援をお願いします。

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参照

http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/attach/pdf/animal_welfare-19.pdf 
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000199531.pdf 
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/files/n_35.pdf


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赤い皮膚の鶏。2017年、日本で撮影された映像です。

Cadaver 放血不良 Japan

なぜ真っ赤な皮膚になってしまう理由は、屠殺の際に首を切るのに失敗し、血が抜けず、生きたまま熱湯で茹でられたためです。
つまり、この写真に写っているのは、生きたまま熱湯で湯で殺された鶏の死体です。
日本ではこの赤い皮膚の鶏は「放血不良」として食肉には出来ず廃棄されます。つまりこれは「事故」であり、彼ら彼女らの命も、苦しみも痛みも、なかったことのように「廃棄」されます。

どのような苦しみか

スタニングなし

日本の食鳥処理場(鶏の屠殺場)の多くは、スタニングという電気ショックやガスで意識を失わせることなく、首(頸動脈)を切ります。この方法はEUでは違法です。この場合、鶏は逆さ吊りに懸鳥され、そのままオートキラーと呼ばれる機械式のナイフで首を切られるか、人の手によってナイフで首を切られます。
意識があるためバタバタと羽を動かし、首を必死でもたげたりしてしまうと、オートキラーから外れ、浅く首を切られる、または首を切られないことになります。一部であるが死体を確認する映像を見ると、多くが浅く首を切られています。放血時間は2~3分ですが、その間意識を保ち、一部を切られた痛みに耐えることになります。

その後、懸鳥されているため拘束状態で約60度の熱湯に入れられ、熱さと痛みの中で、熱傷または窒息により死亡します。熱湯に入れられた際、拘束されている足をバタバタと動かす様子が観察されます。また、米国タイソン・フーズの食鳥処理場で9年間働いた元従業員は「鶏は叫び、蹴り、その眼球が頭から飛び出しす。“the chickens scream, kick, and their eyeballs pop out of their heads.”」*2と語っています。

スタニングあり

世界的に一般的な方法であり、一部の日本の食鳥処理場が行なっている方法は、電気水槽に鶏の頭をダイブさせることで意識を失わせてから、首を斬るという方法です。この場合、首を切られ失血していく数分間の苦しみはないものと考えられますが、低電圧であると意識が失われていないことが多いとも言われ、また鶏が電気水槽の上を通る際に首をもたげたりすると意識のあるまま首を切られることになり、この失敗は決して少なくないため、欧米ではガスによるスタニングへの切り替えが進んでいます
またスタニングは死亡させているわけではないため、時間が経つと意識を取り戻します。そのため、熱湯に入れられたときに放血されていなければ、スタニングなしの場合と同様の苦しみを味わうこととなる可能性が高いといえます。

国際基準と動物愛護管理法

OIE動物福祉規約 第7.5章「動物のと殺」では以下のように規定されています。

 

第7.5.7条

意識がある又は生きた鳥が、熱湯処理タンクに入ることがないよう、あらゆる努力がなされること。

すべての動物は、両頚動脈の切開、又は両頚動脈が発生する血管の切開(胸部刺殺等)によって放血されること。ただし、使用するスタニング方式によって心停止が引き起こされた場合には、アニマルウェルフェアの観点からは、これらすべての血管の切開は必要とはされない。

作業者は放血の間中、動物を観察し、検査し、動物にアクセスことができるものとする。意識を回復する徴候を示す動物は、再びスタニングすること。

血管切開後は、少なくとも30秒間、又はいかなる場合であっても全脳幹反射が停止するまで、動物に対し熱湯処理又は加工処理を行わないこと。

また、欧米では最終確認のために熱湯タンクの前にチェックを行う人が立っており、死亡しているかどうかの確認を行いますが、日本では行われていない、またはそのチェック品質が低すぎるという状況です。その質の低さは犠牲数に現れています。

日本の法律(動物の愛護及び管理に関する法律)に照らしても、これは動物虐待にあたります。

第五章 雑則
(動物を殺す場合の方法)
第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。

となっており、また動物の殺処分方法に関する指針でも、

第3 殺処分動物の殺処分方法
殺処分動物の殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること。

となっており、生きたまま熱湯で湯で殺すのは、社会的に容認されている方法ではないことは明白です。

犠牲数

事故の割合はブロイラー(精肉用の鶏)で0.05%、成鶏(卵用に使われ加工肉用に殺される鶏)で0.19%、合計では0.648%です。非常に小さな割合であるため誤差の範囲のように聞こえます(2016年度)*1。

しかし、数で見てみると様相は異なります。

ブロイラー346,354羽、成鶏152,538羽、合計では498,892羽が、生きたまま熱湯で湯で殺されました(2016年度)*1。その数は下記表の通り、減少しておらず、この5年間増加し続けています。

ブロイラー(精肉用の鶏)*1
  ブロイラー処理羽数 放血不良数 割合
2016年 688,710,264羽 346,354羽 0.05%
2015年 694,024,847羽 279,195羽 0.04%
2014年 671,902,214羽 269,600羽 0.04%
2013年 662,766,539羽 253,392羽 0.04%
2012年 658,300,815羽 214,333羽 0.03%
2011年 598,856,749羽 210,894羽 0.04%
2010年 627,510,071羽 221,735羽 0.04%
2009年 641,609,356羽 409,145羽 0.06%
2008年 641,209,894羽 274,143羽 0.04%
2007年 633,049,424羽 291,114羽 0.05%
2006年 629,287,721羽 283,925羽 0.05%
2005年 615,889,029羽 328,810羽 0.05%
2004年 596,816,353羽 297,439羽 0.05%
2003年 598,856,749羽 326,312羽 0.05%
成鶏(卵用に使われ加工肉用に殺される鶏)*1
  成鶏処理羽数 放血不良数 割合
2016年 80,608,044羽 152,538羽 0.19%
2015年 82,893,024羽 136,798羽 0.17%
2014年 77,812,176羽 118,417羽 0.15%
2013年 75,892,071羽 107,615羽 0.14%
2012年 77,263,165羽 109,279羽 0.14%
2011年 81,113,315羽 103,497羽 0.13%
2010年 82,794,418羽 125,354羽 0.15%
2009年 78,840,431羽 141,718羽 0.18%
2008年 79,269,084羽 140,485羽 0.18%
2007年 80,477,819羽 183,891羽 0.23%
2006年 73,792,062羽 152,543羽 0.21%
2005年 73,285,268羽 147,459羽 0.20%
2004年 73,038,134羽 126,050羽 0.17%
2003年 81,113,315羽 133,848羽 0.17%
合計*1
  処理羽数 合計 放血不良数 割合
2016年 769,318,308羽 498,892羽 0.0648%
2015年 776,917,871羽 415,993羽 0.0535%
2014年 749,714,390羽 388,017羽 0.0518%
2013年 738,658,610羽 361,007羽 0.0489%
2012年 735,563,980羽 323,612羽 0.0440%
2011年 679,970,064羽 314,391羽 0.0462%
2010年 710,304,489羽 347,089羽 0.0489%
2009年 720,449,787羽 550,863羽 0.0765%
2008年 720,478,978羽 414,628羽 0.0575%
2007年 713,527,243羽 475,005羽 0.0666%
2006年 703,079,783羽 436,468羽 0.0621%
2005年 689,174,297羽 476,269羽 0.0691%
2004年 669,854,487羽 423,489羽 0.0632%
2003年 679,970,064羽 460,160羽 0.0677%

 

世界と日本

この「放血不良」は、英語で”Cadaver”や”red skin”、”pink skin”、”cherries”などと表現されます。
UKとフィンランドではその「事故」は法律違反でもあり、もはや統計をとっていないようですが、米国は統計をとっています。米国は鶏の処理羽数が日本の10倍に上り、屠殺のラインのスピードも早く、スピードの速さが事故の原因であるとも言われています。しかしそれでも、この10年間で、米国で生きたまま茹で殺された鶏の数は急激に減少し、10分の1までになり、0.00673%*3になっています。

日本=0.0648%(減少傾向なし) 米国=0.0067%(大幅減少中) であり、日本は米国の9.6倍生きたまま熱湯で殺す割合が高いのです。

米国 鶏の放血不良の羽数 *3
  処理羽数 放血不良 割合
2007年 9,035,620,000 1,535,062 0.01699%
2008年 9,075,261,000 1,136,052 0.01252%
2009年 8,790,478,000 854,179 0.00972%
2010年 8,658,603,000 888,896 0.01027%
2011年 8,683,643,000 856,015 0.00986%
2012年 8,576,194,000 729189 0.0085%
2013年 8,648,756,000 701,752 0.00811%
2014年 8,666,662,000 680,161 0.00785%
2015年 8,822,692,000 678,628 0.00769%
2016年 8,909,014,000 599,597 0.00673%

チェックを徹底し品質を上げることと、スタニングをガスに切り替えることで、改善は可能です。ましてや、日本は米国の10分の1の屠殺数であり、またラインのスピードも遅く、UKなどと同様にゼロにできるはずです。
50万羽が生きたまま熱湯で湯で殺されるという壮絶で、かつ、無用な最期を迎えていること、厚生労働省及び業者の意識の低さの現れ絵であり、怠慢です。


*1 厚生労働省 食肉検査等情報還元調査 2016年度 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/113-1.html
*2 https://www.youtube.com/watch?v=QUEVr-zI1oQ
*3 USDA http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1497

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